ミュージシャンやアーティストも登場 “白目”の写真展に行って来た!

特集・インタビュー

[2016/1/14 17:00]

白目の人物写真のみが展示されている写真展
1月8日から20日まで新宿眼科画廊にて行われている沼田学さんの写真展『界面をなぞる 4』。この個展は、なんと“白目”の人物写真のみ約100点展示されているというほかに類を見ないもの。タイトルのとおりこのシリーズの展示は4度目となっている。どうして白目なの!? そんな疑問を抱きつつギャラリーに潜入した。

新宿眼科画廊はロゴのフォントもイカすギャラリー

沼田さんは雑誌や広告でも活躍するカメラマン
沼田さんは雑誌や広告などでも活躍するカメラマン。俳優やミュージシャンなど多数の著名人を撮影するほか、コムデギャルソンとディズニーのコラボレーションのファッションフォトから、東京のホストクラブで働く男性たちを撮影したものまで、幅広くユニークな作品を撮っている。

沼田学さんご本人

ひたすら白目、白目、白目
会場に入ると、ひたすら白目を剥いている人々の写真が。もはや美人かどうかもわからない、表情さえもわからない。黒目がなくなるだけでこんなにも人の印象とはわからなくなるのだと、とても不思議な気持ちになる。なんとこれらの写真たちは自力で白目を剥いているわけではなく、画像修正ソフトで加工しているわけでもなく、沼田さんが編み出した独自の照明の当て方で白目を演出しているそうだ。

こんなにたくさん並ぶと迫力がすごい

どうして白目なのか
沼田さんは「目は口ほどにものを言うのか?」といったテーマで写真を撮影しており、顔のなかでなくなったら最も違和感がある部位を考えたときに “目”だと思い、白目の写真を撮ることを思いついたそう。「人の心や内側は、写真には絶対に写せない。だからこそ、ひたすら、正確に、“外側”を撮りつづける」という言葉のとおり、モデルとなった白目の人々は無機質な“外側”に見える。

人の部屋をのぞいているような感覚も
また、ほとんどの写真が映っているモデルの自宅で撮影されており、本人のイメージとマッチしているのもおもしろい。本棚のラインナップから壁に貼られたポスター、飾られている雑貨などひとつひとつにその人の趣味嗜好や人間性が表れているようで、すみずみまで見たくなってしまう。今回の展示にあたり沼田さんは3〜4ヶ月の間、自身が乗っているバイクに機材を常に積み込み、いつでも撮れる準備をしていたそうだ。その期間で100名もの人の自宅に伺い撮影をしたという。

部屋のディティールがとても気になる

元コレクターズ小里誠や中村 中など多数ミュージシャンも白目
モデルには多数のミュージシャンやアーティストも参加している。ザ・コレクターズの元メンバーでベーシストの小里誠や、シンガーソングライターの中村中、バンド・詩人の血のボーカル辻陸詞などジャンルもさまざまだ。しかし白目を剥いていることによって誰だか気付かないくらいわかりにくくなっているのも興味深い。

よく見ると小里誠さん……?

白目をイメージしたアロマ“White Eyes”
ほかにも会場のなかで気になったのは、白目をイメージして作られたアロマ、その名も“White Eyes”。ヘアメイクアーティストのタテノマサシ氏が制作。沼田氏の出身地である北海道の「木と土の香り」がイメージされているそう。匂いをかがせてもらったら、確かに森のなかにいるようなフレッシュ且つエキゾチックな香りを体感できた。価格は税抜きで2,000円。

「個展のイメージと無関係な“森”の香り」との説明書きにも注目したい

個展は20日まで 白目に囲まれ”違和感”を味わおう
個展『界面をなぞる 4』は1月20日まで開催されている。脳内の延長にも見える部屋のなかに映る “違和感”を、画面ではなく紙の写真で体感してみてほしい。また、自分の好きなミュージシャンやアーティストを探してみるのもおもしろいかもしれない。そうそうたる白目写真に囲まれて、不思議な世界を味わってみてはいかがだろう。

[榊ピアノ]