あいみょんからノエルまで存分に堪能! 平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)のサマソニレポート【前編】

特集・インタビュー

[2018/8/30 17:00]

平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が『サマーソニック 2018』をレポート!

近頃この『耳マン』にて『音楽“ジャケット”美術館』という連載をいただいたりと、リットーミュージックさんとはズブズブの関係を築いている僕、平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)だが、このたびリットー大王様より壮大な使命を授かった。それは「『サマーソニック 2018』に潜入しレポートを書けこの3流芸人が」というもの。

<耳マンのそのほかの記事>

『サマーソニック』(以下、サマソニ)、それは日本最大級の都市型音楽フェスである。実は僕も過去に2度ほど参加したことがあるのだが、1度目は確か2015年、お笑いブースが設けられており数10組という芸人のなかに混ざってパリピたちに向けてネタをやった。2度目は2016年だったか、これまた仕事でニコ生の番組のロケで参加。その仕事終わりでせっかくなのでその日のヘッドライナーでもあったレディオヘッドを観ておこうとそのステージに移動し座り込んだ瞬間、仕事の疲れにより意識がシャットアウト。気づいたときにはすでに花火が上がりライブが終わっていたという、大てへぺろ事件の思い出が残る夏であった。

しかし今回は仕事とはいえすべて自分のペースで好きな時間に来て好きなアーティストを観て好きな時間に帰っていいというあまりにもおいしすぎる条件のもと参加させてもらえるとのこと。(リットーミュージック万歳!) ということで数日前からまわりの芸人にそのことを自慢してひと通り嫉妬の眼差しを浴びて気持ちよくなったところで、いよいよ8月18日。聖地・幕張メッセへ。

まごうことなき『サマーソニック』。

そこに降り立つは『M-1グランプリ2015』ファイナリスト、平井“ファラオ”光。

Yeah!

天気は快晴。時刻は午前11時頃。連日続いた猛暑もこの日はわりと控えめ。おかげでお気に入りのベストを着て行けたので上機嫌のファラオさん。そして人ごみのなか、一応タレントらしく堂々と、とはいえやや緊張気味に関係者受付を通りいよいよ場内へ。俺のサマソニが始まる……。

だだっ広い会場、きらびやかなセット、さまざまなブース、豊富な出店、そして幅広い客層。ああそうそう、この感じ。この感じこそサマソニだ。わくわくしてきた。もはや気分はパリピである。あげぽよだぜフゥ~。(クレームはリットーミュージックさんまで)

あ、そうそう、せっかくのフェスにひとりで来るのもあれなので実は今回友達も連れてきている。ご紹介しよう。

サンリオのみんなだ。今回はこの子たちと一緒にフェスを楽しもうと思う。

初めて観るアーティストが多いなか、素敵な出会いはあるか!?

とりあえず今回のサマソニ、個人的な目当ては2日目のニッケルバック。というか正直ほかのアーティストに関してはほとんど知らないという体たらくだ。唯一かなりよく聞く名前だったのでブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインは事前に最新作『グラヴィティ』を購入して予習してきたのだが。まあ基本的に僕の音楽の趣向は50代のおっさんのそれに近いと思っていただければ。なので今回は初めて観るアーティストが多いなかでいい出会いができればなーというのもある。

さてとりあえず適当に会場を歩きまわっていると、何やらクールなロックサウンドが聴こえてくるではないか。その音に吸い込まれるようにたどり着いた先はマウンテンステージ。ステージ上にはキュートな女の子たち。この3ピース・バンド、演奏は荒いが観客を乗せるだけのパワーがあり、ボーカル(ラケル・ミョル)のしばしばみせる不適な笑みに心を射抜かれる。調べてみるとなるほど「パンクポップバンド」と言われているらしい。確かに荒々しさとキャッチーさが同居した楽曲で、パフォーマンスも堂々としていてかっこよかった。今後大いに期待できるガールズバンド、その名はドリーム・ワイフ。

1発目からいいもの観たなーとドリーム・ワイフの余韻に浸りながらまたうろうろ歩いていると、愉快な看板を発見。

ソニックベガス。シャボン玉がフワフワと舞うこの空間ではその名の通りカジノ的なことをやっていたり、ちょっとしたサーカス団まで来てパフォーマンスをしている。このサーカス団がすごくてしばらく目を奪われてしまったのだが、ふとタイムテーブルを見て思い出した。知り合いにお勧めされていたアーティストがいたのだ。サーカスが気になりつつも一旦ソニックベガスを抜け、ちょっと急ぎ目で向かう先はビーチステージ。メッセから少し離れたZOZOマリンスタジアム(マリンステージ)のすぐ近くのビーチだ。

このようにビーチのなかにしっかりとしたステージを作っているのだ。スゲエぜサマソニ。

日本一海が似合う男参上。

照りつける太陽の下、どんなに日を浴びても日焼けしないこの皮膚どーなってんの? ちゃんと照らしてる? 無視すんなよ太陽。このハゲ。

ビーチステージに来た目的は、あいみょんを観るため。以前友達に彼女のMVを観せられ、名前の響きからかなり女の子女の子してる感じを想像してたら意外にも(失礼だが)芯の通ったバンドサウンドで、ずっしりと心に訴えかけてくるタイプの1990年代の風味漂う正統派のアーティストだった。ということでぜひ彼女のステージを観てみたくなったのだ。

彼女は非常に落ち着いていて、サマソニの、しかもビーチステージのハイな空気に呑まれている様子は微塵も感じず、いい意味でマイペースにこなしていたと思う。というか、ライブを観て改めて思ったのは本当に曲がいい。変に奇をてらわず自分の伝えたいことを正直な言葉で正直な音に乗せて歌っている感じがして、とても好感が持てる。こういう真っ直ぐな音楽が今もっと売れてほしい。本当に。にしてもビーチステージはやっぱり外なだけあって音が聴き取りやすいね。

