純粋でチャーミングな戸川純に現在の心境やファッション&美の秘訣も(!?)たっぷり聞いてきた♡

特集・インタビュー

[2016/12/26 17:00]

戸川純歌手生活35周年!チャーミングな純ちゃんによる現在の心境をたっぷりお届け

2016年に歌手デビュー35周年を迎え、11月25日に初の歌詞解説集『戸川純全歌詞解説集――疾風怒濤ときどき晴れ』を、12月14日には戸川純 with Vampillia名義でセルフカバーアルバム『わたしが鳴こうホトトギス』をリリースした戸川純。彼女は1980年代より女優として活躍し、映画『男はつらいよ』や『釣りバカ日誌』、テレビドラマや舞台など数々の作品に出演するほか、ゲルニカやヤプーズなどのバンドでボーカル・作詞を担当するなど歌手としても活躍。現在も精力的なライブ活動を展開しています。独自の感性を貫き常に人々の想像を超えていく姿は、音楽ファンのみならず多くのアーティストやクリエイターにも影響をおよぼしていることでしょう。今回はそんな彼女にインタビューし、このたび発売されたアルバムにまつわる話のほか、現在の心境やファッション&美の秘訣についてまで(!?)たっぷりとおうかがいしました。いつまでもキュートで純粋でチャーミング、そんな“純ちゃん”の魅力を存分に味わってください!

戸川純

<耳マンのそのほかの記事>

『わたしが鳴こうホトトギス』に込められた想い

――今回リリースされたセルフカバーアルバム『わたしが鳴こうホトトギス』の選曲は戸川さんによるものなんですか?

選曲はVampilliaさんなんですよ。もともとは私が勝手にミニアルバムにする予定でいて、5、6曲にしようと思ってたんです。でも、彼らとミーティングを行ううちに、フルアルバムで全10曲収録、そのうち1曲は新曲を入れることになりました。自分のなかで「この曲は絶対歌いたいな」と思っていたのは『赤い戦車』と『蛹化の女』、『諦念プシガンガ』ですね。

――そのほかの楽曲はVampilliaさんの選曲で?

はい。特に『Mens’Junan』が入ってくるのは意外でしたねぇ。Vampilliaのドラマー・吉田達也さんと竜巻太郎さんのツインドラムがすごいことになっています!

――『Mens’Junan』は特に原曲とのアレンジのギャップがありましたね。

オケにすごく疾走感があったので、歌い方もオケと一体化しようと思ってパワフルに歌い切りました。オケとボーカルとのギャップをあえて図る場合もあるんですけどね。サウンド面は少し相談した部分もありましたけど、基本的にはVampilliaさんがアレンジして作ったオケに対して私がボーカルを入れるという形でした。

――今回のアルバムのレコーディングでは、原曲と比べて意識的に歌い方を変えたりはしましたか?

ある程度はしてるんですけどね、楽曲や歌詞の方向性が一緒だから多分あんまり歌い方の差っていうのは目立たないと思うし、原曲とまったく同じ歌い方をしている曲も多いんです。そしたら結局自分の曲のコピーになるんじゃないかとも思ったんですけど、35年間歌い続けて声帯が荒れたり野太くなったりして、若い頃とは同じ声にならないんですよ。それを心ない人はネットで「劣化」と言ったりするわけですけど、私はそれを生きてきた証だと思うんです。例えば『怒涛の恋愛』ではきれいな子どもみたいな声が出ていると思う一方で『12階の一番奥』ではオリジナルより荒れた声で歌っていますし。そういった変わらない部分も変わった部分も含めて、人間が歳を重ねてきた意味というか、人間らしい部分だと思うんです。だから人間らしい声として、若干声帯が荒れてしまっていても、そこをあえて生かそうと思って。昔は「シンセみたいな声で歌うぞ」とか思ってましたが、今はボカロもありますし、あんまりシンセ声みたいなのに意味を感じなくなってもいますし。そこがオリジナルと聴き比べてもらうと全然違うので、ぜひ注目していただきたいですね。

――同作には戸川さんにとって12年ぶりの新曲『わたしが鳴こうホトトギス』が収録されています。歌詞は戸川さんと真部脩一さんの共作ですが、歌詞に込められた意味や想いを教えていただけますか?

