「いつか宮崎でフェスしたい」人気急上昇中の蛙亭・イワクラがえぐい“宮崎愛”を語る!

特集・インタビュー

[2021/7/22 12:00]

独特の世界観に中毒者続出の蛙亭・イワクラに直撃!

数々のお笑い賞レースで存在感をみせつけるほか、テレビやラジオでも活躍をみせている人気上昇中の男女コンビ・蛙亭。ふたりがくり広げる独特な世界観の漫才や展開が読めないストーリー性のコントにハマる人が続出し、注目を集めています。そんな蛙亭のイワクラさんは21歳のときに地元の宮崎県を離れ、大阪のNSC(吉本総合芸能学院)に入学し、そこで出会った相方の中野周平さんとコンビを組み活動。2020年4月には上京し、活躍の幅を広げています。今回は、宮崎県出身の新人編集者・にちなんがイワクラさんを直撃! イワクラさんが音楽好きであることや、自身のYouTubeチャンネル『宮崎よかとこチャンネル』が話題となっていることから、好きな音楽や “宮崎愛”についてお話をうかがってきました!

窓辺にて素敵な笑顔のイワクラさん

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音楽からコントを考えることも!? イワクラの音楽ライフを探る!

――蛙亭の単独ライブでは、客入れや客出し、コントの出囃子の曲をそれぞれ変えているそうですが、これらはすべてイワクラさんが選んでいるんですか?

はい、そうです。オープニングVTRの映像は毎回中野さんが作ってくれているんですけど、そこで使う曲は中野さんが好きなやつで、あとは全部私が好きなやつにしています。音楽でテンションを上げるためにコントごとに曲を変えさせてもらっているんですけど、中野さんは別に音楽でテンションが上がるとかないみたいなんで、私が全部選ばせてもらっています。

――イワクラさんはすごく音楽がお好きなんですね。音楽からネタの発想が出ることもあるんですか?

なんも思いつかないときは音楽を聴いて、歌詞を見ながら、「この音楽に合うネタはなんだろう」みたいに考えることがあります。コントの設定とか、ジャンルとか。恋愛の歌だったら恋愛系のネタ、ちょっと暗い歌とかだったら暗いネタ……みたいな感じで思いついたりしますね。

――最近はどんな音楽を聴かれているんですか?

ちょっと前にクリープハイプの尾崎世界観(ギターボーカル)さんがMCを務めるテレビ番組(『#ハイ_ポール』)に出させてもらったのがきっかけで、最近はクリープハイプをめっちゃ聴いています。こないだライブにも行かせてもらったんですけど、生演奏もかっこよすぎました! 特に『愛の標識』っていう曲が好きで、ほぼ毎日聴いています。

――クリープハイプも歌詞に物語性を感じる部分がありますが、そういうところがイワクラさん的にもフィットしますか?

あぁ〜、はい。曲もかっこいいんですけど、歌詞がめっちゃかっこいいなって思いました。すごく歌詞が入ってくるというか。あと、ライブで観たときは、MCで尾崎さんが話していた言葉がすごく身近に感じる内容だったんですよ。天才みたいな方なのに「あー、こんなこと思っているんだ」って共感できることを話されていて、「意外と、自分と近しい部分もあるのかな?」と思って、少し親近感がわきましたね。

――漫才の出囃子は神聖かまってちゃんの『砲の上のあの子』ですが、これもイワクラさんのチョイスなんですか?

出囃子はふたりで相談して決めました。ふたりともかまってちゃんが好きなんですが、もともとは私以上に中野さんが大好きだったんです。それでCDを聴かせてもらったりして私ももっと好きになって。なので出囃子を決めるときに「かまってちゃんにしよう」ってことだけは決まっていて。それで、私が『砲の上のあの子』の歌詞がめっちゃ好きだったので、その曲に決めました。

――歌詞や言葉はイワクラさんにとって響く部分で、大切なんですね。

はい、CDで音楽を聴いていた頃も歌詞カードをめっちゃ見てましたし、今サブスクで音楽を聴くときも歌詞を見ながら聴きます。

――普段、相方の中野さんと音楽の話をすることはあるんですか?

