【掟ポルシェの食尽族】第24回:点数よりも気にすべきはアレ!〜食べログで自分好みの店を探す方法〜
自称「食べもののことになると人格が変わる」ほど食に執心する“食尽族”でミュージシャンの掟ポルシェ(ロマンポルシェ。、ド・ロドロシテル)が、実際に食べてみて感動するほど美味しかったものや、はたまた頭にくるほどマズかったもの、食にまつわるエピソードについて綴る連載。読んで味わうグルメコラムがここに!
第24回:点数よりも気にすべきはアレ!〜食べログで自分好みの店を探す方法〜
食べログ大好き! ロゴマーク刺青にして彫りたいぐらい!
普段はおだやかな性格なのにギターのことになると突然人が悪くなるギターマニアの野村義男さん(以前インタビューして確認済みです、RESPECT!)のごとく、食べ物のことになると途端に人が悪くなる飲食マニアの掟ポルシェが、全国津々浦々に存在するそれほど旨くもない食べものを前触れもなく取り上げてブツブツ文句を言う食の当たり屋連載コラム『掟ポルシェの食尽族』。今回のテーマは“食べログについて(&名物にうまいものなしPart2)”です(しつこい)。
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まず言っときますが、食べログ大好き! あの箸を持ったロゴマーク刺青にして彫りたいぐらい! 飲食店でマズいもの食わされた途端やおら着ていたシャツを脱ぎ、刺青見せつけて「ふざけるなよ、俺が食べログだ!」とインネンをつけ、結果地元のおっかない人が出てきてややこしいことになったとしても俺的には本望! だって大好きなんだもん、食べログが(その後カカクコム本社に呼び出されて厳重注意)!
まぁそんな食べログポケットジョークはさておき、ところでみなさん! 食べログをどう使ってます? まず、普通の使い方としては、初めて行く知らない店の情報を得るときに使うのではないかと思います。例えば、仕事でどこそこに行く。で、その土地になんか旨いものってないかな? と、初めて訪れる土地でハズレ引かないように前もって検索する、それがオーソドックスな使用法じゃないかと。え? 「旅先では名物を食べるでしょ?」って? おいおいおい、勘弁してくださいよ~。旅先で迷わず名物を食べる……さてはあなた、そんなに食事に興味ないでしょ!?
コロナ禍の現在ちょっと難しいでしょうが、出張先旅行先等、よその土地に行くときに思い出してほしいのが、当連載第15回『なぜ名物はマズいのか? その理由はコレだ!』の回(https://33man.jp/article/column43/009221.html)。昔から俗に言う“名物にうまいものなし”の真相を考察した拙稿ですが、「名物だからうまいものに決まっていると勝手に思い込まれた結果、現代的な味覚とかけ離れた数十年~数百年前の味であるにもかかわらずありがたがられ続け、名物はいつまで経っても進歩せずマズいままなのだ」というのが大方の論旨です(食べログがテーマだっていうのに、また地方の名物の悪口コラムになってる! 毎度すみません!)。
以前、仕事で長野県松本市を年に数回訪れていました。最初に行ったのは2000年代半ばだったでしょうか。で、一応ね、ここでは何が美味しいですか?とその土地の人に聞いてみて、それに従っていた頃もあったのです。まだ食べログのような信頼できるサイトも存在していませんでしたしね。で、長野といえばそばとジンギスカンという、「わざわざそこで食わなくてもよくない?」的な、謎の名物を紹介されます。一応両方とも食べてみました。特筆するべきものではない、普通のそばと普通のジンギスカンでした(その頃いい店がまだなかったのかもですが)。マズくもなければ旨くもない、55点ぐらいの料理を「これがオラが町の名物ッス! さぁどうぞ遠慮なく!」と言われても困るよなぁと。東京のジャズが流れるおしゃれそば屋に劣るものが名物? チルド技術の革新により肉の旨味が保証されるようになった札幌のジンギスカンのクオリティに届かないこの羊焼いただけ雑料理が名物? よそから来た人には名物を紹介するのがマナーみたいなところがあると思いますが、そういうのは本当~ッによくない! 悪しき習慣!
どの街だって、旨いものってのは探せばあるんです。ただ、地元の人が教えてくれないんですよ、これがまた。「え、そんなのでいいんですか、せっかく〇〇(地名)に来たのに?」と言われるけど、「そんなの」でいいんです! 自分たちが普段食ってる旨いものを教えてくれよと。お願いしますよと。第一これよ、お前ら名物だからつってお前らもしょっちゅう食ってんのかって。観光客に勧める時限定の料理じゃねえのかって。ラーメン屋でも居酒屋でもなんでもいい。旨いもの食うのが趣味の人が通う店みたいなのを教えて欲しい。食べものに興味のそれほどない人がなんとなくぼんやりすすめる名物はもう嫌だ。ノーモア名物!
ちなみに長野県松本市では、これまでの経験上、フレンチやイタリアンを食べると当たりが多い印象です。いつも行くのはこちら、
『Ristoro Cocteau's (リストロ・コクトーズ)』
https://tabelog.com/nagano/A2002/A200201/20001386/
仔羊や鴨等が美味しいイタリアンです。量は多め。以前ここで食べた秋刀魚のパスタが最高でした。要予約。コロナ禍の現在、ランチ営業を見合わせるなどしているようですので、各自調べてみて下さい。点数は3.21で実際の料理に比べて不当に低いと思います。ワインも充実。
あとは、毎年りんご音楽祭出演時に出店しているこちらも美味しいです。
『エスニックカレーメーヤウ (信大前店&桐店)』
https://tabelog.com/nagano/A2002/A200201/20000053/
タイカレーの名店メーヤウは東京に数店舗の他松本もあった! ……と言いたいところですが、メーヤウの歴史に詳しい方ならそのファミリーツリーの複雑さ故か信濃町のメーヤウから「支店はありません」と声明が出される等、触れてはいけない感じになっていたり。それはさておき、こちらのカレーも素晴らしいです。信濃町よりも早稲田や神保町メーヤウに近いような、タイカレーを基礎にしたオリジナルなカレーとなっています。信大前店は食べログ3.58。辛いものが食べたかったら迷わず松本ではメーヤウです!
