【掟ポルシェの食尽族】第6回:本当に美味いとんこつラーメンの店『安全食堂』〜福岡のオリジナルすぎる麺文化〜後編

連載・コラム

[2019/12/9 12:00]

 で、安全食堂のラーメンが美味しいのにはもうひとつ秘密があります。それは、スープ作るときにおいちゃんが入れる謎の白い粉。作るところ見てると2杯はドバッとブッコミます。結構デカいスプーンで。まぁ化調だと思いますけど、あまりにもドバッと勢い良く入れるんで惚れ惚れします。無化調を謳った現代的な店もそれはそれで美味しいとは思いますが、無化調とか眠たいこと言ってんじゃねえよ美味けりゃいいんだよ美味けりゃ、という心意気を(こちらが勝手に)感じます。あ、言っときますけど俺化調でも無化調でも美味けりゃいい派なんで。この辺ディスじゃないですよ。念のため。
 食べ方にルールなんてもちろんありませんが、自分はいつも麺バリカタでオーダー。すりごまと紅生姜は極上のスープの味が変わってしまうので不使用です。一度安全食堂のラーメンを食べてしまうと、東京や福岡中心部にあるとんこつラーメン屋ではもの足りなくなります。自分の場合確実にそうなってます。美味いものって知ってしまうと恐いものでもありますよね。あー、思い出したら食べたくなってきた。

覚悟して頼むべし! ラーメン以外の激推しメニュー

 安全食堂のメニューでもうひとつだけご紹介しとかないといけないのが、焼めし(850円)。ラーメンと一緒にチャーハン食べると美味いですもんね! だが、ちょっと待て! いまこれを読んでいるあなた、運動部に所属してる高校生とかじゃないですよね? だったら覚悟が必要です。そう、安全食堂の焼めし、とんでもなく量が多い。そうですね、普通のラーメン屋のチャーハンの倍くらいだと思っていただければ。値段(850円)見てなんかおかしいなと思いませんでした? そう、その値段分の量が出てくると思ってください。一緒に注文してなんなく食べてるお客さんも全然いますし、そこまで煽るようなものじゃないですが、並の食欲の方は誰かと一緒に行ってシェアできると無難です。
 先日まで焼めし小という従来の半分のサイズの、長年我々が待ち望んだ「ラーメンと一緒に食べても大丈夫な量の焼めし」があったんですが、今春に登場し、途中から比較的忙しくない平日限定メニューに変更され、10月にはもうなくなってました。たった半年の命でした。さようなら美しい思い出。焼めし小が姿を消した理由をおばちゃんに、やっぱり少ない量を1回1回作るの大変だからですかね? と聞いたら、「そうですねー」と同意したともとれるし、忙しいときに面倒なんで適当にあしらわれたとも言える、快い相づちが返ってきました。そういうことです多分。

 安全食堂の焼めし、肝心の味ですが、これも写真見たほうが早いですね。はいこれドン!

焼めし(850円)

 いまはなき焼めし小の画像も上げときましょ! この量でいいのに(泣)!

焼めし小

 この色味程度のしっかりした塩分+謎の白い粉ここでもドバ入れ、具材に焼豚、玉子、ネギのほか、かまぼこが入ってるのが心憎い。そりゃあ美味いに決まってます。
 「せっかく安全食堂に来たんだからラーメン頼まずにはおれん!」という方、ラーメンなしで焼めしだけ頼んでスープ(100円)も一緒に注文すると、あの最高な安全食堂のラーメンのスープだけ、それなりの大きさの器で出てきます。よく考えたら今日はいまひとつラーメン気分じゃないな、という日にどうぞ。

スープ(100円)

 そして最後に、安全食堂の営業時間について。昼11時から16時まで! 夜はやってない! ちょっとハードルが高い。これも観光客がなかなか辿り着けない理由のひとつです。土日にはかなりの行列覚悟が必要。ですが、安全食堂には、わざわざ電車に乗っていく価値、短い営業時間になんとかしていく価値があります。ひと口食べた瞬間、その言葉がわかっていただけるはずです。毎週水曜定休。

シンプルなお品書き。チャンポン(800円)も美味しくて人気があります

掟ポルシェ 今後の予定

2019.12.21(土)
『Mai-kou Presents』
@神奈川 江ノ島OPPA-LA

2019.12.22(日)
『冬の魔物』
@新宿ロフト

2020.1.26(日)
『ロマンポルシェ。男の22周年ハンパしちゃってごめんツアーSAPPORO大会』
@札幌 SPIRITUAL LOUNGE

2020.1.27(月)
『スナック掟ポルシェ in サッポロ』
@札幌 SPIRITUAL LOUNGE

掟ポルシェ

おきてぽるしぇ●1968年北海道生まれ。1997年、男気啓蒙ニューウェイヴバンド、ロマンポルシェ。のボーカル&説教担当としてデビュー、これまで『盗んだバイクで天城越え』ほか、8枚のCDをリリース。音楽活動のほかに男の曲がった価値観を力業で文章化したコラムも執筆し、雑誌連載も『TV Bros.』、『別冊少年チャンピオン』など多数。著書に『説教番長 どなりつけハンター』(文芸春秋社)、『男道コーチ屋稼業』(マガジン・ファイブ)、『出し逃げ』(おおかみ書房)、『男の!ヤバすぎバイト列伝』(リットーミュージック)、『豪傑っぽいの好き』(ガイドワークス)がある。そのほか、俳優、声優、DJなど活動は多岐にわたるが、ここ数年はアイドル関連の仕事も多く、イベントの司会や楽曲のリミックスも手がける。