小泉今日子と満島ひかりの切ない食事シーンにもらい泣き……『監獄のお姫さま』第8話

連載・コラム

[2017/12/6 18:40]

漫画家の鈴木詩子が話題のドラマ『監獄のお姫さま』を語るッ

宮藤官九郎が脚本を担当し、小泉今日子が主演を務め、10月からスタートしネットでも話題を賑わせているドラマ『監獄のお姫さま』。女子刑務所の中という過酷な状況でたくましく生きる女たちの群像劇を描いた作品です。今回はそんな同ドラマの第8話の感想を、漫画家の鈴木詩子氏に素敵なイラストとともに熱く綴っていただきました!

<耳マンのそのほかの記事>

小泉今日子と満島ひかりの切ない食事シーンにもらい泣き……

いや〜観ましたか? 火曜ドラマ『監獄のお姫さま』第8話! 脚本・宮藤官九郎で主演が小泉今日子という豪華な組み合わせが話題の“おばさん犯罪エンターテイメント”ですが……今回は女囚たちが次々と旅立っていく切ない回でしたよ!

馬場カヨ(小泉今日子)が念願の美容師免許を取り、刑務所内の“つぐない美容院”に勤め、お客さん第1号として、カヨと獄中恋愛中の長谷川信彦(塚本高史)がやって来ます。ふたりは終始笑顔で、軽く抱きついたりしながらイチャイチャしてとても楽しそうです。長谷川が帰ったあとも片付けをしながら「髪を切った私に〜♪」と、松田聖子の『夏の扉』を歌ってご機嫌なカヨ。

しかし、刑務官の若井ふたば(満島ひかり)がやって来て、“復讐ノート”の件でカヨは懲罰房に入れられてしまいます。“復讐ノート”とは、カヨが、“姫”こと江戸川しのぶ(夏帆)の冤罪を晴らすために出所後に板橋吾郎(伊勢谷友介)へ復讐をするための計画を書いたノート。前回カヨはそれを落としてしまい、ふたばに中身を読まれてしまったのです。

「犯罪者は、本当のことを言っちゃいけないんですか? 真実から目をそらして……」と訴えるカヨに対して、ふたばは「姫のためとか言って、結局楽しんでんじゃん! 暇つぶしでしょ? シャバに出たら忘れるよ。みんなそう。あんたもそう。それが人間」とピシャリと言い放ちます。

そして“財テク”こと勝田千夏(菅野美穂)、“姉御”こと足立明美(森下愛子)、リン(江井エステファニー)が仮釈放になり、彼女たちはカヨに“姫は頼んだよ”と託して旅立ちます。

そんなこんながあり、再び面会に訪れた長谷川にカヨは「この間、抱きついたときに感じたの、今がピークだって。長谷川さんは、ここ(刑務所)にいる69番の私が好きなの。出たら冷めるの。だっておばさんだよ? ここを出たらもっとおばさんになる……イオンモールや物産展で、おばさんの群れに放たれた私を見つけることができるの?」と思いを伝えます。

恋愛に浮かれていたカヨは現実の厳しさを噛み締め、もう夢を見ている場合ではないと腹をくくったように見えました。そして実際、殺人未遂の罪を犯し収監されている50歳目前の自分に自信なんて持てるはずもありません。自分の身が置かれた状況を客観的に考えれば考えるほど心の中が不安でいっぱいになってしまうのは当然ですし、すごくリアルな心の動きが描かれているなぁと思いました。

しかし、そんなカヨにも仮釈放のときが来ました。仮釈放前実習の担当はふたばです。出所後スムーズに日常生活が送れるように1週間かけてコーヒーの淹れ方やお料理などを練習して、カヨは昔の勘を取り戻していきます。

ついに仮釈放の前夜。カヨはふたばのために夕食を作ります。ふたばは「初めてなんだ、受刑者と打ち解けるの」と復讐ノートを出します。そして「馬場カヨのことは嫌いじゃない。だからこれは渡せない……好きだから、もう会いたくないの」と続けます。好きだからもう罪を犯してほしくないし、刑務所で再会なんてしたくない。そして、ふたりは泣きながら“70点の麻婆茄子”と“70点のポテトサラダ”を黙々と食べるのです。

小泉今日子演じる馬場カヨ(画:鈴木詩子)

そのカヨの静かな涙には、ふたばとの別れに対する寂しさや感謝、一方で憎き吾郎を懲らしめ姫の冤罪を晴らしたいという強い気持ち、せっかく築いてきた信頼関係を裏切ることになってしまう罪悪感などの複雑な気持ちが詰まっていて、観ている私もつい泣いてしまいました。

さて、これで吾郎への復讐を企むおばさん女囚全員がシャバへ解き放たれました! 次はどんな展開が待っているのでしょうか?

今回もIKKOさんが大物タレント役で出演し、良い味を出していましたが……来週は満島ひかりさんの弟・満島真之介さんが出演するみたいですよ。姉弟共演も楽しみですね! あ〜、来週の火曜日が待ち遠しいです!

[鈴木詩子]