食べログを見る際、本当に気にすべきは点数よりもアレ!
地方都市では海が近くにあれば鮨、海なし県ではイタリアンやおしゃれな店に行くと正解が多い。おしゃれカフェだと思ってナメてるとたまに「なんだこれ!?」ってくらい旨いものに遭遇することもありますし。そういうときには、気取りのない料理から教えてくれる地元の人たちの声よりも、気取っていようが最終的な点数は味の評点である食べログの方が信頼性は高いと言えるでしょう。
「食べログなんて当てにならない」と言う人もよくいます。そんな方はきっと、食べログの使い方をご存じないだけ。「食べログで3.5点だったのに、全然旨くねえじゃねえか!」と怒る方、食べログの点数をそのまま鵜呑みにしてますよね? そりゃあね、人間ですから、好みってものがあります。好みに合った料理を高評価するのは当然ですが、食べログには当然、自分と正反対の味覚の持ち主もレビューを書いているはず。そう考えると、本当に気にするべきところは点数よりも料理の写真です。自分の好みに合った料理の見た目と近いものを食べれば、高確率で旨いものに出会えます。鮨なんかはわかりやすいですよね。握り方、ネタの切り方。仕事の形跡は味に反映されます。自分が思う理想に則った綺麗な鮨がマズかったことはあまりありません。レビューで板前がおしゃべりだったとか書かれているのを読むまでもなく、板前がしゃべり過ぎで鮨に集中できてない感じは、握りの様子に最初から表れています(余計なおしゃべりが多い鮨屋は何故か海苔の切り方が雑。以上俺調べ)。レビューの文字には好みや恣意は反映されますが、写真だけは嘘をつきません。
つまり食べログの使い方は、こんな感じになります。
1:その土地(駅名)の総合ランキングをまず見る。
2:上位のものからその中で料理の写真を見て、自分の好みに合った店を見てみる。
3:レビュワーの文言から本当にこれが自分の好みに合致する料理か見極める。
この3点を押さえていけば、そこまでの間違いはないと思います。自分の場合、最近鶏や豚骨の清湯スープの醤油ラーメン(魚介煮干しとのWスープだとなお信頼性高し)をよく食べているので、「東京 清湯 ラーメン ランキング」で検索をかけると、食べログでそれらしいもののランキングが出てきます。もうどれ食べても当たりそうな上に、300位ぐらいまで行っても食べログ評価3.7程度だったりして、嬉しい悲鳴で声が嗄れそうです。これだとキリがないので、電車に乗ってダルくない距離の行ける範囲の店に絞ると、それでもまだまだ100件以上あります。そこで、ラーメンの写真を見ます。清湯スープの澄み方、色の具合から大体の塩分濃度を推測、具材が鶏と豚か牛の低温調理チャーシューが2種乗っていたらもう当たりはもうそこまで来ています。望みのラーメンにイーシャンテンです。メンマが穂先のやつを長くカットしたやつだったりしたらもうほぼ当たり。最終的にレビューを見て塩分濃度や使用している出汁の原材料を確認したら電車でGO!です。店で言えば高円寺の『六九麺』、東長崎の『カネキッチンヌードル』など、最近ではもう見ただけで「これ俺が絶対好きなやつ!」がわかるようになってきました。他にも清湯スープのラーメンについては当連載第21回(https://33man.jp/article/column43/010002.html)でガッツリ目に書いておりますのでそちらご参照ください。
自分が普段行っている店だと、こちらが特に食べログ評価が高いです。
東中野『かしわぎ』。
https://tabelog.com/tokyo/A1319/A131901/13209326/
数年前にここで醤油清湯スープのラーメンを食べたことから「この手のラーメン」にドハマリ街道一直線です。中野に仕事場を借りていた頃は自転車こいでよく行きました。醤油の返しが濃厚で旨味も塩分量も濃厚、清湯スープですがここ数年トレンドの淡麗系とは一線を画した淡さのないオリジナルな美味しさが魅力です。中細麺に醤油の旨味を謳歌したしっかりめ清湯スープが絡んで天国の味わいです。具材が何度かマイナーチェンジしており、ここしばらくメンマは超極細のブランドメンマ金の糸を使用しているのも見逃せません。それになんと言ってもラーメン1杯680円という、福岡のとんこつラーメンみたいな低価格も魅力! 食べログ評価は3.88! 納得です!
以上、ご紹介しました猛烈に好みの味の美味しいラーメンたちとも食べログがなければ出会えなかったわけで、本当に食べログ運営のカカクコム本社がある代官山に足を向けて寝られず、『耳マン』編集部のある神保町にも足を向けて寝られず、結果的に立ったまま東海林太郎のように直立不動の姿勢で眠る日々です。ウソはよくない。
掟ポルシェ 通販サイト開店!
『掟ポルシェ泥棒市場』https://okite.theshop.jp/