人間椅子にZoomインタビュー! メンバーのスマホデビューやLINEグループ事情、ニューアルバム『苦楽』の制作秘話に迫る
人間椅子、バンド生活30年以上で初の全員揃ってのリモート取材を決行!
2019年にデビュー30周年を迎えた3ピースロックバンド・人間椅子。2020年9月にはドキュメンタリー映画『映画 人間椅子 バンド生活三十年』が公開され、同月には無観客配信ライブを行ったほか、2021年8月4日には22枚目のオリジナルアルバム『苦楽』をリリースするなど、彼らはコロナ禍でも歩みを止めていない。今回は当サイト『耳マン』で久しぶりの取材ということで、同バンドにとって初の全員揃ったZoomインタビューを決行! ついにメンバー全員がスマホデビューした人間椅子の“LINEグループ事情”やニューアルバムについて、画面越しでたっぷりとお話をおうかがいしました!
メンバー全員がスマホデビュー! 取材中にLINEグループのルール制定!!
――(ナカジマ)ノブさんと鈴木(研一)さんは昨年スマホデビューをされたそうですが、それはコロナ禍でもメンバーとも頻繁に連絡をとれたらということもきっかけだったのでしょうか?
ナカジマノブ(以下、ナカジマ):僕個人は別に連絡を頻繁にとるためではなかったですね。ただ、使ってたガラケーが完全に壊れたのでスマホに変えました。それまでスマホって操作が難しいイメージがあって敬遠してたんですけど、使ってみたら「あ、iPadのちっちゃい版みたいだな」っていう感じで、けっこうスッと入れましたね。
鈴木研一(以下、鈴木):あー、僕ちょっと(質問が)最後聞こえなかったけど……想像して言うに、ノブが「携帯屋さんに行ってスマホ買ったらタダだったよ」って言ってたんで。
和嶋慎治(以下、和嶋):タダ(笑)。
鈴木:「タダだったら買うか」って買ってみました、はい。
ナカジマ:そうです。僕も研ちゃんも長くガラケー使ってたんで、スマホに機種変するのがタダだったんですよ。
鈴木:(遮って)あのさー、これやりづらいですよね。リモートで誰に聞いてるのか、今誰に話しかければいいのかが……。
和嶋:全員がものすごい遠いところにいて……っていうのがすごい慣れないぞ、って感じだね。
鈴木:例えばリットーミュージックの会議だったら、しゃべるときは手を挙げるんですか? 「私言いますよ」って。
――そういう場合もありますね。
ナカジマ:えぇっ、こう(挙手する仕草)やるんすか!?
鈴木:そうですよね、やらないと今誰が何を言えばいいかわからないですね。で、言ったところでダブるしさぁ……(笑)。で、携帯の話でしたっけ。
和嶋:はい、携帯の話お願いします。
鈴木:まあ要するにタダで買ったっていうことです。んで、LINEっていうものを覚えまして、3人でLINEのグループを作りまして。気持ち悪いですけどね、バンドでグループ作って、やってます。ふふ(笑)。
――“人間椅子LINE”で一番マメに返事を返してくれるのはどなたでしょうか?
鈴木:もちろんノブです。
和嶋:はっはっは(笑)。
鈴木:僕はあの、既読スルーよくあります。
ナカジマ:あはは(笑)!
和嶋:でさ、メールだとある程度文章にしてから出して、返事も文章で返すじゃないですか。だけどLINEはちょっとしたつぶやきみたいなものもあるから。ほっとくと(未読が)20件とか溜まってて、もう「うわっ!」て。それでいちいち整理して。まっ、いいんだけどね。すぐひとこと返せるから。
鈴木:でも、俺この場を借りて言うと、ノブは「なんとかかんとかです」「はい」って要件をやりとりしたあとに、「イエーイ!」とか、「ヤッター!」とかさ、送ってくるけど。俺、返事が来るたびに乗ってたバイクを停めて、コンビニとかに寄ってチェックして「なんだよ、イエーイかよ」ってがっかりすることが多いんだよ……。あのー、僕の場合は既読スルーしてもらって構わないんで。
和嶋:今このリモート取材中にルールを決めたいね! 「了解」とかさ、わかってる答えは別に書かんでもいいかもね。
鈴木:俺もそう思うんすよね〜。けっこうノブのLINEで俺、バイク停めてますよ。
ナカジマ:じゃあ要するに、「返事がなかったらこれはOKなんだな」と思ってればいいんだよね?
和嶋:了解ってことで。
鈴木:そういうことです。
ナカジマ:あぁ、オッケーオッケー! ははは(笑)。いや、どうもね……俺、もしかしたら寂しがり屋なのかな(笑)!?
