アルバムのコンセプト×ジャケットの最高の組み合わせである~B'z『FRIENDS』~平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
第120回:アルバムのコンセプト×ジャケットの最高の組み合わせである
今回ご紹介するのはこちら。
B'z『FRIENDS』(1992年)
拝啓 松本孝弘様 稲葉浩志様
お元気でしょうか。僕は今変なテンションです。さて、僕は普段お笑い芸人をやらせていただいているのですが、リットーミュージック様管轄のこの音楽系エンタメサイト『耳マン』にて約2年ほど連載を持たせていただいております。そしてこの2年の間に多くのアーティストを取り上げてきたなかで、何度かB'zや松本様のソロアルバムについても失礼ながら書かせていただいております。それというのもB'zは僕が人生のなかで最も長きに渡って聴き続けてきたバンドであり、そのぶん思い入れも強いためいつかこの想いがお二人に届くようにというねがいがあるためです。そして今回もまたそんな想いを込めながらこの懐かしきミニアルバムについて書かせていただきます。この拙い文章が何かのきっかけでおふたりの目に入るようなことがあれば至上の喜びです。そしていつかなか卯を奢らせてください。
『FRIENDS』はB'zの初期のミニアルバムで、全体がひとつのストーリーで繋がっているコンセプトアルバムでもある。本作の少し前に発売されたアルバム『RUN』では今現在のスタイルに繋がるハードロック的アプローチに本格的に踏み込んでいたが、ここではむしろさらに前のアルバム『IN THE LIFE』の哀愁のある歌謡曲的な音楽性に近い。素晴らしいのはストリングスのみの小品のインストゥルメンタルである1曲目『Friends』からの2曲目『いつかのメリークリスマス』、これほど美しい流れは音楽界広しといえどそうそう聴けるものではない。
その『いつかのメリークリスマス』は今や国民的なクリスマスの定番曲として定着しており、ミニアルバムのなかの1曲にも関わらずこれほどの人気曲になったというのは、それだけ楽曲そのものの強さが尋常でないという事実の表れだと思う。確かに情景が目に浮かぶような歌詞や美しいアコギソロなど、冬の時期に強く心に沁みる名曲である。
ジャケット及びブックレットの写真は風景写真家のマイケル・ケンナによるもの。おもにモノクロの写真を主体としており、静謐で詩情あふれる世界観が特徴。その腕前をここでも見事に発揮しており、正直このミニアルバムのコンセプトにして彼以上にふさわしい者はいないのではないかと思えるほどに最高の組み合わせである。
冬の定番曲も収めたこの美しいミニアルバム、一家に一枚は持っておこう。
なか卯は一駅に一店舗はほしい。