ももクロ、SKE48を渡り歩いた“アイドル界の最終兵器(!?)”高井つき奈……新たにアイドルプロデュースを始める理由とは?~元アイドルインタビュー第14回~

連載・コラム

[2019/9/14 12:00]

毎日のように流れてくる、知らないアイドルの卒業発表ツイート。アイドルを辞めた女の子たちは今どこで何をしているんだろう?

顔は見えない距離だったが、駅から近づいてくるシルエットだけで、「あの子が今日の取材相手だな」と一発でわかった。つい最近までただの女子大生だったとは信じられない、“何かが違う”オーラだ。

「お待たせしました! 今日はインタビューよろしくお願いします!」

ももいろクローバー、SKE48の両グループで活躍した高井つき奈が、この秋ついにアイドルプロデューサー兼メンバーとして活動を再開する。

初期ももクロの和テイストは高井つき奈のためだった

――高井さんはももクロ結成時の最初期メンバーであると同時に、SKE48の第1期生でもあります。なんと初期のももクロが和テイストだったのは、日本舞踊を習っていた高井さんのためだったとか……。SKEでも“W松井”と並んでグラビアに出演するなど、両方のグループで“運営推し”されていた印象です。

そうですね。ありがたいことに、どちらのグループでもけっこう前に出させていただきました。なので、周囲からも「なんで辞めちゃうの?」とは不思議がられました。

――ももクロでは2ヶ月ちょっと、SKEでも1年間と、どちらのグループも在籍期間は短かったですね。

もともとアイドル活動にはそこまで興味がなくて、ももクロもSKEも事務所から勧められて加入しました。当時は名古屋に住んでいて、東京に通うのは大変だったので、「SKEがいいんじゃない?」とお声がけいただいたんです。どちらも活動自体はとても楽しかったんですが、当時は今よりまだアイドルが好きな気持ちもなくて。言葉を選ばず言うと、ももクロもSKEも大好きでしたが、自分の意思から始まった活動ではなかったんですよね。

――今となってはTwitterで好きなアイドルの話をずっとしているのに……。

自分がアイドル活動を始めたのをきっかけに、ほかのアイドルの動画をチェックしたりするようになりました(笑)。アイドルになってから、アイドルを好きになった形です。

――Twitterを拝見するかぎり、普通によくライブに行っていて、本当にいちドルヲタですよね。もともと自分は、高井さんが元アイドルだと気づかないまま、アイドル好きの可愛い一般人のつもりでTwitterをフォローしていたんですよ。ある日、「ももクロとSKEにいた“ツッキーナ”じゃん!」と気づいて驚きました。

そういう人、よくいるんですよ。Twitterアカウント自体は昔から持っていたんですが、大学在学中はまったく更新せず、ファンの方にとっては、私が何をしているかわからない期間でした。だから今、イベントとかで「もういなくならないでね」って言われちゃう(笑)。トラウマを植え付けてしまいました(笑)。もういなくなりません。

新グループには元清竜人25の可恩も

――SKE卒業後はスターダストプロモーションで芸能活動を続けましたが、大学入学とともに退所して引退状態になりました。

小学生から高校いっぱいまでスタダにいて、振り返ってみたら人生で芸能活動をしていない時期がほとんどありませんでした。だから一度“普通”を軸にやってみようとバイトしてみたり、就職説明会に行ったりしました。

――大学を今春卒業して、今度は自分でアイドルをプロデュースするんですよね。

simpatix(シンパティクシュ)というグループで、メンバー兼プロデューサーになります。10月22日に東京・渋谷ストリームホールでデビューイベントをする予定です。

――就職せず、アイドルをまた始めるというのは、なかなか大きな決断ですが……。

そうですよね。でもやっぱり私が一番好きなもので、なおかつ人生で費やした時間の割合がダントツで大きいのは、アイドルだと思いました。それに、またアイドルをやるなら“今”かなと感じたんです。ただ、アイドルグループを始めると発表したとき、私の昔の活動を知ってくれている方からは、賛否両論ありました。どうしても当時の事情が伝わっていないから、グループをすぐ辞めちゃう子だと思われているみたいで……。勘違いされやすいです。

――またどこかのグループに所属するのではなく、自分でゼロから始めようとした理由は?

いろいろお声がけいただいたりはしたんですが、またどこかのグループに入る形だとあまり意味がないと感じました。いろんなグループで活動したり、いろんなグループを応援したりした経験をちゃんと生かすためには、自分でゼロからプロデュースしたほうがいい。より良い環境、より多くの可能性を持つグループを作るためには、私に最終判断の権利があることが条件だと考えたんです。

――メンバーには、かつて清竜人25に所属していた可恩さんもいます。

彼女は期間限定メンバーです。期間限定の理由として、可恩ちゃんはアイドル活動後にバンド活動をしている時期もあったんですが、本人と会ったときに「もう1回アイドルをしてみたかった」という気持ちを聞きました。当時の私はアイドルグループを作るにあたって、なかなか「この子だ!」というメンバーが見つからずに悩んでいた時期でした。そんななかで「アイドルという存在にとても大きな愛情をもつ可恩ちゃんとなら、私も一緒にやってみたい」と心から思えたし、可恩ちゃんにとっても、自分の活動に意味を持たせることができる環境だと思いました。(次ページへ)

取材・文 / アイドルライター原田イチボ@HEW