そこそこ品揃えよさそうなコンビニみてえなロゴである~ディープ・パープル『パーフェクト・ストレンジャーズ』~平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載

連載・コラム

[2020/7/29 12:00]

音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。


番外編~残念なジャケット~(第103回):そこそこ品揃えよさそうなコンビニみてえなロゴである


というわけで最終水曜日なので番外編でヒドいジャケットをご紹介。いつかアーティストに見つかって怒られるのを夢見ながら今月もお送りします(そういえばこの前の通常回でスガシカオさんを取り上げたとき、本人が気づいてくれたのは嬉しかったなー)。

さて今回はこのコーナーにおいてはもはやイングヴェイと並んで無難な選択となりつつあるディープ・パープルを。

ディープ・パープル『パーフェクト・ストレンジャーズ』(1984年)

<あの海外セレブの背後に偶然ロバートが写り込む奇跡>

とにかくその長いキャリアのなかで波乱万丈いろいろあり、メンバーの入れ替わりも激しい彼らだが、一般的に最も黄金期とされているのが『イン・ロック』や『マシン・ヘッド』といったハードロック界の金字塔的作品を生み出した第2期に当たるメンツである。

『パーフェクト・ストレンジャーズ』は一度解散したパープルが、そんな第2期のメンツを集めて1984年に再結成した際に発売したアルバム。当時各メンバーはレインボー(リッチー・ブラックモア、ロジャー・グローヴァー)、ホワイトスネイク(ジョン・ロード)、ブラック・サバス(イアン・ギラン)、ゲイリー・ムーア・バンド(イアン・ペイス)といった大物バンドで活動しており、それらを抜けて(レインボーに至っては解散している)パープルの再結成に踏み出したというのは、それだけこのメンツでのディープ・パープルが彼らにとっては特別だったということだろう。イアン・ギランは金のためだったという話もあるが。

事実アルバムのクオリティはバンドの名に恥じぬ素晴らしいものである。かつてのような若々しく突っ走る勢いはないが、キャリアを積んだからこそ出せる渋みのようなものを感じさせる。それも落ち着いているという意味ではなく、このメンバーだからこそ生み出せるアンサンブルによる絶妙な緊張感はあの強力な『ライヴ・イン・ジャパン』で感じられたものに近く、最後までこちらの集中力を途切れさせない。まさにハードロックレジェンドにふさわしい名盤である。

そんなハードロックレジェンドによるレジェンド的名盤のジャケットのレジェンド感のなさよ。ただのバンドロゴのドアップというこのシンプルっぷり。まあ再結成して新しくなったロゴをどんと見せようという意図なのかもしれないが、個人的にこのロゴ自体が単純にいまいちだと思う。何かコンビニみてえなロゴである(そこそこ品揃えもよさそうな)。まあ『イン・ロック』も『マシン・ヘッド』も変なジャケットだったので、音楽的なセンスと同時にジャケットのセンスも変わっていないということか。一応1980年代はこのロゴで最後まで通している。

まったく、リッチー関連のアルバムには(ブラックモアズ・ナイト以外)本当にこのコーナーではお世話になっております。そして、結局このメンツに戻ってもまた関係が悪化。メンバーチェンジを繰り返しまだまだ波乱続きのレジェンドさんなのであった。

めでたしめでたし。

平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)

ひらい“ふぁらお”ひかる●1984年3月21日生まれ、神奈川県出身。2008年に新道竜巳とのお笑いコンビ“馬鹿よ貴方は”を結成。数々のテレビ/ラジオ番組に出演するほか、『THEMANZAI2014』『M-1グランプリ2015』の決勝進出で大きな注目を集める。個人では俳優やナレーターとしても活躍。音楽・映画観賞や古代エジプト、恐竜やサンリオなど幅広い趣味を持つ。