それが、中野さんとはかまってちゃん以外は好きなジャンルが全然違うんですよね。あっ、そうだ! 前はよくかまってちゃんの話をしていたんですけど、私が思ってた歌詞の解釈と違うことを言ってきたんで、ちょっと……私の中で「あ、こいつなんもわかってねえな」「こいつとしゃべりたくない」と思ったんです。

――感じ方が違ったんですね(笑)。

どっちが正しいとかはないとは思うんですけど、私はこいつ(中野さん)の考えを聞いて「お前、まじでかまってちゃん好きなのか?」って思っちゃったんですよ。歌詞の本当の意味はどうなのか、の子さん(神聖かまってちゃんのギターボーカルで、全楽曲の作詞作曲を担当)にいつか直接会えたら聞いてみたいですね。とにかくもう、中野さんとは音楽についてはしゃべらんようにしてます。心を閉ざしました(笑)。

6月に本名の“岩倉美里”から“イワクラ”に改名したものの、まわりからは「元に戻せ」と言われることもあるそう

離れたことで気づいた地元の魅力……えぐい“宮崎愛”を語る!

やっぱり笑顔が素敵なイワクラさん。守りたい、この笑顔!

――YouTubeの『宮崎よかとこチャンネル』では宮崎の魅力をたくさん発信されていて、“宮崎愛”の強さを感じるのですが、どうしてそんなに宮崎が好きなんでしょうか。

私は21歳のときに地元の宮崎から大阪に引っ越してNSCに入って、それから9年間は大阪に住んで、10年目から東京に来たんです。最初大阪に来たときは、絶対ホームシックにならないと思っていたんですけど、めちゃくちゃなって。それまでは宮崎のこと、ちょっと嫌い……というか、「田舎だし、なんもない」みたいに思っていたんですけど、大阪に住み始めてからは、水とかお米とか、宮崎にあったものの素晴らしさに気づいたんですよね。「毎日食べていたもの、あんなに美味かったんだ」って。あと、人の優しさはどこも一緒ですけど、宮崎は時間がゆっくり流れているんです。そういうところも「あ、めちゃくちゃ良いところだったんだ」って気づいて、そっから好きな気持ちが増しましたね。「なんもない」とかも、子どもだったから思っていただけで、今はもう「宮崎にはよかもんがたくさんある」と思えるんで。

――離れてから良さに気づいたんですね。

いや、本当に……! YouTubeで紹介しているものは自分がちっちゃい頃に食べたり飲んだりしてたものなんですが、それが「あ、こっち(大阪や東京)にはないんだ」ってなったときに「あー、すごい恵まれていたのか」って。離れてみると本当に良さがわかるなっていう感じです。

――『宮崎よかとこチャンネル』を作ろうと思ったきっかけは?

全員宮崎出身の作家さんが5人、チームみたいな感じでいらっしゃって。私が上京してくるってなったときに、その方々が「宮崎のことを発信するYouTubeを良かったらやりませんかー?」と勧めてくれた感じです。

――なるほど。『宮崎よかとこチャンネル』のスタッフさんは、全員宮崎出身なんですね。

そうです。みなさんと初めて会ったときに、いろんな宮崎の話をして、「あ―! 懐かしー!」とか言って(笑)、それがちょっと楽しすぎたのでYouTubeをやりたいなあって思いました。

――みなさんで集まると方言も出まくりですか?

みなさん東京長いんで、普段はあんま出ないんですけど、私としゃべったら一瞬戻ったりとかして。「(宮崎訛りで)うわっ、戻ったし〜!」とか言ってて(笑)、つられるみたいです。

――チャンネルを始めてみて良かったことはありますか?

