教えて、サンレコ編集長! 今年のフジロックおすすめアーティスト&通な楽しみ方はコレだっ

特集・インタビュー

[2018/7/2 13:00]

夏の風物詩フジロック! サンレコ編集長に見どころを聞いてみた

野外音楽フェス『フジロックフェスティバル‘18』(以下、フジロック)が今年も7月27日、28日、29日の3日間、新潟県湯沢町苗場スキー場にて開催される。昨年20回目のアニバーサリーイヤーを迎えたフジロック。21回目の開催となる今年も国内外問わず魅力的なアーティストの出演がアナウンスされている。そのなかでも今回のラインナップの注目ポイントは電子系、打ち込み系アーティストが多くを占めていることだろう。そこで、サウンドクリエイターのための専門雑誌『サウンド&レコーディングマガジン』(以下、サンレコ)篠崎賢太郎編集長に今年の注目アーティスト3組を選んでいただいた!

『フジロックフェスティバル‘18』

<耳マンのそのほかの記事>

2017年のフジロックの模様

サンレコ編集長・篠崎さんおすすめアーティスト3選!

パンク畑出身! 電子音に内包されたロック魂に熱狂しろ!!

スクリレックス(出演:28日)

スクリレックス

「まずはスクリレックスですかねぇ。彼はダブステップシーンから出てきて独自の進化を遂げている。没落していったりするアーティストが多いジャンルのなかでこの人だけはいまだにトップを走り続けていますね。もともとパンクバンド出身だったりするので、そういう意味でもステージはすごく盛り上がるんじゃないかなと思います。ライブで観たことないけど(笑)! とにかくスクリレックスはかっこいい。打ち込みなんだけどロック的な縦ノリなんだよね。そこがやっぱりいいなあ、打ち込みのなかにもロック魂があって。例えばそれが間違った形で出ちゃうと“残念なデジロック”みたいな感じになっちゃうことがあるんですけど、スクリレックスの場合はうまく洗練された形で、ダブステップやエレクトロでありながらもロックやパンク的なアンダーグラウンド感がすごくあるので、ライブの会場ではすごく盛り上がるんじゃないでしょうか。ビジュアルもラフな感じでかっこいい。サウンド的にはバキッとした歪み感をうまく使ったりとか。オシャレじゃなくていいな、みたいなね。2013年のフジロックに出演した際には荒天のなかオーディエンスを熱狂させたみたいなので、今回も雷雨を期待したいですね(笑)」

もう神です! すべてを兼ね備えつつ何かが欠落した神です!?

石野卓球(出演:27日)

石野卓球

「個人的に好きなのはやっぱり石野卓球さんですね。今回は電気グルーヴではなくて卓球さんのソロとして出演されるということで、四つ打ちセットや、ダンスミュージックに寄った本格的なものが披露されるんだろうなと予想しています。最近の卓球さんはテクノっていうより、もうちょっとオーガニックで大人なダンスミュージックっぽさを出してきているので、若干ムーディーな感じになるんじゃないかな。2016年にリリースされたアルバム『LUNATIQUE』が“通好み”な良い作品だったので、フジロックのステージでも多分そういった音楽が繰り広げられるんじゃないかな、と。なので、今回は卓球さんのおもしろいトークとかを期待せず、純粋に音楽を楽しんだほうがいいかもしれないです。ただ、卓球さんのなかには“アシッド”っていうキーワードがあるので、もしかしたらそういった部分も出してくるかもしれないし、DJで山下達郎をかけたりする遊び心もある人なので、彼のさまざまな要素をひっくるめてどんなライブになるのかっていうのを楽しみに観てもらえたらいいんじゃないでしょうか。ちなみに、前述の『LUNATIQUE』、『Takkyu Ishino Works 1983~2017』(2018年)がリリースされた際にはサンレコの表紙を飾っていただき、売れました(笑)! サンレコは卓球さんなしに語れないので、絶対に卓球さんのライブは全員観て、CDも買ってください(笑)。卓球さんはもう神です! すべてを兼ね備えつつ何かが欠落した神です(笑)!」

ボーカル、ローレンの美声に注目! 最前列でヲタ芸したくなる可愛さ!?

チャーチズ(出演:29日)

チャーチズ。左からマーティン・ドハーティ(キーボード)、ローレン・メイベリー(ボーカル)、イアン・クック(キーボード)

「まず、ボーカルの女の子、ローレン・メイベリーが好き。声がすっげえ可愛いんですよ。この年齢くらいの女子にしか出せないフレッシュなエネルギーが声に表れている。キーボードのマーティン・ドハーティとイアン・クックの男性メンバーふたりはシンセサイザーオタクで、彼らがキラキラした音や80’s感のあるビートを作って、ローレンの声を引き立たせています。チャーチズはシンセがキラキラしていてポジティブな曲が多いんですけど、嫌味がないっていう、そこがいいんです。ブリっ子じゃないんだよ。純粋に可愛いなあっていう。がんばってほしいなあっていう。フジロックでは最前列でヲタ芸したいくらいだよ(笑)! ローレン自身もMVとか観るとけっこうシンセ弾いたり、機材いじれるんですよ。女の子がツマミをいじっているのは宅録男子としてはグッときますね。5月にアルバム『ラブ・イズ・デッド』がリリースされたんですけど、そのプロデューサーがアデルをグラミー賞に導いたグレッグ・カースティンって人なんです。チャーチズはこれまでちょっと一本調子なところがあったんですけど、同作ではちゃんと聴かせどころの緩急がついて、以前より曲の起伏がわかりやすくなった。やっぱり打ち込みだとそうなりがちなんだけど、グレッグがプロデュースしたことで、ポップス的に良い作品になった。『ラブ・イズ・デッド』は勝負作で気合いが入ってると思うので、フジロックではきっとローレンのメイクにも気合いが入っていると思います(笑)」

篠崎さん流フジロックの楽しみ方って?

「ここ数年のフジロックは、ロックに偏らずに海外の良い音楽をみんなに紹介しようっていう気概のもと、これだけのメンツを呼べているんでしょうね。こういう貴重な機会を与えてくれるって素晴らしいことだなって思うので、みなさんもぜひそれに乗っかってロックもヒップホップもEDMも関係なく自由に楽しんでください! また、“Front Of House”の略でFOHっていうんですけど、PA席の前は音が1番良いです! PAエンジニアはメイン卓で聴こえた音でミックスをとっているんですね。で、FOHは左右のスピーカーのちょうど真ん中にきているのでバランスが良いんです。ステージ最前列に行けなかったらFOHを狙うっていうのも通な楽しみ方ですよ。FOHって専門用語を言えばモテるかもしれないし(笑)。そして、虫除けと帽子は忘れずに! 家に帰るまでがフジロックなので、無理をしないで楽しもう!」

今年のフジロックはFOHで電子音楽をエンジョイしちゃおう!

図らずも27日、28日、29日の各日から注目アーティストがチョイスされた。ひと口に電子系、打ち込み系と言ってもその幅は広く、ピックアップしていただいたアーティストの毛色もそれぞれ違う。篠崎編集長のアドバイスどおり、スクリレックスで熱狂し、卓球さんでゆったりと楽しみ、チャーチズのキラキラサウンドでヲタ芸をし(!?)、FOHという言葉を通っぽく使って今年のフジロックを満喫してみてはいかがだろうか? 篠崎編集長、ありがとうございましたっ!!

イベント情報

『FUJI ROCK FESTIVAL ‘18』
日時:2018年7月27日(金)28日(土)29日(日)
会場:新潟県 湯沢町 苗場スキー場
チケット発売中! 詳細はオフィシャルサイトをチェック!

RK