ひとりで日本酒をかっくらう冴えないヒロインに感情移入の『海月姫』第3話

連載・コラム

[2018/1/30 18:00]

漫画家の鈴木詩子が漫画原作で話題のドラマ『海月姫』を語るッ

東村アキコの漫画を実写化したドラマ『海月姫』が2018年1月より“月9”枠でスタート! 同作はクラゲを愛しすぎてしまった筋金入りの“クラゲオタク”の倉下月海(芳根京子)が主人公。そんな彼女がひょんなことから女装美男子の鯉淵蔵之介(瀬戸康史)と童貞エリート・鯉淵修(工藤阿須加)の凸凹兄弟に出会い、「自分には一生縁がない」と思っていた恋を知り、新しい自分を見つけていく“シンデレラコメディー”。月海とともに男子禁制のアパート・天水館で暮らすオタク女子“尼〜ず”の個性豊かなキャラクターも見どころのひとつです。今回はそんな同作の第3話の感想を、漫画家の鈴木詩子氏にキュートなイラストとともに綴っていただきました!

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冴えないオタクのヒロイン・月海に感情移入……

いや〜東村アキコ原作の月9ドラマ『海月姫』第3話、みなさん、ご覧になりましたか? 今回は再開発でなくなってしまうかもしれない天水館を自分たちのものにするために、蔵之介がクラゲのドレスを作って売ろうと言いだし、生まれて初めてのドレス製作を始めるところからお話はスタートします。

おしゃれに関心はないけれど、大好きなクラゲをドレスで再現するために異常なこだわりを見せる月海。クラゲの触手にぴったりだと思った瞬間に何100万円もするパールのネックレスを引きちぎり、ドレスに縫いつける様子からは、オタクのひたむきさがビンビン伝わってきました。

そして再び蔵之介に綺麗にメイクしてもらいおしゃれをした月海は、気になっている蔵之介の弟・修とデートをすることに。しかし、修はついに“綺麗に着飾った月海”と“天水館に住んでいるオタクの気色悪い女”が同一人物だと気がつきます。ギクシャクしたままデートが終わり、月海は「きっと気がつかないうちに私が失礼なことを言って、修さんを怒らせてしまったんだ……」と誤解をしてしまいます。

見た目だけで相手のことが気になり、恋みたいな気持ちになってしまうことは誰にだってありますよね? でもそれは、決して顔やスタイルだけではなく、その人の生きてきた積み重ねから醸し出される雰囲気だったり、表情などから読み取れるその人の性格を好きになっている部分もあると思うんです。なので私は、そういった一目惚れのようなことを一概に悪いとは思わないのですが……生真面目な修は罪悪感でいっぱいになってしまいます。

そして、月海は天水館買収を円滑に進めるために修に近づいたデベロッパーの稲荷翔子(泉里香)から「修さんは、あんたを気色悪いオタクだと思ったんだって!」と聞かされ、修と翔子がベッドに半裸で寝ている写真を見せられてしまい、深いショックを受けます。そんな彼女は嫌なことを忘れて眠るために、ひとりでおでんの屋台に向かい日本酒をかっくらうのです。うぅ、なんて冴えないヒロインなんでしょうか? ですが、冴えない私みたいな女は、も〜月海に感情移入しまくりですよ。ホント、こんなときは酒しかないよね……。

芳根京子演じる倉下月海(画:鈴木詩子)

ですが翌朝、修が天水館にやって来て「自分は、水族館であなたを抱きしめるまで女性に触ったことはありません。あなたのことを抱きしめたのは……あなたを守りたいと思ったからです!」と月海に伝えます。修の出した答えがこれですよ! 痺れますね〜! そんな不器用なふたりの恋はどうなってしまうのでしょうか? そして蔵之介の月海に対する感情は友情なのか恋なのか!? く〜、来週の月曜が待ち遠しいですね!!

[鈴木詩子]