和嶋:でもLINEって多分そういうルールだもんね。あと、既読つけると失礼だからやっぱり返しちゃうんだよね。「わかりました」とかさ。
ナカジマ:でも、もう人間椅子LINEに関しては、既読がついてて返事がなかったらOKっていうことで。
和嶋:で、ひとこと言いたい場合に返事をすると。
鈴木:重要な事柄だけ返事っていうことで。
ナカジマ:じゃあ、今日新たに決まったこのルール……「既読スルーはOK!」っていうことで。
和嶋:これは世界中に提案したいね!
鈴木:みんなで既読スルーすれば、罪なことじゃないと思うんで。みんなで既読スルーしようよっていうことを言いたいですよね。
ナカジマ:いいね。みんなで既読スルー!
和嶋:スマホって便利なんだけどさ、半ば猫の鈴みたいな感じがあるよね。自分の時間も大切にしつつ、この現代と上手く付き合っていきたいですね。
――ちなみに、“人間椅子メンバー手書きLINEスタンプ”が発売されてますが、みなさんも使ってるんですか?
和嶋:自分のLINEでは使わないんですよ! 言っちゃっていいのかアレだけど(笑)、使わないよね〜。
鈴木:それはですねぇ、スタンプの買い方がわからないからなんですよ。
ナカジマ:あ! すみません、僕は人間椅子LINEでは使わないんですけど、ほかでは頻繁に使っています(笑)! よく研ちゃんの顔とか、和嶋くんの顔とか使わせてもらってるよ(笑)。
鈴木:あぁ、そう。買うのはどうやって払うの、お金。
ナカジマ:あの、携帯電話の支払いに一緒で。
鈴木:一緒になってくんだ。へぇ〜。
ナカジマ:和嶋くんは持ってないの?
和嶋:あのー、買ってないっすわ。
ナカジマ:でも人間椅子スタンプをほかの人に送ると「あぁ、それいいね! 買ったよ!」っていうふうにね、けっこう来るよ。
和嶋:セルフプロモーションみたいなことですね。いや、買います。買うことにしました!
『苦楽』収録曲にはこのご時世だからこそ生まれた歌詞も
――ニューアルバム『苦楽』についても聞かせてください。人間椅子の楽曲で「宇宙」がつくタイトルの曲ではテルミンの音色が入ることが多く、同作に収録されている『宇宙海賊』にはテルミンとギターの掛け合いも入っていますね。
和嶋:これまで人間椅子の宇宙の曲は、歌詞の中に怪しい宇宙人が出てきたりして若干オカルトチックな感じが多かったんですけど、今回はもうちょっと楽しくやろうと思いまして、海賊にしてみたんですよね。そもそも宇宙シリーズではなぜテルミンを使いだしたんだろう。あれはホークウインドとかその辺から来てるんでしょうか、鈴木くん。
鈴木:テルミンみたいに音程のない楽器っていうのはすごく宇宙的に聴こえるっていうのがありますよね。本当の宇宙はどんな音がしてるのか知らないけども、ファンファンファン……とかヒューヒューヒュー……とか鳴ると、勝手に僕らは「あぁ、宇宙っぽいな」と思うところがありますよね。だから、それでテルミンをリクエストしたかもしれないですね。
和嶋:いわゆるフレットがあったり、音程がカッチリしてる楽器ではなく、音程がすごい不安定だったり、余韻がある音を入れると、なんかスペーシーな感じがするんですよね。微分的に音が変わるというか。それで多分、テルミンを入れたんですね。
――和嶋さんには以前『耳マン』でテルミン講座を受講していただきましたが(https://33man.jp/article/007075.html)、同曲のテルミンソロにはその成果が現れていますか!?
和嶋:まさにそうです。これまではジミー・ペイジみたいに“なんちゃって”で演奏してたんだけど、前に『耳マン』さんで、テルミンの先生から正しい音程の出し方を習ったんで、ぜひ今回の『宇宙海賊』では音程を出してやってみようと思って。教わった成果が出せました(ニッコリ)!!
鈴木:わぁ〜。あれは『耳マン』だったんだ。
和嶋:『耳マン』さんのおかげです。先生に教わったら、ジミー・ペイジのテルミンの弾き方が全然間違ってるっていうことがわかりました(笑)。僕は今後、ちゃんとピッチをピシッと合わせていきますよ!
――鈴木さん作詞作曲の『恍惚の蟷螂』は斬新な歌詞の世界観ですが、どんなときにイメージが思いついたんでしょうか?
