竹下幸之介(DDTプロレスリング)の『ニシナリライオット』第24回:「2020年正月。近所の公園で寝ているおじちゃんにインタビューしてみた」
[2020/1/10 12:00]
「幸せになるということより、今まさに自分が幸せであることが大事やから」
おじちゃんは「普遍的な幸せがある」と言い、さらにこう続ける。
「自分が本当の自分であることやろな」と。
ところで、本当の自分とはなにか?と言うことについてですが……これまで、さんざん議論され、誰もが自問自答することだと思います。でも答えは出ない……。それはある種当たり前です。
「人間は生まれて以来、からだや頭のなかに、知識とか習慣とか与えられた道徳とか、いろんな余分なものを次々くっつけてきている。そしてその自分の外側についた自分以外のものによって、本当の自分が見えなくなってしまっている」
自分てなんだ? 自分て誰だ?
そう言いながら、固定概念でつくりあげた“箱”のなかに頭を突っ込んで、その箱にある小さな覗き穴から自分を捜している。そんな小さな穴から見える自分なんて、とっても大きいはずの自分のごくごく一部なはずなのに……。
それをまずはやめてみましょう! 箱から頭を出しましょう! そうおじちゃんは言っているのだと、私は解釈しました!
ぱっとやめてみる、そうすると、そこにいるのは等身大の自分だと言うことに気づくでしょう。ここに気づくことが、幸せの第一歩なんです。
過大評価でも過小評価でもない、素の自分に出会い、一致して生きる。これが本当の幸せなんだということです。
異常な謙遜を示している私に向かって、おじちゃんはこうも言った。
「こんなダメな自分が本当の自分です。という人がいるが、それが固定概念なんやで」
最後に、
「なんでホームレスになったん? なんか目的があったんやろ? 教えてくれ! 俺に教えてくれや!」
と懇願するとその重い口がようやく開き、急に小さなかすれ声で、
「競艇」
と言った。
今年もよろしくお願いいたします。