竹下幸之介(DDTプロレスリング)の『ニシナリライオット』第24回:「2020年正月。近所の公園で寝ているおじちゃんにインタビューしてみた」

連載・コラム

[2020/1/10 12:00]

「幸せになるということより、今まさに自分が幸せであることが大事やから」

おじちゃんは「普遍的な幸せがある」と言い、さらにこう続ける。

「自分が本当の自分であることやろな」と。

ところで、本当の自分とはなにか?と言うことについてですが……これまで、さんざん議論され、誰もが自問自答することだと思います。でも答えは出ない……。それはある種当たり前です。

「人間は生まれて以来、からだや頭のなかに、知識とか習慣とか与えられた道徳とか、いろんな余分なものを次々くっつけてきている。そしてその自分の外側についた自分以外のものによって、本当の自分が見えなくなってしまっている」

自分てなんだ? 自分て誰だ?

そう言いながら、固定概念でつくりあげた“箱”のなかに頭を突っ込んで、その箱にある小さな覗き穴から自分を捜している。そんな小さな穴から見える自分なんて、とっても大きいはずの自分のごくごく一部なはずなのに……。

それをまずはやめてみましょう! 箱から頭を出しましょう! そうおじちゃんは言っているのだと、私は解釈しました!

ぱっとやめてみる、そうすると、そこにいるのは等身大の自分だと言うことに気づくでしょう。ここに気づくことが、幸せの第一歩なんです。

過大評価でも過小評価でもない、素の自分に出会い、一致して生きる。これが本当の幸せなんだということです。

異常な謙遜を示している私に向かって、おじちゃんはこうも言った。

「こんなダメな自分が本当の自分です。という人がいるが、それが固定概念なんやで」

最後に、

「なんでホームレスになったん? なんか目的があったんやろ? 教えてくれ! 俺に教えてくれや!」

と懇願するとその重い口がようやく開き、急に小さなかすれ声で、

「競艇」

と言った。

今年もよろしくお願いいたします。

竹下幸之介

1995年5月29日生まれ、大阪府大阪市出身。身長187センチ、95キロ。現役高校生レスラーとして2012年8月の日本武道館大会でデビュー。高校卒業後、日本体育大学へと進学し、学業とプロレスの両立に励み、2018年3月に無事卒業した。卒論のテーマは『ジャーマン・スープレックス』。2018年4月に入江茂弘に敗れるまで、KO-D無差別級王座11回防衛の最多記録を樹立した。地元西成への愛が深く、2018年大みそかの『年越しプロレス』には、「西成魂」の刺繍が入ったオーダーメイドの特攻服をわざわざ作って参戦。“西成のエリートヤンキー幸之介”として愛されている。