もう一度、彼らに注目してみません?~L⇔R『LACK OF REASON』~平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
第102回:もう一度、彼らに注目してみません?
今回ご紹介するのはこちら。
L⇔R『LACK OF REASON』(1994年)
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爆発的に大売れしたわけではないが、1990年代のJ-POP界に確かなインパクトを残したバンド。僕がポピュラーミュージックに興味をもち始めた1995年頃がまさにセールス面においては彼らの全盛期で、ドラマの主題歌にもなりヒットした『KNOCKIN' ON YOUR DOOR』をはじめ耳に残りやすいポップなサウンドとメロディが魅力的で、当時トップクラスに好きなバンドだったのを覚えている。ちなみに読み方は「エル・アール」で、エル・アールと言えば当時はこのバンドかスーファミのLRボタンかというくらいの存在であった。
彼らはほかにも『BYE』や『GAME』といった名曲を生み出しながらも、1997年に活動を休止。その後は各メンバーのソロ活動がメインとなり、そして2016年、ボーカル&ギターの黒沢健一が脳腫瘍により亡くなった。
『LACK OF REASON』は彼らの7枚目のオリジナルアルバム。このアルバム自体はわりと最近購入したもので、久しぶりに改めて彼らの音楽に触れてみると、とにかく1960年代のロックに大きく影響を受けていることがよくわかる。ビートルズやらビーチボーイズやらその辺りの要素が垣間見えたり、ストレートなロックンロールからサイケデリックまでさまざまな表情を見せてくれるアルバムだ。
ただそれでいてマニアックになりすぎず、絶妙なポップさやキャッチーさも持ち合わせているので、全体が非常に聴きやすく一気に聴き通せるアルバムである。また各メンバーが作曲に携わっており、その曲のクオリティの高さからそれぞれが高いセンスを持ち合わせているバンドであることもわかる。特にやはり黒沢健一という人は作曲家、作詞家として天才的なだけでなく、ボーカリストとしてももっと評価されていい人だといまだに思う。
ジャケットに関しても彼らは毎回非常にセンスが良く、ここでも1960年代からの影響が感じられる。ポップでシュールでどこかユーモラスな彼らの音楽性そのままの洒落た雰囲気のジャケットである。ディスクもレコードをイメージしたデザインになっていたりしておもしろい。
お世辞抜きでビートルズ並みの普遍性をもつ楽曲もあるので、何か目立つタイアップなどがあれば現代でも全然再評価の可能性はあるの思うのだがどうだろうか。
L⇔R、もう一度注目してみません?