フリースタイルダンジョンの“神回”を演出した話題のラッパー、焚巻に会ってきた!

特集・インタビュー

[2015/12/15 22:00]

『フリースタイルダンジョン』がアツい
“神回”と呼ばれた放送が話題に!
話題沸騰中の音楽番組『フリースタイルダンジョン』。挑戦者たちが“モンスター”と呼ばれる第一線のラッパーたちとフリースタイル(即興)ラップでバトルする番組だ。“ラスボス”として君臨するラッパーの般若が番組内でKREVAを挑発したり、たびたび話題となっている同番組だが、2015年に11月に放送され、“神回”と話題になった回があった。主役となったのは挑戦者として参加した焚巻(たくまき)。モンスターを4人撃破し、7年ぶりにフリースタイルバトルに参加したレジェンドラッパー般若とアツすぎるフリースタイルバトルを展開。そんな死闘に審査員、そしてオーガナイザーのZeebraもまさかの涙。ネットでも「アツすぎる」「泣けた」と話題になった。ここではそんな焚巻を直撃! 実際に話を聞いてきた!

話題のラッパー焚巻はこんな人
番組でも放送されなかった詳しいバイオ

焚巻は埼玉県川越出身の26歳。地元の先輩(ラッパー)に誘われたイベントがきっかけで、14歳の頃にラップを始める。その後、ヒップホップクルーJACKPOT ROCKERSに加入し、2008年には同クルーでアルバム『JACKPOT ROCKERS』をリリース。フリースタイルバトルの大会にも出場し、ULTIMATE MC BATTLE(UMB)埼玉予選では2010年、3 ON 3 FREESTYLE MC BATTLEでも同年に優勝している。2013年には現在の所属レーベルHUMANMUSICから、DJ DAIとのユニットNewjackSkillzでEPアナログ『BLACK SUN』をリリースした。
 現在は毎月第1金曜に池袋CLUB bed で開催中のイベント『THA INSIDE』、中野heavysick ZEROで偶数月に開催されている『Impression』にレギュラー出演中だ。

JACKPOT ROCKERS

BLACK SUN

ゴミ収集の仕事をしながら活動
本や映画から刺激を受ける
番組では清掃の仕事をしていると紹介されたが、実際はゴミ収集の仕事をしており、もう4年目になるという。「昔は二日酔いで仕事に行ったりして迷惑をかけたりもしましたけど、いつも活動を応援してくれてますし、本当に感謝してます」。ラップのほかには本や映画鑑賞が趣味で、特に本からは多くの刺激を受けているという。愛読しているのは中島らも、馳星周。「海外の本も好きで、ドナルド・ゴインズの『ブラック・デトロイト』はおもしろいですね。ピンプ(※女たらしという意味のスラング)の本なんですけど、世界観がヒップホップでかっこいいです」

Interview 話題の焚巻を直撃!

JACKPOT ROCKERS、HUMANMUSIC……
焚巻を作り上げてきた環境
――14歳でラップを始めたそうですが、もともとラップを聴いていたりもしていたんですか?
 家族が音楽好きで、昔から音楽は身近だったんですよ。そういうのもあって、小学校のときにはレゲエの三木道三さんとか、RIP SLYME、KICK THE CAN CREWとかポップなラップは聴いてました。
――その後、どんなラッパーに影響を受けた?
 ベタですけどNas。あとはフージーズ、ブート・キャンプ・クリック、ファット・ジョー、ウータン・クラン、D.I.T.C.とか。ウェッサイでは2パックとかスヌープ・ドッグも聴いたし……でもやっぱりニューヨークのほうが好きですね。
――焚巻さんのラップは言葉を詰め込んでいるのにすごく聴き取りやすくて……これは誰の影響なんですか?
 言葉でたたみかけるのはメソッド・マンのアルバム『4:21The Day After』の影響が強いかもしれないですね。ラップを始めた頃は彼のリリックを紙に書いて一緒に歌う練習もしてました。言葉がリズムのどこに入ってるかとかを研究したりもしましたね。
――日本人のラッパーではどんな人を聴いてきました?
 それこそ般若さんも聴いてましたし、漢 a.k.a. GAMIさんがいるMSCの『帝都崩壊』とかは15歳くらいの頃めっちゃ聴きましたね。テレビでは16歳とか言っちゃったんですけど……15歳の間違いっすね(笑)。
――じゃあここで訂正しておきましょう(笑)。そもそもフリースタイルはどうやって習得したんですか?
 JACKPOT ROCKERSのときによく合宿をしてて、そこで一晩中、曲作ったり、フリースタイルをやったりしてました。自分はまだ10代でしたけど、年上の人たちにかなり鍛えられましたね。その頃は365日フリースタイルをやりたくて、一日でもやらない日があると鈍る気がしてました。でも実は、最近はフリースタイルバトルに魅力を感じなくなってきてて……。
――それはなぜ?
 昔はけっこうみんなギラギラしてたから、バトルからケンカになっちゃうようなアツさがあって。フリースタイルって格闘技的なところがあるし、そのバチバチ感がリアルで好きだったんです。良いことなんですが、知り合いが増えていくにつれ現場の和気あいあいとしている空気に違和感を感じてしまった時期があって。それから曲のなかでラップをしっかり聴かせるっていうか、音楽としてラップをやるっていうモードになっていきました。
――そんななか『フリースタイルダンジョン』に出演したわけですね。
 正直、出るか迷いましたよね……。最近はバトルもそんなに出てないし、テレビに出るのはメリットもデメリットもある気がして。内容が良くても悪くても放送されるわけだから。でも、やっぱり名前を売れるチャンスだなって。まぁ、ぶっちゃけバカだからやっちゃおうって思っただけですけど(笑)。

Oh!Lee