ぱっと見はB'zらしくないデザインである~B'z『FRIENDSⅡ』~平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載

連載・コラム

[2020/12/23 12:00]

音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。


第124回:ぱっと見はB'zらしくないデザインである


今回ご紹介するのはこちら。

B'z『FRIENDSⅡ』(1996年)

<あの海外セレブの背後に偶然ロバートが写り込む奇跡>

今年もまた赤と緑の日が近づいてきた。良い子のもとにはサンタさんがやってきてプレゼントをくれると思うが、我が連載は良い子悪い子関係なく押しつけるスタイルなんで世露死苦。

というわけで先月に続き今月もB'zを。先月は冬をテーマにしたミニアルバム『FRIENDS』を紹介したのでその続編である本作をここで出さないわけにはいかんでしょう。同じ冬をテーマにした続編とはいっても『FRIENDS』と比べてその色は明らかに異なっており、こちらは格段にアダルトでスケベな雰囲気に包まれている。と同時にB'zとしてもかなり実験的な要素が多く含まれているのも特徴で、普段のハードロック路線はほぼ鳴りを潜め、ここではジャズ、フュージョン的要素が全体的に押し出されている。

ただ、実験的要素の多いアルバムとはいえその完成度は非常に高く、収録されている7曲はどれも毛色は違えど「冬」というテーマのなかでしっかりまとまっており、各曲のレベルも非常に高い。スケベな雰囲気のせいでコアなファン向けの内容ではあるかも知れないが、そのなかでもキャッチーな『傷心』なんかはこのアルバムをとっつきやすくしてくれている曲だし、素晴らしきメロディを堪能できるギターインスト『sasanqua 〜冬の陽』、そして最高に切なく美しいバラード『きみをつれて』といった強力な楽曲が短いなかに揃っており、個人的にはB'zのアルバムのなかでも屈指の名盤だと思う。

さてジャケットだが、これまた音楽性と同様、ぱっと見はB'zらしくない雰囲気のデザインである。LUNA SEAの棚に置いてあるほうが絶対に自然だ。とはいえ以前から言っているようにB'zは松本氏のソロアルバムのジャケットはどれもかっこいいのに、B'zのアルバムだと珍妙なデザインのものが多くなるなか、本作は内容のスケベさとも調和したアダルトな雰囲気が洒落ており、B'zにしてはとてもいいジャケットだと思う。これはもしかして松本氏のアイデアなんじゃないか? だってB'zの珍妙なジャケットの原因は多分稲………稲中卓球部を読んだことがありません。おもしろいそうですね。

『FRIENDS』シリーズは本作を最後にもう20年以上作られていないが、映画のような『FRIENDS』とスケベな『FRIENDSⅡ』ともまた違う角度で冬をテーマにした続編を聴いてみたい気もする。

こんな話をB'zのおふたりになか卯を奢りながら伝えたい今日この頃です。

メリークソスマス。

平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)

ひらい“ふぁらお”ひかる●1984年3月21日生まれ、神奈川県出身。2008年に新道竜巳とのお笑いコンビ“馬鹿よ貴方は”を結成。数々のテレビ/ラジオ番組に出演するほか、『THEMANZAI2014』『M-1グランプリ2015』の決勝進出で大きな注目を集める。個人では俳優やナレーターとしても活躍。音楽・映画観賞や古代エジプト、恐竜やサンリオなど幅広い趣味を持つ。