私はこれまで歌詞はひとりで書いてきて、歌詞がすべて出来上がってから最後にそれに合ったタイトルを付けるっていうスタイルだったんです。歌詞が出来上がったときに改めてその意味を確認するという感じだったんですけど。この曲は作っている過程でテーマがわかったんですよね。最初はホトトギスが可愛く鳴くみたいな情景描写とか、いろいろな鳥の種類や鳴き声、あとは私が好きな中国の故事成語(昔に中国で起こった出来事から生まれた教訓のこと)とか日本の古い言い回し、例えば昔の剣豪の強さを表す「抜けば玉散る氷の刃」という言葉があるのですが、それを「抜けば玉散る氷の声で」と歌詞に落とし込んでいったり。そうしたら真部さんも方向性をわかってくれて「東風ふかば」とか、歴史っぽい言葉を入れてくれたんですね。私がそうやって古い言葉を使うのは必然で、それはその言葉でしか言い表せないからなんです。昔の言葉や武士の言葉には相当の覚悟がぎゅっと詰まっていたりするので、現代語では平たくて意味が足りなかったりするんですよね。そうやって歌詞を作っていくなかで、最後のフレーズは“ずっと歌っていきたい、という意志を出したい”という想いを込めて「何年経つても鳴ひてゐやふ」と、真部さんに変えていただきました。歌うことに対する改めての決意を固めた、っていうことが歌詞を作っていくうちにテーマになった感じですね。

――歌詞を作っていくなかで、自然に意味がそうなっていったという。

うん、本当は深層心理にあったんだと思いますよ。

――この歌詞のとおりに、戸川さんにはこの先もずっと歌っていきたいという想いがありますか?

はい、あります。何年経っても。もうひとつ候補であった「尾羽打ち枯れても鳴いていよう」というフレーズにしようかな、とも思いました。鳥に見立てて、尾っぽも羽も枯れちゃってみすぼらしくなっても鳴いていよう、っていう意味なんですけど、それだとあまりに悲観的かなって。なので「何年経つても鳴ひてゐやふ」に決めました。ここは、気持ちを伝えたら真部さんが考えてくれたフレーズです。あと、歌詞に合うと思い、久しぶりに旧仮名遣いにしました。

「ずっと歌っていたい」という想いが表れている精力的なライブ活動

――戸川さんの「ずっと歌っていたい」という意志が強く感じられるのが、積極的なライブ活動だと思うのですが、そういった想いから頻繁にライブ活動を行われているのですか?

もちろん、いろんな人に聴いてもらいたいっていう気持ちですね。最近は地方に行くことも多いんですけど、バンドメンバーは地方の美味しいものが食べられるのも楽しいんじゃないかな(笑)。私はねぇ、腰が悪いからライブが終わるとガッタガタになって動けなくて、ほぼ打ち上げ参加率がゼロに近いんですよ、悲しいことに。北海道では唯一、新千歳空港のラーメン道場には行きましたけどね(笑)。

――やはり一度のライブで体力はかなり消耗しますか?

体力だけじゃなくて腰が痛くなってしまうんですね。最後の3曲ぐらいは脳内物質が出て腰が痛くなくてね、立って歌っちゃうから(※)。セットリストも終わりに向かって激しくなるように組んでるから、そうすると自ずと立つようになるんです。
(※戸川さんは腰の不調のため現在ライブでは着席して歌唱している)

――戸川さんのライブの終盤はオーディエンスの方の盛り上がりも半端じゃないですよね。戸川さんだけじゃなく会場のみなさんにも脳内物質が出てるんじゃないかと思うくらいです!

