m.c.A・T『なんて言うんですか、こんな音楽感』第4回〜教員採用試験を受けた俺っ!
「私は子どもが大好きで、小中高と素晴らしい先生にも出会え、教師を目指すようになりました。きっと誰よりも一生懸命にがんばるよい先生になると思います。ですが……今、自分の頭のなかでは『音楽をやりたい!』という気持ちが80〜90パーセントを占めております。まずは音楽をまっとうすべくがんばって、その後しっかり教師を目指したいと思います」
嘘をつけなかった……。バカだ……。面接の部屋を出たあと、試験官だった校長先生が追いかけてきてくれた。
「あれを言っちゃもうどんなに応援しててもダメだよ! 正直すぎるよ〜!」
いえいえ、そう言っていただけるだけで感謝です。そういう人間だったのですから。本当にご心配おかけしちゃって申し訳ありませんでした。もちろんその情報は親にも即伝って、母に泣かれたなぁ。音楽やりたいって言ってもまだただのアマチュアで学生だし、おまけに旭川という土地。なんの保証もない、それどころか作品だってわずかだしね。でも、若気の至りと言えば簡単だけど、この面接で話したことが自分の今後を決意させたのは確かだった。
バンドメンバーは全員教員を目指してみんなそれぞれの就職先に旅立った。俺は旭川に残って本格的に音楽製作を始めて、ライブに集中する日々。軽音部にいた例の会社員さんが俺の音楽を応援してくれていて、バーを開店するということで雇われマスターをしながら音楽活動をしていた。17時くらいにお店に行って2時までバーで働き、そのあと知り合いの居酒屋で6時までバイト。帰ってちょっと曲作り。9時に寝て11時30分に起床して出勤まで曲作り。必死だったけれど充実してたなぁ。
機材は愛すべき会社員さんがローランドのシーケンサー『CSQ-600』を貸してくれて、自分がもってたアナログシンセ『SH-2』との相性がよかったから夜な夜なベースラインを研究してた。ただ、同期できるものが限られていたから使い勝手はイマイチ。なのでほとんど手弾きしてた。
この後いよいよ俺のなかでMIDI全盛期がどーんとやってくるわけ。そして、ファンクを中心に曲作りをしていた自分の音楽人生に革命を起こしてくれたアーティストを知ることに……!
※画像提供:株式会社石橋楽器店