事件の全貌が明らかに! おばさんたちの魅力を表現したセリフにも感動の『監獄のお姫さま』最終話

連載・コラム

[2017/12/20 16:30]

漫画家の鈴木詩子が話題のドラマ『監獄のお姫さま』を語るッ

宮藤官九郎が脚本を担当し、小泉今日子が主演を務め、10月からスタートしネットでも話題を賑わせているドラマ『監獄のお姫さま』。女子刑務所の中という過酷な状況でたくましく生きる女たちの群像劇を描いた作品です。今回はそんな同ドラマの最終話の感想を、漫画家の鈴木詩子氏に素敵なイラストとともに熱く綴っていただきました!

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事件の全貌が明らかに! おばさんたちの魅力を表現したセリフにも感動……

いや〜観ましたか? 火曜ドラマ『監獄のお姫さま』の最終回! 脚本・宮藤官九郎で主演が小泉今日子という豪華な組み合わせが話題の“おばさん犯罪エンターテイメント”ですが……ついにすべてが明らかになりましたよ!

“爆笑ヨーグルト姫事件”のときに何度もテレビで流れた映像で、“姫”こと江戸川しのぶ(夏帆)のヘルメットに付いていた景色を撮るための小型カメラに何か証拠が映っていないかと、沖縄に調査に行く長谷川検事(塚本高史)。彼は、板橋吾郎(伊勢谷友介)のヘルメットにもカメラが付いていたことに気付きます。そのデータを探し当てると……そこには、横田ユキ(雛形あきこ)を殺害した実行犯で捕まった“プリンス”に、吾郎が落ちたナイフを拾わせ指紋を付着させている映像と、「これで、やってもやらなくてもお前が犯人だ」とほくそ笑む彼の肉声が!

そしてしのぶの冤罪を晴らす裁判が行われます。長谷川検事が前述の証拠映像を突きつけ、吾郎に「プリンスに殺害を依頼したのは板橋さんですね?」と詰め寄りると、彼はあっさりと罪を認めます。

実は吾郎の父親は江戸川乳業の社員でした。それもヒラのヒラで配達係です。ある日、新製品CMのオーディションを受けた吾郎は見事合格し、子どもの社長が本物の社長にクビを言い渡す演出がウケて“ちび社長”としてブレイクし、レコードまでリリースします。

なんと、それが刑務所で食事の際に流れる『ごはんの歌』だったのです。馬場カヨ(小泉今日子)をはじめとする女囚たちが毎日聴いて、大切に思っていたあの曲は、実は幼い吾郎が歌っていたものだったのでした。

その後、江戸川乳業は経営不振になり吾郎の父親はリストラされてしまいます。幼い吾郎は傷付き「本当の社長になってやる」と心に決め、江戸川乳業に就職。そしてがむしゃらに働き、その頃にクラブのママだったユキと出会い、彼女を散々利用したあげく、社長になるためだけにしのぶと交際を始めます。

しかしユキに二股がバレてしまい、しのぶの父親にまで密告され、吾郎は「お前はクビだ!」と言い渡されます。窮地に陥った彼は崖にユキを呼び出し、指紋が付かないようにナイフを取り出して、自分も被害者だと言えるように自らを刺します。そして「しのぶに罪を被ってもらって社長になる。君は生贄だ」と告げると、ユキを崖から突き飛ばしたのでした。なんと吾郎は殺害を依頼したどころか、実行犯だったのです! その淡々とした殺害シーンが妙にリアルで恐ろしかったです……。

その事実を知ったしのぶは「誰かのことも、自分のことも愛せない悲しい人」とつぶやき、続けて「刑務所じゃなかったら絶対に出会わないおばさんたちに出会った。彼女たちを信じたから今、自分はここにいる」と語ります。

夏帆演じる“姫”こと江戸川しのぶ(画:鈴木詩子)

世間知らずでオドオドしていた、あのしのぶが……おばさんたちのおせっかいのお陰で成長し、勇気をもらい、こんなに強くなったのかと思うと胸が熱くなってしまいました。

その後、吾郎には無期懲役という判決が下ります。出所したしのぶの元には勇介(しのぶと吾郎の間に生まれた子ども)を連れた、その後の吾郎の妻・晴海(乙葉)の姿が! しのぶと晴海、ふたりのお母さんと手を繋ぎ嬉しそうに歩き出す勇介の姿に涙が止まりませんでしたよ〜! 晴海がまともな人で本当に良かった!

そして私的に1番グッときたのは……長谷川検事がカヨへのプロポーズを考えていることを後輩に話すときに言った「いいか、どんなに若くて可愛い子でもいずれおばさんになる。でも、可愛いおばさんはもうおばさんにならない!」というセリフ。

確かにこのドラマではカヨを筆頭に“財テク”こと勝田千夏(菅野美穂)、“姉御”こと足立明美(森下愛子)、“女優”こと大門洋子(坂井真紀)ら、おばさんたちの半端じゃない可愛いらしさが魅力的に描かれていたので、その言葉にはとても説得力があります。

それに、昨今の美魔女ブームに煽られて、つい痛い若作りに走りがちな私みたいなおばさんは、このセリフにとても癒やされたんですよね。「なるほど、そうか……肩ひじ張って無理なんかしないで、可愛いおばさんを目指したほうがいいのかな?」なんて。

そんな人生における道しるべまで示してくれた『監獄のお姫さま』には感謝しかないです! 毎週楽しませてくれて本当にありがとうございました! 終わってしまうのが寂しいです〜!

[鈴木詩子]