本当に? そう言っていただけると励みになります! じゃあやっぱり打ち上げ率ゼロに近くても、なるべく立とうかな(笑)?

現在のロリータファッションは「シャレなんですよ(笑)!」

――ところでライブでの衣装もいつもとってもキュートですが、1980年代当時から衣装はご自分でプロデュースされていたそうで。

はい。もう、ランドセル背負って小学生の格好したり、トンボの羽根を背負ったり、巫女さんみたいな格好したり、はたまたガーターベルトに革のショートパンツでロックバンドの女性ボーカリストをイメージしたり、いろんなウィッグもかぶったし、衣装も一通りはいろんなものを着尽くしましたね。

――最近のロリータファッションもご自分で選ばれているんですか?

そうですね。実は、これはシャレなんですよ(笑)!

―――シャレなんですか!?

50歳を過ぎてロリータを着るということに、笑ってほしいところが最初あったんですよ。「なんちゃってー!」みたいな。「55歳のロリータ!」みたいな(笑)。52歳くらいから着始めたのかな? その頃から、自分のバースデーライブでひとつ歳をとった日に、1曲目から『ロリータ108号』で始めるっていうふざけたことをしてたりもして。あと、ロリータ服はあんまり身体の線がわからないのもあって着ています(笑)。それでね、たまたまロリータ服を着て実家に帰ったときがあって、そしたら母親に「赤ちゃんの頃を思い出すわ。いっつもそんな格好で、おむつしてて」とか言われたの(笑)。ふふふ。なんか、決してその言葉と連動するために今回のアルバムジャケットやブックレットに赤ちゃんの写真を入れたわけじゃないんですけど、改めて見てみたらなんか今と似たような格好してるなぁと思って(笑)。顔もなんかその、ぷくぷくだな!みたいな。だから今は“でっかい赤ちゃん”みたいなね(笑)。ここまで太ってないけどね(笑)。

戸川純『わたしが鳴こうホトトギス』 ジャケット

――でも、お肌のツルツルさはジャケット写真と現在でまったく変わってないですよね!

あはは(笑)! 若い頃からね、女優だったから基礎化粧やケアはずっと欠かさなかったから、それが良かったのかも。ケアは本当に大事で、17歳くらいから欠かさずしてますよ。今はたかの友梨のエステファクト・ホワイトラインを使ってます、これにしてからますます調子良くなったんですよね。あとは、女性の内側から天然の美容液っていうのが若いうちは出てるらしくて、私の場合はそれがよく出てるって形成外科の先生に言われたこともありました。

――ケアと体質なんですねぇ。戸川さんの美肌の秘訣はなかなか聞けないと思うので、貴重ですね(笑)。

あと私、クイズ番組やお笑い番組が好きでね。家でクイズ番組観ながら「マチュピチュ!」とか答えて、「ピンポーン!」、「よしっ!」とかひとりでやってね。虚しくもありますが。ふふふ。えーっと、何の話だったっけ(笑)。そうそう、私がほうれい線とかがあんまり目立たないのは、テレビ観ながらアハハって笑ったり、あと歌を歌うときに「ワァー」って大きく口を開けたり、例えば『ヴィールス』とかすごく激しく歌ってるから。あと、昔から顔で歌うと言われて(笑)、いろんな極端な顔を歌いながらするので表情筋が鍛えられて、いいらしいんですって(笑)。美容にいいみたいですよ、歌は!

―――表現豊かに歌いながら、美容にも効いているという(笑)!

そう、自然とアンチエイジング(笑)!になってるという。ふふふ。

「私の人生のなかで歌というのは大きなものになった」

―――今後も精力的にライブ活動を続けられるようですが、カバーアルバムを引っ提げたライブへの意気込みがあったら教えてください!

