ドルヲタ vs バンギャル世紀の飲み会を敢行! 推し、本命、認知、ガチ恋……闇に包まれた両ファン心理に迫る!?
プレゼントは、消耗されてしまうものが一番いい
ーープレゼントなどはあげたりしますか?
たまみ:アイドルの子に化粧品あげたらめっちゃ喜ばれました。SNSに写真アップしてくれたり。
怪人:化粧品は喜ばれるよね。
ーーそこは女性ならではの強みですね。
怪人:ですね、男子のヲタクにダメ出したことあるもん。「Lushの入浴剤やロクシタンのハンドクリームはめっちゃもらってるから、そこは避けろ」って。
ぱんたろう:ヲタがポンプフューリー(※リーボックのスニーカー)を贈ると他界する(※)という話が(笑)。
(※)現在通っている現場に行かなくなること
耳マン:ポンプフューリーなんてあげるんすか!?
ぱんたろう:レッスン風景などの映像から誰が何履いてるのかチェックして。ポンプフューリーをカスタマイズして用意するのに時間がかかるから、それまでに冷めてしまうという話なんですけど(笑)。まぁ、スニーカーをあげるようなヲタクは、あまり普通じゃないかもしれないけど。でも、あわよくばブログに載せてくれるようなプレゼントを、という傾向はありますよね。本当は消えるものをあげるのがベストなんでしょうけど。
ザジ:バンドマンへの差し入れはタバコと決めてます。消耗されてしまうものがお互いのために一番いいです。メンバーさんの銘柄リストを作って管理してます。
ーーファンレターは書きます?
ザジ:手紙書くのは好きですね。前に「みんなどんな手紙書いてるんだろう?」ってことで、友だち同士でお互いの手紙を読んで泣く、っていうのをやりました。
耳マン:やっぱり泣くんだ! ……というか、他人に見せられるんですね。
ザジ:これは、去年活動休止したMy BACTERIA HEAT IsLANDというバンドのみなさん宛に書いた冊子なんですけど、活動休止ライブの日に私の1年間の思い出を綴ってお渡ししました。メンバーさんの好きなところとか、この日のライブはここがこうでよかった、というのをひたすら書きました。活動休止した後、ボーカルの点々さん以外、全員脱退してしまったんですが、今度は点々さんのソロプロジェクトとしてまた始まるんです。(感極まりながら)点々さんは生まれながらのロックスターで……、ステージを降りたら死んでしまう人なので……(以下省略)
アイドルを追ってるだけで、お金も時間もいっぱいいっぱい
ーー女性アイドルとヴィジュアル系バンドマン、共通するところはあると思いますか?
ぱんたろう:すごく抽象的ですけど、アイコンとしての存在ですかね。ある種の信仰対象でもあるだろうし。男はアイドルに対して、なんだかんだいったところで恋愛感情みたいなものは少なからずあるわけで。それはバンドも一緒でしょうし。そもそも、アイドルやバンドのファンじゃない普通の音楽ファンって、好きな対象はどこになるんですかね?
怪人:感情の持って行きどころですよね。パッションはどこに向かうのか? 私も昔はそうだったんだけど、忘れてしまいました。一切思い出せない。
耳マン:う〜ん、あまりそういうことを深く考えたことはないかも……。
ぱんたろう:夏フェスやイベントに行って、ライブ見ながらみんなで酒呑んで、というのが当時は楽しかったのかなぁ。
耳マン:アイドルヲタの人たちは打ち上げとかでめっちゃ呑んでるイメージがあります。
ぱんたろう:大体自分の推しメンの話ばっかりしてて、話がまったく噛み合ってない(笑)。
ザジ:それはバンドも一緒ですね。同じライブを見ていたのに、感想がまるっきり違う。見てるメンバーが違うから。私はギタリスト、彼女はボーカリスト、みたいな(笑)。
耳マン:ぱんたろうさんと怪人さんは、以前のように夏フェスに行ったり、ロックシーンにはもう興味ないのですか?
ぱんたろう:興味ないというか、わからないですね。アイドルを追ってるだけで、お金も時間もいっぱいいっぱいです。土日はすぐ予定埋まるし。
怪人:ハロプロ追ってるだけでも、毎年正月と夏に全体のハロコン(※)があって、各グループのツアーが春と秋にあって、3〜4ヶ月に1回シングルリリースがあって、それに伴うリリースイベントがあって……。YouTube番組も毎週アップされるし、Twitterやブログチェックして、何かしら話題がある毎日だからそっちまで頭が回らないです。
(※)ハロプロ所属グループが一堂に会するコンサートツアー
ーーロックファンが突如アイドルにハマることも珍しくないですけど、“自称・ヲタク”な人も増えてるじゃないですか。なぜかオシャレ感覚になってるところもあったり、それがステータスみたいに思ってる人もいたり。
怪人:“サブカル”もそうですけど、雑誌とかで推奨してくるんですよ。
ぱんたろう:実際、そういう連中はヲタクじゃないよね、サークルのノリ。
ーーそういった人たちがたくさん入ってくることが、売れてきたという指標でもあったりしますよね。でも、それによって、古くからのファンと論争が起こったり。
怪人:売れてくると現場でも、昔ながらのヲタノリとサークルノリで別れちゃうんですよね。サークルノリが主流になっちゃって、本来のヲタ芸的なものが恥ずかしいと思えちゃったら、他界するか距離を置くしかなくなってしまう。逆に、ヲタは自分のことをヲタと言いたがらなかったりする人もいるから。
ぱんたろう:僕はアイドルヲタじゃないです。
たまみ:ここにいた(笑)。
ザジ:バンギャルも、「自分はバンギャルじゃない」ってよく言いますね。「このバンドが好きなだけ」って(笑)。
「あぁ、一生上がれないな」と悟りました。
ーーいつまでバンギャルやアイドルヲタクを続けていくと思いますか?
ザジ:社会人になって一度上がっていたし、30歳前には自然に上がるつもりでした。それが、CANTAでライブハウスに戻ってきたときに、まわりを見渡すとルーク(篁)さんと一緒に何十年も年齢を重ねているファンの人が多くて、「あぁ、一生上がれないな」と悟りました。今は死ぬまで応援したいと思っています。
たまみ:自分が10代のときに、バンドの追っかけやってる30代の人が雑誌に載っているのを見て、「こうはなりたくねぇなぁ」と思ってたけど、今まさに自分がそうなってますからね……。
ーーでも、アーティスト側から見れば、年齢層高いファンがいるほうが強みになりますから。
ザジ:絶対強いです。深い愛も財力も、すべてを持って全国を大移動しているというか。たとえば、ALFEEのファンのみなさんはバンギャではないけど、もう文化ですよね。高見沢(俊彦)さんのソロでルークさんがサポートしていたので、何度かライブに行ったことがあるんですけど、会場のステージまでの距離があっても心の距離が近いんですよ、長年見守っている人たちは。ライブが押して、泣く泣く先に帰る人たちが、あちらからは絶対見えないのはずなのに、ステージに向かってそっと手を振りながら去っていく姿だったり……。「お母さんかな?」と思いましたね。みなさん、人生を賭けて追ってらっしゃる方々ですからね、尊敬してます。私も点々さんのお母さんになりたい。
耳マン:いやぁ、アイドルヲタクもバンギャルも、みなさんおもしろいですよね、ギャグセン高いというか。
たまみ:おもしろくねぇよ!命賭けてんだよ、こっちは(笑)!
怪人:もう、闇と病みが深すぎて、笑うしかないんですよ……。