『LLR伊藤の大家族に生まれて良かった!』第6回:恐ろしいニックネームも!? 大家族ならではの“呼び名事情”
10人兄弟、12人家族のなかで育ったお笑いコンビ・LLRの伊藤智博。にぎやかな暮らしを送ってきた彼が、自身の半生を振り返りながら大家族ならではのエピソードを綴る連載っ!
伊藤家特有のバラエティ豊かなニックネーム紹介
10人兄弟の6番目の僕は、兄、姉、弟、妹が全部いるんですが、兄のことを「お兄ちゃん」と呼んだことも、姉のことを「お姉ちゃん」と呼んだことも、僕自身が妹や弟から「お兄ちゃん」って呼ばれたこともありません。
大家族では「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」と呼ぶ文化はないんです。該当者がたくさんいるので。伊藤家では、基本的に名前だったり名前を省略した呼び方でした。僕だったら「智博(ともひろ)」なので「トモ」です。ただ、何人かは特殊なニックネームで呼ばれてたので、今回はそちらを紹介したいと思います。
まず、1番上の長男は「おにぃ」と呼ばれてました。これはシンプルですね。お兄ちゃんを略して「おにぃ」です。みんなのお兄ちゃんである長男の特権ですね。そうすると、2番目の長女は「おねぇ」って呼ばれてるんじゃないかと思いますよね?
残念、違います。長女はなんと「ビッチ」と呼ばれていました。今考えるととても恐ろしいですけど、みんな当たり前のように「ビッチ」と呼んでいたんです。もちろん、世間で使われてるような意味ではありません。聞いたところによると、『小さなバイキングビッケ』という昔テレビでやってたアニメの“ビッケ”というキャラクターが好きだったからとのことです。
なぜ「ビッケ」が「ビッチ」になってしまったのかというと、以前お話した「マミー」と呼ばれている母方の祖母がいるんですが(第5回:夏休みの命運を握るドキドキの田舎帰省)、マミーは日本語よりも英語のほうが得意で、日本のカタカナ言葉を使うときは、とてもネイティブな発音になります。そのマミーが使う「ビッケ」という言葉が子どもたちには「ビッチ」に聞こえて、そのまま「ビッチ」と呼ばれることになったらしいんです。みんな外でも大きな声で長女のことを「ビッチー!」と呼んでいました。なにも知らない人が見たらとても恐ろしい家族ですよね。両親もなんで直さなかったんだろうなぁ。
聖書に由来する珍しい呼び名も……?
そして3番目の次男は、「ピーター」と呼ばれていました。名前とはまったく関係ありません。我が家は両親とも敬虔なクリスチャンで、子どもたちは小さい頃に洗礼というのを受けて洗礼名をもらいます。その洗礼名は聖書に出てくる聖人の名前を付けられるのですが、次男はイエス・キリストの使徒のひとりである“ペトロ”が洗礼名でした。そのペトロを英語読みしたのが「ピーター」です。
長女のことはさすがにもう「ビッチ」とは呼んでいませんが、「ピーター」はいまだに現役でみんなから呼ばれています。思春期の頃は嫌だっただろうなぁと思うんですが(実際、友達にいじられてるのを何回か見ました)、いつかどう思ってたのか聞いてみたいです。ちなみに、僕も“ヨハネ”という洗礼名をいただいているので、そのルールでいくと「ジョニー」と呼ばれる可能性があったのですが、実際そうならなくて本当に良かったなと思ってます。
あと、僕のすぐ上の兄(5番目・3男)は名前から1文字とって「ブー」と呼ばれていました。何気に結構ひどい呼び方ですよね。
このように、伊藤家では「お兄ちゃん」「お兄さん」「お姉ちゃん」「お姉さん」などの呼び方は存在していません。個人的に、「お兄さん」と呼ばれることに憧れがあり、妹が結婚すると聞いたときには「チャンスが来た!」と期待したのですが、妹の結婚相手が僕より10歳年上ということで見事に打ち砕かれました。
そして自分も結婚することになり、奥さんは4人姉妹の長女で妹が3人います。3人ともとても可愛らしくておもしろくて僕にもとても気を遣ってくれて、本当に素敵な義理の妹たちです。その奥さんの妹さんたちは親しみを込めて僕のことを「伊藤さん」と呼んでいます。
今書いてて気付いたんですけど、現段階で僕のことを「お兄さん」と呼んでいるのは、1年後輩の銀シャリの鰻だけです。