【掟ポルシェの食尽族】第7回:NO MORE おせち料理
掟ポルシェの出身地・北海道留萌は数の子の生産地!
おせち料理が苦手な理由がもうひとつあります。それは、数の子です。掟ポルシェの出身地であります北海道留萌市といえば、実は数の子の加工生産地として有名でして。1910年代、留萌沖にはニシンが押し寄せ、町はニシン漁で大変栄えていました。ニシンが獲れなくなった昭和30年代以降、数の子の原産地はカナダやアラスカなどに移り変わりますが、水産加工業が発達した留萌での輸入・加工は継続され、今も数の子の全国シェアの95%を占めていると言われています。そんだけ町にあふれかえってると、さ~すがに食いたくなくなりますよね。
まったく食べないわけじゃないんです。むしろ子どもの頃は数の子の生産地だけあってよく食卓に上がっていました。母親が水産加工場にパートで行ってた関係でよく買ってくるわけですよ、数の子。それも贈答品には到底使えない折れたのとか見栄えの悪いクズ数の子みたいなのがしょっちゅう家の冷蔵庫にある。でもたらことか筋子と違って魚卵の中では格段に白飯のおかずに不適当。しかも安いの買ってくるからなのか当たり・はずれがあって、酷いのになると食感が完全ゴム。なんとか噛み切れはするものの、ゴム数の子を噛んでしまったときの食感を脳が記憶してしまい、「数の子=マズいときは恐ろしくマズいので食べるのやめておこう」になってしまったのです。数の子は俺の中で「高確率ではずれを引いてしまう魚卵界のロシアンルーレット」とも言えます。高級食材というのはある程度値段を出さないと美味いものが食べられないものでもあります。数の子の場合、高い金払ってまで食べたくないというか。そこまで好きじゃない。
今は美味しくなってる可能性はあります。かつお出汁と醤油と味醂で味付けしたものだとかは昔ながらの単なる塩漬けのに比べたら格段に美味いです。俺が子どもの頃の数の子はハードコアに塩漬けしたのしかなく、家庭で薄い塩水に浸して塩抜きしてから食べるものでした。そのまま食べるとしょっぱくて食えたもんじゃないわ、かといって塩抜きしすぎると苦味が出てマズくなるわ、結構美味く食べるのが難しいものでした。塩抜きに失敗したのを食べた原体験が数の子に対する印象を悪くしているのだとも言えます。
水産加工の拠点だけあって、小学校で工場見学に行くこともありました。商品として売られている数の子は、鮮やかな黄金色にするために実は過酸化水素にさらして漂白されているものです(現在は無漂白のものもある)。加工場見学ではまず工場長みたいな偉い人の挨拶があるものですが、過酸化水素抜けきってない数の子をつまみ食いして病院送りになった子どもがいるとかいないとかいうホントかよそれみたいな話を聞かされてビビらされます。ていうかそんなヤバいもんだったのかよ!という刷り込みも脳に加わり、数の子そのものへの恐れが未だに抜けきってないのもあります。幼児体験って恐ろしい!
調べてみると北海道留萌市は数の子の加工生産地ではありますが、地元ではそんなに食うものではなく、実際に多く消費しているのは関西方面の人なのだそう。JR留萌駅には巨大な木彫りの数の子のオブジェなんかもあって、町を挙げて相当数の子押しではありますが、あの、俺たちもう一生分数の子食べたんで、観光客の皆様どうぞ食べてってください! おせち料理も俺はいいからみなさんが召し上がっちゃって!
掟ポルシェ 今後の予定
2020.1.26(日)
『ロマンポルシェ。男の22周年ハンパしちゃってごめんツアーSAPPORO大会』
@札幌 SPIRITUAL LOUNGE
2020.1.27(月)
『スナック掟ポルシェ in サッポロ』
@札幌 SPIRITUAL LOUNGE