『LLR伊藤の大家族に生まれて良かった!』第3回:トイレが空かない朝、玄関でさまよう靴、父の自作宿題……伊藤家の1日あるある

連載・コラム

[2023/6/16 12:00]

10人兄弟、12人家族のなかで育ったお笑いコンビ・LLRの伊藤智博。にぎやかな暮らしを送ってきた彼が、自身の半生を振り返りながら大家族ならではのエピソードを綴る連載っ!


なかなか起きない子どもたちに奮闘する母

どこのご家庭でもそうかと思いますが、大家族の朝はそれはもう大変でした。正確に言うと、母が大変だったと思います。

僕の家ではリビングのドアの前にホワイトボードが設置されていて、連絡事項が書いてあるんですが、そこに各々が朝起こしてほしい時間を勝手に書いていました。10分単位で違うし、基本的にふたり以上の部屋割りなのに個別に起こしていったらとても手間なので、母は子どもたちの希望時間より少し早めに起こすことも多かったです。しかし、あと少し寝れるというタイミングで起きる人なんて誰もおらず、当初の予定時間を過ぎてから起きだして「なんで起こしてくれなかったの!?」「いや、ちゃんと起こしたから!」「言ってた時間と違うじゃん!」「じゃあ自分で起きなさい!」みたいなやりとりが、毎朝繰り広げられてました。今思うと、本当に迷惑かけてたと思います。

母の起こし方は、まずは階段の下から大声で呼びます。その際に「ヒロー! あ、ノブー! あ、トモー!」とよく名前を間違えて、最終的には全員呼ぶなんてこともあります。それでも起きないとなると、直接部屋まで起こしにいき、ひとりがちゃんと起きたらそのひとりが次の人を起こしにいき、さらにその後は、起きてるメンバーのなかから誰かが起こしにいく……というサイクルが生まれます。

ほとんどの兄弟が“余裕を持って起きる”なんてことはしないので、何もかもが奪い合いになります。洗面所、トースター、牛乳……特に大変なのがトイレです。1階と2階にそれぞれひとつずつトイレがあったのですが、朝は常に誰かが入っている状態でした。もう家を出なきゃいけない時間が迫ってるけどトイレが空かず、結構ギリギリな状態のまま学校へ向かったことも何回もあります。

大家族の靴は動く……?

あと、時間ギリギリで家を出るときに何気に大変なのが、玄関で自分の靴を見つけることです。それなりに広い玄関だったんですけど、そこが靴でビッシリ埋まっていました。特徴的なスニーカーとかだったらすぐに見つけられると思うんですけど、我が家は意外とシンプルな靴が多かったので本当に見つけるのが大変でした。

みなさんは、「帰ってきたときに靴を脱いだ場所を覚えておけばいいじゃん」って思いますよね? 違うんです。そのあとに帰ってきた人が自分の靴を置くスペースを作るためにほかの人の靴を移動させたりするので、常に同じ位置に自分の靴はないんです。靴は動くんです。全然見つからなくて泣きそうになりながら玄関から文句を言ったことも何回もあります。

末っ子(10番目)の結婚式のときの兄弟写真です

教育熱心な父による自作の宿題の思い出

慌ただしい朝に比べると、学校が終わって家に帰ってくるのはそれぞれバラバラの時間なので、比較的のんびりしていました。ただ、僕の家には「小学生は学校から帰ってきたら、父が作った宿題をこなさないと外に遊びに行ってはいけない」というルールがありました。今考えてもとても厳しいルールだと思うんですが、それ以上に、長年の間常に3、4人いた小学生の子どもたちの宿題を忙しい仕事の合間に作っていた父は、本当すごいと思います。これだけ教育熱心だったのにこんな結果で、本当申し訳ないという気持ちでいっぱいです。

今思うと、この宿題のおかげで中学までの僕の成績はだいぶ良かったほうでした。高校に上がって勉強が自己責任になった途端、みるみる成績は落ちていき、250人くらいの学年全体のなかで4人しかいなかった、1番下のランクのE判定という不名誉な成績で高校生活が終了しました。本当にごめんなさい。

こうして思い出してみると、「子どもの頃はじつに両親に迷惑をかけっぱなしだったんだな」と反省するんですが、塾の月謝をゲームセンターで使い込んだり、公園で捕まえた犬を「1日だけ預からせて」とお願いしてそのまま我が家で飼うことになったり、友達が僕の家に“当時流行っていたCMソングを歌う”っていうイタズラ電話をしてそれを聞いた母が「上手だね〜」と返事していて恥ずかしい思いをしたりと、ほかにもたくさん迷惑をかけてきたので、いつかその話もできたらと思います。

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伊藤智博(LLR)

いとうともひろ●1979年10月16日生まれ、東京都小平市出身。12人の大家族に生まれ、自身は10人兄弟の6番目。2001年、NSC東京校(7期生)に入学し、高校の同級生で同期の福田恵悟とお笑いコンビ・LLRを結成。ツッコミを担当している。2014年にはお笑い番組『THE MANZAI』の認定漫才師に選出。YouTubeチャンネル『LLRのYouTube Factory』では、趣味の漫画について独自の視点で魅力を語る動画を定期的にアップしており、漫画をテーマにした漫才も公開している。ツーリングが趣味で、レイザーラモンRGと福田光徳(チュートリアル)を中心とした芸人仲間で結成された『RGツーリングクラブ』のメンバーとして、バイクイベントなどでも活躍中。最近では舞台の脚本も手がけるなど、活動は多岐にわたる。