古き良きブルースロックスタイルにジャケットがいつ見ても合っていない~サンダー『ビハインド・クローズド・ドアーズ』~平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
番外編~残念なジャケット~(第120回):古き良きブルースロックにジャケットがいつ見ても合っていない
早いものですでに今年の最終水曜日も今日を入れてあと2回。しかし世のアーティストの皆様はいつこの残念なジャケット紹介のコーナーで自分が取り上げられるかさぞビクビクしていることでしょう。全員。ただ残念ながらお金がもらえる以上誰も私を止めることなどできないのです。貴重なお仕事なのです。ありがとう耳マン先生。
サンダー『ビハインド・クローズド・ドアーズ』(1995年)
というわけで今回はイギリスの正統派ハードロックバンド、サンダーを。前は通常回で一度取り上げているが、1970年代を彷彿させる古き良きブルージーなハードロックサウンドが魅力で、ご存知僕のモストフェイバリットバンドであるゴットハード同様、もっと広くロック愛好家の間で知られてもいい存在だと思う。やはり出てきた時代が時代だからか……。少なくとも同時期に登場したブラック・クロウズが好きな人ならきっと気に入るはずだ。
『ビハインド・クローズド・ドアーズ』は1995年に発売された彼らの3枚目のスタジオアルバム。彼らのキャリアのなかでも最高傑作と評する声も多い名盤である。サウンド的にはゴリゴリのハードロック/ヘヴィメタルの音を求める人たちからしたらやや軽いと感じるかもしれないが、個人的にはサンダーはこのくらいがちょうどいいと思う。この適度に土臭く乾いた感じ。まさに古き良きブルースロックといった雰囲気がとっても好みだ。そしてそれでいてメロディが良い曲が多いところはイギリスのバンドらしいところでもある。代表曲『リバー・オブ・ペイン』も入っているが、それに匹敵する曲も多い。
そんな古き良きブルースロックスタイルのサウンドに対してこのジャケットはいつ見ても合っていない。今見てもやっぱり合っていない。改めて見てみよう………うん、合っていない。
あえてなのかもしれないが、1995年のアルバムなのに1980年代のイモ臭さの名残みたいなジャケットである。人間味のある温かいサウンドなのにジャケットは冷たい印象を受ける。実はブックレットのそれぞれのページのデザインは独特の不気味さ漂う感じで逆に洒落ているように思えるのだが、肝心の表紙が一番イモいというのが残念なところだ。
ブックレットの中のデザインはこんな感じ。ちょ~っと不気味な雰囲気が全体に漂っているのだがそれがなかなか味わいがあるのだ。例の如く音楽が素晴らしいだけに余計もったいなく感じるパターンである。
というかよく考えたらサンダーというバンド名もいまいち音楽性に合っていないし、ダサい気がする。
おめぇらそういえばバンド名もくそだせえな!!(茨城弁)
以上。