【掟ポルシェの食尽族】第8回：北海道の魚卵〜掟流！生筋子の醤油漬けレシピ〜

[2020/2/11 12:00]

自称「食べもののことになると人格が変わる」ほど食に執心する“食尽族”でミュージシャンの掟ポルシェ（ロマンポルシェ。、ド・ロドロシテル）が、実際に食べてみて感動するほど美味しかったものや、はたまた頭にくるほどマズかったもの、食にまつわるエピソードについて綴る連載。読んで味わうグルメコラムがここに！

第8回：北海道の魚卵〜掟流！生筋子の醤油漬けレシピ〜

地球温暖化で困ること……それはサケの不漁！

　暖冬です！　これは地球温暖化してるっぽい！　いかんことのようによく言われるけれども、実際地球が温暖化して困ることなんかあんの？　日本全体が沖縄みたいに気温ガン上がりしたら最高じゃない!?　　俺、生まれが北海道なんで、南国ってだけで無条件にいいなと思っちゃうんですよね！　あれでしょ、沖縄って水道の蛇口ひねるとシークヮーサージュースが出てくるんでしょ（愛媛とゴッチャになってる水道から水以外の何か出る情報）？　いいんじゃないでしょうか！　「地球温暖化すると海面が上昇して住むとこなくなる」とか、あんなんウソウソ！　意地汚い奴が無理矢理メシの種作ろうとして適当なこと言ってんじゃないっつの！　んなわけねーだろバカ！　ってことでもう俺とか率先して人より多めに二酸化炭素吐いてますもんね！　地球さ～ん、あったかくな～れっ！　ヒィヒィフゥ！　ヒィヒィフゥ！　……（部屋の温度計を見て）変化なし。すぐには温暖化、無理みたい。うーむ。
　……いや、地球温暖化して日本が全部沖縄みたいになったら、困ることあるな。やっぱあれでしょ、海で穫れる魚全部イラブチャーになるってことでしょ？　そんなことはない？　だって、実際今でも日本近海で穫れる魚、どんどん変わってきてますよね？

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　というわけで、雑な環境ボケから始まった『掟ポルシェの食尽族』、今回のテーマは、“北海道の魚卵”です（前回散々数の子ディスした直後に）。地球温暖化の影響なのか、日本近海の水温がマジで上昇してまして、ここ数年で低水温を好む魚の回遊ルートが北上して日本から遠くなり、漁獲高が減少しています。ここ5年ほど特にその傾向が深刻で、サケやサンマの記録的不漁のニュースをご覧になった方も多いでしょう。サケが不漁だと、当然イクラの値段も高騰します。2016年には北海道標津町にあるサケの人工孵化場からメスのサケ200匹の腹が切り裂かれ、魚卵だけが盗まれるという事件もあったほど。イクラ泥棒が出る時代！　恐ろしい！　でもそのくらい希少になってきているのも事実です。

　全国有数のサケの産地である北海道では、イクラはスーパーで生筋子を買って自分で醤油漬けにして食べる人も多いです。で、俺がその“自分で生筋子買って醤油漬けにして食べる人”です！　これ書いてるのが2月なんで季節外れで本当に申し訳ないんですけど、サケが獲れ始める秋口になると、魚屋やスーパーの魚売り場に生筋子が並びます。当然、見かけたら買います。サーチ・アンド・デストロイならぬサーチ・アンド・バイです。北海道から上京した直後はお金がなかったので買えませんでしたが、2000年過ぎて掟ポルシェ業務で多少経済的に余裕が出てきてからは、ずっと自分漬けしてましたんで、イクラの値段の推移も大体記憶しています。2010年までは100g＝198円程度、高くても298円とかだったので、よく買ってました。庶民にも手が届く値段ですね。それが2013年のサケ不漁により100g＝498円にまで一気に値上がります。以前から比べると倍の値段になったわけですが、これが最高値ではありませんでした。以降もサケは不漁続きで、2018年にはピーク時の10分の1しか獲れないという事態になり、100g＝798円（！）を記録。もうここまでいくとさすがに庶民には手が出ません。俺の財布の中身も当然庶民以下のカツカツなわけですが、なんせメシのことになると頭がおかしくなる性分。服だとかCDだとかは買うまで猛烈に悩んだり出し惜しみして結局買わなかったりするところ、食べものになると迷わず買ってしまいます。その年は800gくらい買って税込7,000円分ぐらい血の涙を流しました……。2019年秋は多少カンバックサーモンしてくれたようで、100g＝598円ぐらいが平均価格でした。10年前の3倍にもなるわけですが、うまいから仕方がない。己の味覚を人質にとられた気分でした。

　でもね、買うともう嬉しくてですね。記念写真とか撮っちゃいますもんね！　記念の写真を撮りましょうね～って、東京だよおっかさんじゃねえんだから。見ます？　こんな感じです！　ハイこれドン！