悪魔崇拝とロック(前篇)

連載・コラム

[2016/2/18 16:02]

『月刊ムー』でも執筆するライター長田遊馬氏が音楽にまつわる都市伝説に迫る!


サタニズムとは!?
今回は、私が最も好むロック、HR/HM、そしてギタリストにスポットを当ててみよう。

唐突だが、おそらくHR/HMはロック系のジャンルにおいて、最もギタリスト人口が多いことかと思われる。かくゆう私も中学生の時分に、先輩が持っていたSEX MACHINEGUNSのPVが収録されたVHSを観てギターを手にしようと思い、今に至っている。

読者諸氏も影響を受けたミュージシャンがひとりはいるはずだ。そして、ギターキッズに最も影響力のあったギタリストのひとりとして、X JAPANのhideの名があげられるだろう。

彼は人気絶頂の中、1998年5月2日に都内の自宅マンションで亡くなった。死因は自殺と報じられ、同月13日に発売された『ピンクスパイダー』、そして27日に発売された『ever free』が遺作となった。実は、そんな彼の死にまつわる噂=都市伝説が存在する。

なんと、hideが「悪魔によって殺された」というものだ。唐突すぎて、荒唐無稽に思えるかもしれないが、そうとしか考えられない事実がある。それを明かす前に、ロック界と悪魔=サタンの関係性について語っておかねばならない。

悪魔と聞いてイメージするバンドは何だろうか。日本では聖飢魔Ⅱ、海外では、やはりマリリン・マンソンだろう。マリリン・マンソンといえば悪魔崇拝(=サタニズム)、そして死を扱った楽曲も多く、非常にダークなバンドだ。ステージで聖書をバラバラに裂き、反キリストを全面に打ち出し、「I am the GOD of fxxk!!」と身悶えしながら絶叫。こうした過激なライブパフォーマンスなどで多くの人々を魅了し、瞬く間に全米屈指のメタルバンドに君臨した。

人気を集めたマリリン・マンソンだが、彼らのライブを観に行った若者たちの間で不可思議な現象が起きるようになる。それは観終わった若者たちが、顔をゆがめて拳を握りしめて「神を憎んでいる!!」という思いを抱いて帰るという現象だ。

日本のロック界にもサタニズムが浸食している
これは、単純にマリリン・マンソンが悪魔を崇拝しているからではない。実は、マリリン・マンソンは黒魔術師アントン・ラヴェイという人物が主宰していた「チャーチ・オブ・サタン=サタン教会」から正式に叙階(儀式で任命すること)された「真の悪魔聖職者」だからである。つまり、マリリン・マンソンは自分たちの楽曲を通じて、サタニズムを広めていったのである。そこからロックにはサタンの念が込められていると、指摘する者が現れはじめる。

多かれ少なかれマリリン・マンソンの影響を受けた人は、その世界観に取り憑かれてしまい、特に「死」に取り憑かれた人は、その先にあるものを追い求め、死に急ぐ。そして、真面目で一本気であればあるほどその傾向は強くなる。HR/HMのバンドマンの多くは人前でクレイジーな人物を演出するが、実際にはすごく真面目で礼儀正しく、人間ができている人が多い。hideは生前マリリン・マンソンとも交流があったようで、さらに真面目な人間だったとされる。そんな背景から“マリリン・マンソンの世界観に取り憑かれ、首を吊って自殺してしまった”という都市伝説が囁かれるのだ。

これは、あくまでも、サタニズム=悪魔の念がそうさせたという仮説であって、決してマリリン・マンソンがhideを自殺させたのではないことを、しっかりとここで述べておく。

今回は、hideの死にまつわる都市伝説を紹介したが、hideの遺作『ピンクスパイダー』と『ever free』には、マリリン・マンソンが崇める、堕天使「ルシファー」の存在を思わせる歌詞が存在する。つまり、日本のロック界にもサタニズムが浸食しているということである。

スペースの都合上、今回はここまでだ。次回は後篇とし、ロックバンドが作った楽曲に秘められたサタンの呪いの深層に迫りたいと思う。

【著者紹介】

長田遊馬
東京都出身。超常現象研究家の新星。幼少のころからUFOや超常現象に造詣が深く、オカルト界の重鎮・並木伸一郎を師と仰いでいる。専門誌「月刊ムー」でもUFO、UMA、超常現象に関する記事を執筆している。好きな音楽はヘヴィメタル。超常現象を研究するかたわら、『地獄のメカニカルトレーニングフレーズ』(リットーミュージック刊)を片手に、日夜スウィープ奏法を練習中。