フリースタイルダンジョンの“神回”を演出した話題のラッパー、焚巻に会ってきた！
焚巻、『フリースタイルダンジョン』を振り返る
【サイプレス上野戦】
ROUND1 焚巻4票／サイプレス上野1票
ROUND2 焚巻5票（クリティカル勝利）
※『フリースタイルダンジョン』のルール：3ROUND制で先に2ROUND取ったほうが勝ち。ROUNDごとに5人の審判による多数決で勝敗を決定。5人全員の票を得た場合（＝クリティカル）はその時点で勝利、試合終了となる。
――初戦となったサイプレス上野戦ですが、さすがにちょっと緊張していたように見えました。
ちょっと噛みましたからね（笑）。サイプレスさんとは去年、2対2でやるバトル『AsOne MC BATTLE』っていう大会で負けて。だから、ここでは勝ちたかったです。サイプレスさんは言葉のボキャブラリーがすごい。おもしろいことをたくさん言ってくるんですけど、それにうまく乗れてアンサーを良い感じに返せたのが良かったと思います。単調なことを言われてたら、単調な試合になってたはずだし、結果はどうなってたかわからないです。ラッキーだったのはROUND2のビートにサイプレスさんはあまり乗れてなかったこと。自分がなんとかキープできたから勝てたのかもしれないです。
【R-指定戦】
ROUND1 R指定3票／焚巻2票
ROUND2 焚巻5票（クリティカル勝利）
――R-指定戦、ROUND1は負けましたね。やはり手強かった？
R-指定は同じイベントに出たこともあるし、もとから知ってて。だからこのバトルだけは少し作戦があったんですよ。彼はアンサーがとにかくうまい。めちゃくちゃ返してくるんです。だから、先にラップさせる、つまり自分が後攻を取ってアンサーさせないようにしたんです。……収録日が同じだったラッパーのHIDEがくれたアドバイスなんですけどね（笑）。
――なるほど。
もちろんいつでも自分が最高だってバトルをしてますけど、R-指定戦は賛否両論あったんじゃないですかね。今回はルールが味方してくれたと思ってて、審査員のなかにはROUND1で俺が負けてるから、ROUND2では俺に勝たせて、延長が見たいって思った人もいるんじゃないでしょうか。それで俺のほうに票を入れたら5人揃っちゃった（クリティカルになった）っていう。自分的にこのバトルはクリティカルっていう決定打はなかったと思うんです。ルールに助けられた部分もあると思います。
【漢 a.k.a. GAMI戦】
ROUND1 焚巻5票（クリティカル）
――第4戦は大御所の漢 a.k.a. GAMIさんでしたね。
MSCのドープな世界観は日本のヒップホップを変えたとも言えるし、漢さんとの試合はめちゃくちゃ燃えましたよね。このフリースタイルは自分でも唯一納得できた内容で、字幕になってもおもしろいラップができたと思います。漢さんもちょっと調子悪い感じがしましたよね。自分的には自然に気持ち良くラップができたので、それが勝因だったと思います。
【般若戦】
ROUND1 般若4票／焚巻1票
ROUND2 焚巻3票／般若2票
ROUND3 般若5票（クリティカル）
――そして、2008年のUMB以来のフリースタイルバトルとなる“ラスボス”般若さんとのバトルです。このバトルでは「もちろん先行で！」と高らかに宣言しましたが、あの意図は？
これはあとからまわりの仲間に怒られました（笑）。バトルってやっぱり後攻のほうが有利なんですよ。相手が言ってきたことを肯定も否定もできるし、それをかわすことも、もっとアツく乗っかることもできる。だから結果にこだわるなら後攻を選んだほうがいいんですけど、なんかカッコいい勝ち方したくなちゃって（笑）！ なんだろ、カッコつけたくなっちゃったんですよ！
――（笑）。
でもやっぱり般若さんのオーラに飲まれてるところはありましたよね。バトル前にZeebraさんに「焚巻いける？」って言われたんですけど、あそこで「いけます！いけます！」って2回言ってるんです。それってテンパってた証拠だって先輩に言われて、確かになって思いましたよね。
――焚巻さんが会場の空気は掴んでた感じはありましたが。
俺がどんどん勝っていって、確かに会場も審査員もどんどん味方になっていってた感じはありました。でも、般若さんが出た瞬間にあの人の空気に変わっちゃったんです。一瞬でアウェーになっちゃいましたよ。そこにいる全員が般若さんのラップを待ってたんだと思います。
――とは言え、とても素晴らしい攻防で、審査員も涙するくらいのアツいバトルになりましたね。印象的だったやり取りはありましたか？
俺の「バイトして金稼いでる」ってラップに、「俺はヒップホップに就職してる」って返してきて。正直、あのパンチラインにはやられましたよね。“俺は結果出してるぞ！”ってう般若さんの言葉に、悔しいけどバトル中に納得させられちゃいました。悔しいっす。