鈴木:自分は昆虫全般が大好きで、特にカマキリが好きなんですけれども。で、地獄シリーズをいい加減続けすぎて、また「地獄のなんとか」っていうタイトルにするの嫌だなと思って、今回は地獄をやめようと思ったんです。それで考えに考えて、やっぱり自分の中にあるものでしか曲を作れないんで、昆虫シリーズにしてみました。カマキリには特別な習性があるんです。なんか、歌になる人生……人生じゃないな、一生を送ってる虫なんですよ。メスがオスを食べちゃうっていうのもそうだし、その食い方にも工夫があって、自然の不思議を感じるんですけども。それを利用して、ちょっとえぐい歌詞にしてみました。
――食べ方の工夫ってどんなことがあるんですか?
鈴木:あの〜、メスがオスの頭を食うと、オスはずっと射精したままらしいんですよ。射精を止めないし、逃げようともしない。それは本当なのかはわかりません、カマキリに聞いてみないと(笑)。でもそういう噂があります。
――アルバムの中では『至上の唇』でノブさんが唯一ボーカルをとっていますが、色っぽい雰囲気の歌詞を、ノブさんが真っ直ぐ高らかに歌っているのが印象的でした。どんなことを意識して歌いましたか?
ナカジマ:僕は普通に歌ってしまうと、可愛い歌声になっちゃうんですよ。ロックよりじゃない歌い方になってしまうんですよね。なので、自分でも意識してちょっとがなるようにとか、太く声が出せるように歌うのは心がけてますね。そうじゃないと演奏に歌が負けるっていう感じもあるので、演奏に近いところっていうか、ロックな感じで歌うことは意識してます。
和嶋:多分、ノブくんは普通に歌うとクリーントーンみたいな声なんですよ。うん。バンドはひずんでるから。
ナカジマ:毎回ふたりが「こっちの歌い方がいい」とか的確に言ってくれるから、レコーディングはすごくやりやすいです。で、僕は歌詞に関してそこまで色っぽいとかエロいって感じには思わなかったんですよね。「キッスがしたい」ってすごく純粋じゃないですか。だから、僕はストレートなロックっていう感じで歌詞を読んで、そういうふうに歌ったつもりです。
和嶋:もちろんそのつもりで書いたんですよ。鈴木くんが書いた曲が、モーターヘッド調のストレートに突き進む感じの曲調だったので、歌詞もそれに合うようにと。この歌詞で何よりも言いたかったのは、今世の中でみなさんマスクしてないとまずいんですけど、女性の唇が見えないっていうのは非常に寂しいなと思ったんですよね。女性の柔らかい曲線とか、化粧を施した唇とかって男性にはないものだし、とても可愛くて綺麗だなと思って……なんかいやらしい言い方になってるけど(笑)、そのすごく重要なところがみんな隠されてるんで、寂しいの。おじさんとして。で、やっぱり若者には恋をしてほしいし、自分もなんだったら恋したいくらいですけど(笑)、「マスクの下の唇が見たい」っていうだけの歌を作りたいと思ったんです。だから大人の恋愛がしたいとかじゃなくて、子どもの気持ちなんだよ。ピュアな気持ち。もうなんか「チューしたい」っていう、初恋ぐらいのピュアな気持ちを歌詞にしたんです。誰が描いたどんな絵画よりも、人間の生きている唇が一番美しいということを言いたかったんです。
ツアーではニューノーマルなコール&レスポンスが飛び出す予定!?
――アルバムのジャケットやブックレットにはイラストレーターの鈴木旬さんのイラストが描かれています。裏ジャケットはみなさんの似顔絵(※販促用ポスターにも同イラストを使用)ですが、それぞれお気に入りのポイントがあれば教えてください。
和嶋:これ、とにかく表4をメンバーのイラストにしてほしいとだけ言って、細かい指示は出さずにお任せしたんです。そしたらすごいかっこいいのがあがってきて。僕が自分で気に入ってるところを言いますと、着物の襟から腕を通して出してるのが坂本龍馬とか幕末の志士みたいでかっこいいなと思いました。
ナカジマ:僕はっすね〜、 背中に銅鑼が書いてあるんですけど、それがすごくすごく好きですね。別にそれも指定してないんですけど、旬さんがきっと銅鑼をアイコンみたいな感じで見てくださったのかなと思って、嬉しかったですね。
鈴木:僕は、最初に描いてくださったときの絵はもっと現物に近くて、ムチムチ太っててまつげが妙に長かったりしたんですよ。で、その辺りを直してくださるよう注文したら、現物よりげっそりした感じで描いてくださって、ありがたかったです(笑)。あと、目が赤くなっているところが気に入ってます。
和嶋:歌詞カードの挿絵も、どれどれを描いてほしいって特に指定してないんですよ。そしたら、『人間ロボット』と『恍惚の蟷螂』のページに効果的に挿絵を入れてくれて、引き締まった感じになって良くなりましたね。
鈴木:うん、ハナカマキリを選ぶあたりがね、なかなか良いと思いますよ。日本にいない東南アジアのハナカマキリがモチーフだと思うんだけど、それを選ぶところがすごいなーと思いました。
和嶋:やはり日本語を大事にして30年以上やってきましたんで、歌詞カードには凝りたいんですよね。今ってサブスクでしたっけ、それで聴く人が多いですけど、サブスクでは歌詞は出たり出なかったりだと思うんです。音を聴いただけだと正確な歌詞がわからないでしょうから、歌詞を見ていただきたいという気持ちはありますね。日本語でひとつのことを言い表すのには3つも4つも言葉があって、そのどれを選ぶかによってニュアンスが変わってくるから、そのニュアンスを歌詞カードを見て感じ取ってもらいたいです。
――8月20日から始まる全国ツアーは本当に久しぶりの有観客ライブだと思いますが、意気込みを教えてください!
