竹下幸之介(DDTプロレスリング)『ニシナリライオット』第50回:「ふたりの愛の火は消えない」
DDTプロレスリングの未来を担う若き逸材・竹下幸之介。そんな彼が自身の昔のブログを読み返しながらつづる、地元・西成のお話!
601話『心の火は消えないさ』
六年生を送る会前日・・・
チャーリーがフィナーレのキャンドル係に立候補しました。
そしてチャーリーは選ばれて喜んでいました。
給食の時間、チャーリーの彼女が用事でやってきて。
その時誰かがあざ笑いながら
「チャーリーがキャンドルなったからお前もやれよ」
と言ったので全員の視線が彼女に向く・・・
その瞬間彼女から発された言葉は思いがけないもので
「あっそ。」
静まり返る教室・・・
苦笑いでごまかすチャーリー(心の中で号泣してたはず)
そして本番当日がやってきた。
全学年の合唱・合奏が終わり、ついにフィナーレの時・・・
チャーリーが先生からキャンドルをもらいに行く・・・
そして何故かその横にはチャーリーの彼女が・・・
彼女はあれから立候補してキャンドル係になったそうです。
そしてチャーリーから彼女に火が灯される時が・・・
所々から「お~」という歓声が沸き起こる・・・
だがいっこうに火はつかない。
そして遂に最後の最後までつかず・・・
お互いにショックが大きいと思うのだがみんなには平然と振る舞っているけど、笑顔を見せるもののいつもの元気がない。
今自分に出来ることは何だろうと考えてると、ふとチャーリーを見るとさっきまでいたチャーリーがいない・・・
そして捜しまわるとそこにはチャーリーと彼女の姿が。
チャーリーは彼女にこう言ったらしいです。
「ろうそくの火がかわりに消えてくれたんちゃう?俺たちの愛の火のかわりに。」
と・・・
そして自分はこう思いました。
末永くお幸せに
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これもまたブログを読み返すまで、すっかり記憶から抜け落ちていた思い出。以前にもチャーリーとその彼女のことについては触れたが改めて説明すると、チャーリーはこの当時からバカ丸出しで、ちびまる子ちゃんの登場人物で言うところの“山田”であり、そのチャーリーに彼女ができたのが小学校生活も残すところあと1年と差し迫ったときだった。
彼女の方はおませさんで、圧倒的に大人っぽく、チャーリーとは精神年齢が20歳は離れていたと思う。だけれども、そんなチャーリーの純粋さに惹かれた彼女は意を決して告白する。
チャーリーは山田ばりに「あははははは!!」と笑っていた。
卒業する6年生がキャンドルライトに火を点けるイベントが我が校にはあって、そんなふたりがそのキャンドル係に選ばれたのには裏側があった。
通例ならば生徒会がキャンドル係や、合唱の取り決めなどを仕切ることになっていたが、図書委員の委員長として実績を残していた私が、生徒会にキャンドル係を立候補制度にしようと持ちかけたのだ。
チャーリーに何かしてあげたい気持ちもあったし、その年の生徒会長が目立ちたくないとぼやいていたのでちょうどいいと思った。我ながら気の利く男だ。
こうしてクラスからひとりずつ。立候補者のなかから選出ということになった。これも完全に出来レース。こちらのクラスはチャーリーに立候補してもらって、男子が全員投票すれば勝てるし、向こうのクラスも過半数の女子と男子がチャーリー彼女に入れればクリア。
むしろこちらのクラスはチャーリーしか立候補せず、子どもながらにみんな空気を読んだ結果だった。しかし、次の時間に行われた隣のクラスの選挙ではなんとチャーリー彼女が立候補しなかったのだ。
みんなに笑われて、バカにされると思って避けたらしい。
もうこちらのクラスからチャーリーが行くことは決まっていたので、全然関係のない女の子と火を点けることに。私は余計な御世話を焼いてしまったわけだ。
しかし当日。キャンドルライトの前にはチャーリーと彼女がいた。後に聞いたところでは、まわりの女子たちが説得したそうだ。これで勇気を振り絞って出てきてくれてよかったし、気を利かせてキャンドル係を直前で変わった子の優しさにもじんわりきていて、ロウソクに火が灯る前から、私の心はすでに温かくなっていました。
彼女がもつ大きなロウソクに、チャーリーがキャンドルトーチで火を灯す。しかし、そのロウソクに火が灯ることはなかった。
ロウソクが古かったのか、湿っていたのか。全校生徒が見守る体育館がざわざわと騒ぎ出して、先生たちの判断でついに照明がつき始めて明転した場内からは落胆の声が漏れた。
このとき、自分のせいで恥をかかせてしまったと強い罪悪感に苛まれたことを覚えていて、ふたりの姿を見ると心底謝りたくなった。今にも泣き出しそうな彼女の横で、いつもどおりニヤニヤと笑うチャーリーの姿が目に焼き付いた。
その後チャーリーが「俺たちの愛の火は消えない」という言葉を残すわけですが、残念ながら卒業してすぐにふたりは別れてしまいます。
後日、デリカシーのない私は
「○○と別れてもうたらしいな!」
と言うとチャーリーは
「愛の火が消えてもうたわ!」
そう言って大声で笑っていました。
今度会ったらこのときのことを覚えているかふたりに聞いてみたい。余計なお世話かもしれないけど、一応ロウソクをポケットに忍ばせて。