【掟ポルシェの食尽族】第4回:ハードコアジャンク! 来来亭のラーメンと来来亭新聞の世界

連載・コラム

[2019/10/4 12:00]

自称「食べもののことになると人格が変わる」ほど食に執心する“食尽族”でミュージシャンの掟ポルシェ(ロマンポルシェ。、ド・ロドロシテル)が、実際に食べてみて感動するほど美味しかったものや、はたまた頭にくるほどマズかったもの、食にまつわるエピソードについて綴る連載。読んで味わうグルメコラムがここに!


第4回:ハードコアジャンク! 来来亭のラーメンと来来亭新聞の世界


ジャンクな食事には多大なストレス発散効果がある

 時折沸いてくる感情に「あああ~猛烈に下品な味付けのものが食いてえ!」というのがあります。余程上流階級のお方でもない限り誰にでも普通にありますよね、そういうの。過剰な塩分とたっぷりの化学調味料をブチ込んだ脂分と糖質まみれの物体を、まったく噛まずに丸飲みするという、消化吸収の仕組みを無視した大人にのみ許された快楽。なんなら食後すぐ横になって寝たっていい。ああ、ちょっと体に悪そうなことって、なんでこんなにエンタテイメントに満ちているのでしょう!
 正しいことだらけで息苦しい現代、大人のための嗜好品の数々も「体に悪いことをやってはいけないって、なんでそんな簡単なこともわからないの?」とまっすぐな子ども視点で否定されてしまいがちな昨今……そういうことじゃないんだよ!
 ジャンクな食事には、それを摂取すると「食ってやったぜ!」という気持ちが満ちてきて多大なストレス発散効果があります。食事は単に美味ければいいもの。しかし、食事は単に美味い以上のこともできる。満腹感や味覚以外の部分だって満たすことが可能な、非常にドリーミンでインタレスティンでミュージックスターティン(大友康平の過剰なモノマネで)なものなのです。

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 というわけで、飲食を超えたアミューズメントを飲食店に期待してしまうよくばりキッズの皆さんに自信をもっておすすめしたい店があります。それが今回ご紹介するラーメンチェーン店の来来亭です!

 滋賀県の1号店を1997年に開店したのを皮切りに、新潟から鹿児島までの全国35県に200軒以上もの支店を展開。基本は大人から子どもまでどんな客層にも喜ばれる京都風醤油ラーメンで、鶏ガラスープの上に背脂が浮いた京都のラーメンそのもので、その味はスッキリとして上品です。
 ……ハイ、今おかしなこと言いましたね?
 そうです! 普通にラーメン注文して食べたら割とあっさりとしたオーソドックスな醤油ラーメンが出てきます。そう、来来亭最大の特徴は、味を自由にカスタマイズ可能で、それをギターアンプで言うところのフルテン(最大値)までアゲるとスーパージャンク仕様なウルトラ雑味てんこ盛りラーメンにできるってことなんです!!!
 ラーメン注文時、メニューに載っているこれらのポイントを自分好みに言っていきます。

 ●麺の硬さ(硬め・普通・柔らかめ)
 ●醤油の濃さ(濃いめ、普通、うすめ)
 ●背脂の量(多め・普通・なし)
 ●一味唐辛子(普通・なし)
 ●ネギの量(多め・普通・なし)
 ●チャーシュー(脂身・赤身)
 ●情熱(抜けません!)

 通常、左側から小さい数値順に並べていくものだと思いますが、麺硬め!醤油濃いめ!から先に表記されている辺り、「YOU、ガツンといっちゃいなYO!」と推奨されているように見えます! ここはひとつおもいきり乗っかって【麺硬め・醤油濃いめ・背脂多め・一味普通・ネギ多め】にカスタマイ~~~ッズ! ただチャーシューは経験上赤身のほうがこのハードコアラーメンには合う気がしますので、自分は【チャーシュー赤身】で食べています。あと、とても気になると思いますが【情熱(抜けません!)】については「情熱はどうしますか!?」と店員さんが聞いてくることはまずありませんのでスルーの方向で。もし情熱についてのくだりで忙しい時間店員さんに「情熱とは!?」とやり取りを臨もうとすると、マクドナルドで「あの0円のスマイルってメニューください」と言った時と同じような変な空気になること必至ですのでご注意を(よし、今度やってみよう)。

 というわけで出てきたハイこれドン!

味玉ラーメン
【麺硬め・醤油濃いめ・背脂多め・一味普通・ネギ多め・チャーシュー赤身】!

 これだよこれ! 美味さも塩分も脂分も化調もすべてがトゥーマッチなやりすぎフルテンラーメン! 人を太らせるために最適な脂肪と糖の集合体に塩分をこれでもかとブチ入れた健康オタクが眉をひそめる最高な一杯! 罪悪感すら覚える麻薬的な美味さが脳に直接ブッ刺さる! それでいてこってりしすぎずスルッと食せてしまうのは、もとの鶏ガラスープがスッキリしているから。ハードコアにして美味さを崩さずブーストだけしていて、そこが来来亭のラーメンのすごさなのである。昼食べて同日夜また食べたくなるほどあと引くジャンク性……気がつけば虜になり、うっかり「今年のハロウィン、来来亭店員のコスプレしようかなあ」等とおかしなことになっている俺がいる(割と本気)。

 来来亭といえばラーメンだけじゃございません! サイドメニューもいい感じの雑味にあふれた味濃い食揃い! ラーメンに合わせるのに最適な半チャーハンがこれまたしょっぱい(そこがいいの)!!! 塩分の多いラーメンと一緒に食べるのだから、チャーハンは薄味にして健康に留意!とかそんな眠たいことは絶対に言わない、満足度優先の現実主義に満ちた味付けが来来亭流!! しょっぱいが故にうま味も増して、もう、「抱いて!」って感じ! サイドメニューの雄・手羽唐の買えば買うほど安くなる酔拳みたいなシステムといい、焼肉ポークのジャストなこってり感といい、すかした態度のメニューは皆無で、庶民の満足を貪欲に追求しており感動を禁じえない。最寄り駅から最低10分以上は歩く&国道沿いで駐車場完備の立地の店舗が多いにもかかわらず、飲むためのツマミや酒類が無闇に充実したりしていて、なんかそれ大丈夫なの? とちょっと心配になるのもたまらない。自動車の運転免許を持ってなくて本当によかった~ッ!(次ページへ)