和嶋:1年半ぶりの有観客ライブになるので、本当に楽しみですね。今回のアルバムでは掛け合いのある曲が多いんですよ。ライブでやることを想定して楽曲を作ったし、早くライブでやりたいという気持ちが表れてると思うんです。だから早く新曲をお客さんの前でやりたい! 声を出したコール&レスポンスはなかなかできないけど、何かこう、心で通じ合えることができるといいなと……。直接お客さんの前で演奏するのが今から楽しみです。
鈴木:楽器の生音を聴いてもらえるっていうのがすごく嬉しいですよね。音源だと伝わりきらない部分がハードロックにはあるし、人間椅子は特にそうなんで。生音でみんなに聴いてもらえるっていうのがすごく嬉しいです。
ナカジマ:僕も楽しみでしょうがないですね!! 久しぶりに行く土地や初めて行くライブハウスもあるので、そこに行くのもすごく楽しみです。何よりツアーのなかで3人で演奏を何度も何度もしていって、段々ブラッシュアップされていくというか、曲が少しずつ変わっていったりする、その楽しみが再びやってくると思うとワクワクしっぱなしですね! あとは、ライブではいつも「アニキって呼んでくれー!」と言って、お客さんに「アニキー!」って叫んでもらってるんですけど、その代わりに何をやるかっていうのを考えてますね。「心の中で叫んでくれー!」って言おうかなと思うんですけど。
鈴木:多分ノブくんが言ってたと思うんだけど、ハミングはいいんですよね?
ナカジマ:そう、言葉を発さずに「(ハミングで)んんんんー!」とかはいいんですよ。
鈴木:それで「んんんんー!(アニキー!)」って言ってもらえばいいんじゃないの。「張り切ってハミングで言ってくれー!」つって。
ナカジマ:ちょっとおもしろいね(笑)。まず1回やってみて、どうなるかっていうとこっすかね。今のライブって、みんないろいろ試行錯誤してるみたいだよね。言葉の調子で手拍子してくれ、とか。例えば手拍子しながら「和嶋ー!」「研ちゃーん!」とかやるみたいだよね。
鈴木:アイドル系だと光りものなんかを用意して、応援できるような仕組みになってるみたいじゃないですか。
和嶋:なんかさぁ、すごい厳密なルールがある中でのゲームみたいだよね。じゃあ、ハミングでコール&レスポンスできるんじゃん? やろうと思えば。
鈴木:できる、できる。
ナカジマ:できるじゃないですか〜。『恍惚の蟷螂』の「それそれそれそれ〜!」とかも、「んんんんんん〜!」って(笑)。
鈴木:いやぁ、それは厳しいかなあ(笑)。
和嶋:今回のツアーのひとつの目標として、新しいお客さんとの受け答えを模索しつついきますか!
(おわり)
『人間椅子 2021年「苦楽 ~リリース記念ワンマンツアー~」』(※全14公演)
8月20日(金)長野CLUB JUNK BOX
8月27日(金)金沢GOLD CREEK
8月29日(日)大阪umeda TRAD(※Sold Out!!)
9月1日(水)神戸CHICKEN GEORGE
9月3日(金)高松OLIVE HALL
9月5日(日)名古屋Electric Lady Land
9月9日(木)福岡 DRUM Be-1(※Sold Out!!)
9月11日(土)沖縄 桜坂Central
9月16日(木)福島 いわきclub SONIC iwaki(※Sold Out!!)
9月18日(土)弘前KEEP THE BEAT(※Sold Out!!)
9月20日(月/祝)青森Quarter(※Sold Out!!)
9月22日(水)札幌PENNY LANE 24
9月25日(土)仙台CLUB JUNK BOX(※Sold Out!!)
9月27日(月)東京Zepp DiverCity(TOKYO)
※詳細は人間椅子オフィシャルサイトをチェック!