すみませんね、ふざけた話ばっかりして(笑)、楽しくなっちゃって。えー、意気込み! 私が歌を歌い始めたきっかけは、最初はすべて女優のためだったんですよ。だけど、途中から私の人生のなかで歌というのは大きなものになって。それが『わたしが鳴こうホトトギス』の歌詞にとうとう表れたみたいに、歌のみでも強く志を持ちたいという気持ちが出てきたんですね。そんな気持ちで改めてこのアルバムを携えてライブをやるということで非常にやる気があるので、しっかりしたタフなライブにできるように、レコーディングのとき以上にタフになるようにこれから身体づくりを大急ぎでがんばらないといけないですね。一緒に演奏するVampilliaさんは大好きだし、圧倒的に信頼を置いているので、それなら私ももっとがんばらないと。お客さんを裏切ってしまうのは本当に嫌なので、まだ腰は悪く座ったままではあると思いますが、元気良く、パッショネイトに歌えるように身体づくりをがんばりたいと思います!

戸川純ライブ情報

戸川純35周年記念LIVE『わたしが鳴こうホトトギス』

1月13日(金) 東京・恵比寿リキッドルーム
開場18:00 開演18:30
ADV ¥4,000 / DOOR ¥4,500+ 1drink
出演:戸川純 with Vampillia/ Vampillia / ほか
チケットぴあ(Pコード : 314-765) / ローソン(Lコード : 72341) / e+ /通販
お問い合わせ先:恵比寿リキッドルーム / 03-5464-0800

戸川純35周年記念LIVE『わたしが鳴こうホトトギス』大阪篇!

1月20日(金) 大阪・梅田クラブクアトロ
開場18:00 開演19:00
ADV ¥4,000 / DOOR ¥4,500 + 1drink
出演:戸川純 with Vampillia / Vampillia
チケットぴあ(Pコード:315-368)/ ローソン(Lコード:57840) / e+ /通販
お問い合わせ先 梅田クラブクアトロ / 06-6311-8111

2月1日(水) 東京・新宿ロフト(dipとのツーマンライブ)

戸川純(Vo.)、中原信雄(Ba.)、ライオン・メリィ(Key.)、矢壁アツノブ(Dr.)、石塚 “BERA” 伯広(Gt.) ゲスト:ことぶき光(Key)、山口慎一(Key:YAPOOS,Coherence)
dip ヤマジカズヒデ(Gt. Vo.) ナガタヤスシ(Ba.) ナカニシノリユキ(Dr.)
開場18:00 開演19:00
ADV ¥4,000 / DOOR ¥4,500 + 1drink
チケットぴあ(P:317-530) / ローソン(L:71365) / e+ / ロフト店頭 /通販

3月11日(土)岡山DESPERADO(ワンマンライブ)

戸川純(Vo.)、中原信雄(Ba.)、ライオン・メリィ(Key.)、矢壁アツノブ(Dr.)、石塚 “BERA” 伯広(Gt.) ゲスト:山口慎一(Key:YAPOOS,Coherence)
開場18:00 開演19:00
ADV ¥4,000 / DOOR ¥4,500 + 1drink
チケット12/24発売。ローソン(L:61776) / e+ / 店頭 /通販
イベント詳細ページ

戸川純音楽活動35周年記念 CD6タイトル再発売!

1981年のゲルニカ結成以来、2016年で音楽活動35周年を迎えたことを記念し、1982〜87年にかけてリリースされた戸川純関連アルバム6タイトル(原盤:アルファミュージック)を再発売!

2016年最新リマスター、高品質Blu-spec 2CD仕様。三田格による書き下ろしライナーノーツ付き。ゲルニカ『改造への躍動』はアルファ発売音源をすべて収録した特別拡大版。全曲ハイレゾ配信音源も同時発売予定。

発売タイトル:『改造への躍動〜特別拡大版〜』/ゲルニカ、『玉姫様』/戸川純、『裏玉姫』/戸川純とヤプーズ、『極東慰安唱歌』/戸川純ユニット、『好き好き大好き』/戸川純、『東京の野蛮』/戸川純

[榊ピアノ]