いくら何でも安易すぎないか?~ゴットハード『オープン』~平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
番外編~残念なジャケット~(第113回):いくら何でも安易すぎないか?
今月も残念なジャケットを紹介する番外編。悪口を書いてお金をもらっている最低野郎は私です。
ゴットハード『オープン』(1999年)
この連載ではおなじみとなりつつあるスイスの英雄ゴットハード。毎度言っているとおり僕の一番好きなバンドである。しかしだからと言って油断してはいけない。僕は別に盲目的なファンではない。ダセーもんはダセーのである。
というわけで今回紹介するのは1999年に発売された彼らの4枚目のスタジオアルバム『オープン』。ホワイトスネイクあたりのブリティッシュハードロックの影響を感じさせる初期の音楽性から、1997年のアコースティックライブアルバム『D frosted』を通ったことでサウンドにも変化が生じ、ハードロックを軸としながらもアコースティック要素も取り入れ、メロディの美しさにも重点を置いたバランスの良い作品に仕上がっている。またこれまでのようなブリティッシュハードロック的アプローチではなく、アメリカンロック的なサウンドになっているのも特徴である。こういったバンドの進化、変化についていけないファンからブーイングを食らうというのは音楽界ではよくある話だが、ゴットハードに関しては圧倒的な「楽曲の良さ」という、ミュージシャンにとって基本であり最も大事な要素によって捻じ伏せてしまっているからすごい。
広大なアメリカの大自然を思わせる解放感に満ちた『Free and Alive』、『D frosted』を通ったからこそ生まれたであろうゴキゲンな『Got to Be Love』、個人的にハードロック界最高のバラードだと思っている『Let It Rain』、ジミヘンへのリスペクトが込められたノリのいいロックンロールナンバー『Hey Jimi』など、サウンドの変化がどうなどといった理屈がヤギの糞に思えるほどの強力が楽曲が見事に揃っており、また総じて今は亡きスティーヴ・リーの圧倒的な歌唱力と表現力がやはりすごい。ちなみに僕はこの時期の音楽性自体とても好みである。
ただジャケットに関してはないと思います。
タイトルが『オープン』だから鍵穴?君らこれ1秒で考えたろ。いくら何でも安易すぎないか? 『オープン』というタイトルに関しては色々深い意味があるのだろうが、それでジャケットが鍵穴いっこはちょっと薄っぺらく感じてしまう。あとこのタイプの鍵穴意外とあんまないぞ。
というかゴットハードに関してはボーカルがニック・メーダーに代わってからジャケットのセンスも良くなったような気がしているのは僕だけだろうか。となるとこういうダサいジャケットの原因はまさかスティーヴ……。
今週はこれにてクローズ。