ご飯やアミューズメントでフェス気分を満喫

さて、あいみょんが終わり時間的にもお腹グー・グー・ドールズになってきたので、飯でも探そう。というわけで再びメッセへ戻る。いや、改めて見るといろいろなブースがあるな。むう? 何やら大勢の人間が無音のなかで踊り狂っている。ここは新興宗教のブースかな? しかしよく見るとみんなヘッドホンをつけてそこから流れる音楽で踊っているようだ。そう、ここはサイレントディスコのブース。

うーん………………変。

さらにその向かいにはブルーライトで光るボディペイントができるブースが。ちょっと興味あり。せっかくだからやってみようかな。というわけでボディに描いちゃいました。

サンリオ!

かろうじてキティちゃんと様子がおかしいマイメロディと、簡略化したプレデターかな? ちなみにこれ固まってて最終的にはがすことになるんだけど、はがすとき腕毛がブチブチ抜けていってぇいってぇ。描くべき場所を完全に間違えたあわてんぼうのファラオさんなのであった。

そうそう、そういえば腹っぺりの状態だった。数10種類の出店のなかからどれにするか迷いつつ、ちょくちょく一般のお客さんから写真をせがまれながらもようやく決めて食べたのはゼスト キャンティーナのハンバーガー。

1回水に入れた?

しかし味は極上。ナイス昼飯。

いよいよお目当てのBFMV!

さて、飯もいただいてひと息ついたところでマウンテンステージに行ってみる。時間的に出番はマストドン。こちらもメタル界ではよく聞く名前だったので興味があり観てみようと思って来たのだが、やってしまった。会場の端っこのほうの柵に寄りかかり座り込んだ瞬間、食後ゆえの眠気が。あー眠い、ホント眠いあーもうだめだおやすみなさいグー・グー・ドールズ……。というわけでマストドンの記憶はほぼありません。てへぺろ。(クレームはリットーミュージックさんまで)

しかしこのマウンテンステージ、次は本当に寝てる場合じゃない。一応ちゃんと予習してきた注目のブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン(以下、BFMV)である。目下の最新作『Gravity』は名盤だった。ファンの間では評価の分かれそうな作風との意見を聞いたが、モダンな要素と優れたメロディ、そしてしっかりと聴きどころをおさえた名曲の多いアルバムだった。

そんなBFMVが大歓声のなかいよいよ登場である。分厚いヘヴィなサウンド。爆音が内臓に響き渡る。デスボイスからクリーンボイスまで器用に歌い分けるギターボーカルのマシュー・タックにはその出で立ちといい客の乗せ方といいカリスマ性が滲み出ている(アホみたいな髪型だけど)。やはりロックスターたるものどこにでもいそうな兄ちゃんみたいな感じよりもどこか人間離れしたカリスマ性を持っていてもらいたいものだ。

ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン (c)SUMMER SONIC All Rights Reserved.
マシュー・タック(ボーカル、ギター) (c)SUMMER SONIC All Rights Reserved.

また、2017年にドラマー交代劇があったようだが、現ドラマーのジェイソン・ボウルドは充分にいい仕事をしていると思う。それは『Gravity』を聴いても思ったし、今回のライブでも彼の実力は証明されたのではないか。(ドラムソロも素晴らしかった)

ジェイソン・ボウルド(ドラム) (c)SUMMER SONIC All Rights Reserved.

セットリストは『Gravity』からも数曲あったが、知らない曲でも充分退屈せず楽しめる最高のライブだった。いいね、BFMV。

もうひとり観ておかなくてはいけないアーティストが……

さてサマソニ1日目もなんだかんだでもう終盤である。なかなか疲れたがまだ帰るわけにはいかない。やはりもうひとり観ておかなければいけないアーティストがいる。というわけで急いで本日初上陸のマリンステージへ。

BFMVを最後まで観たので途中参加になってしまうが、ヘッドライナーのノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズはやっぱり観ておくべきだろう。僕はオアシスも有名曲を数曲知っているだけだしノエルのソロにはまったく手をつけていないのだが、結論から言うと後半からの参加だったとはいえこの日最高のライブだったと思う。

ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ (c)SUMMER SONIC All Rights Reserved.

何しろオアシスの名曲『ドント・ルック・バック・イン・アンガー』に大いに感動した。バンドではなくほぼアコギのみのアレンジだったのだが、広いスタジアムから夜空にまで優しく響き渡る歌声、サビは観客の大合唱。この筆舌に尽くしがたい空気感、これこそ生の醍醐味。さらにそこからラストはビートルズの『愛こそすべて』。締めにふさわしすぎる最高の流れ。彼のような確実に後世に語りつがれるであろうアーティストはたとえよく知らなくてもやはり観れるときに観ておくべきなのである。

こうして僕のサマソニ1日目は幕を閉じるのであった。

疲労困憊。帰ってしっかり寝て明日に備えよう。おやすみZzz………………キティちゃん付き合ってください………………。

【後編につづく】

平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)

ひらい“ふぁらお”ひかる●1984年3月21日生まれ、神奈川県出身。2008年に新道竜巳とのお笑いコンビ“馬鹿よ貴方は”を結成。数々のテレビ/ラジオ番組に出演するほか、『THEMANZAI2014』『M-1グランプリ2015』の決勝進出で大きな注目を集める。個人では俳優やナレーターとしても活躍。音楽・映画観賞や古代エジプト、恐竜やサンリオなど幅広い趣味を持つ。