「私も宮崎出身です」「宮崎から応援してます」って声かけてくれたり、お手紙くださったりする人が増えました。あと、ちっちゃい頃から飲んでる“デーリィ”とか“サンA”とか(宮崎県の飲料会社)、宮崎のジュースの会社の方が「宮崎をもっと盛り上げてください」って商品を送ってくださったり。自分が宮崎を盛り上げられるかは正直不安だったんですけど、「そうやって言っていただけるならがんばろう!」って思っています!

――ちょうど今朝、KONNE(東京・新宿にある宮崎県のアンテナショップ)に行ってきたんですが、「『宮崎よかとこチャンネル』で紹介されました!」とたくさんポップが貼ってあって、影響力を感じました。

それもめっちゃ嬉しいです。まだ自分の目で見に行けてないんですけど、本当に嬉しいですね。

快晴の日の撮影で眩しそうなイワクラさん。キュートです!

――イワクラさんは普段どんなときに自分が宮崎の人だと感じますか?

ん〜、食べもののこだわりがあるかな? そうめんのつゆは宮崎の『高千穂峡つゆ』が良かったり、醤油もお母さんに宮崎のものを送ってもらったりとかしてて、やっぱり九州の味が好きだなって思います。なので、家でもチキン南蛮を宮崎のお店のレシピで作ったりしてます。そういう食のこだわりは宮崎人っぽいかなーと思います。

――大阪や東京はやっぱり宮崎とは違うところが多いと思いますが、感動したことはありますか?

24時間やってるお店がいっぱいあるっていう……あれはやばかったです! (宮崎は)大体22時とか23時にお店が閉まるんで。カラオケとかも開いてるし、一番感動したのは牛丼屋さんとかマックとか、ご飯屋さんや居酒屋さんが24時間開いているとかいうのが……「え!?」みたいな。「これ、寝れないなあ!」と思って、すごいテンション上がりました(笑)。

――逆に、今でも東京で慣れないことや違和感を感じることはありますか?

なんだろう、みんなとにかく急いでるなっていうのがあって。電車とかもすごい急いでいるし、人もぎゅうぎゅうだし、みんななんかイラついているんで。

――(笑)。

やっぱ田舎のほうは時間がゆっくり流れていて、誰も急いでないと思うんで、それは慣れないですね。今は東京のペースに合わせて動かないといけないんで、せかせかがんばってます。怒られないように(笑)。

イワクラさんは差し入れの宮崎のお菓子に「最高だ! うわ、チーズ饅頭、えぐ!」と喜んでくれました!
前述のデーリィ社の人気商品『愛のスコール』を美味しそうに飲むイワクラさん

方言を使ってキレられた過去! 宮崎に帰ってやりたいことは?

――普段方言を話されることもあると思いますが、方言や訛りは使い分けていますか?

あ、方言はもう使わないようにしているんです。(宮崎では)リュックを“背負う”ことを“からう”って言うんですけど、それを大阪で言ったときに「は? リュック“背負う”やろ、方言使うな」ってキレられて。それからはそういう方言も出さないように意識して、“リュックを背負う”とか、全部誰でもわかるように言ってます。

――それは“伝わるように”という意味で、使い分けているってことなんですね。

訛りは「このままでいいや」って思ってこのままにしているんですけど、方言はもう使っていないです。でも、宮崎に帰ったときにはめっちゃ自然に出ちゃいますね。

――私(宮崎県出身スタッフ)は上京してから方言や訛りを恥ずかしく感じていたのですが、イワクラさんは恥ずかしいと感じたことはないですか?

場合によって使い分けています。タクシーに乗るときや、お店とかでは舐められるんで(笑)訛りではしゃべらずに、ちゃんとしている感じ出してますけど、普段は全然恥ずかしくないですね。しゃべる相手が別にちゃんとしてる人じゃないというか……芸人だけなんで(笑)、「別にいっか」って思って。あと、標準語にしたらお母さんに「わー、なんか(東京に)染まってる〜」とか言われて、そっちのほうがなんか恥ずかしいんで……。

――あ〜、確かにそれはわかる気がします。

お母さんにイジられるほうが恥ずかしいんで(笑)、「染まってないし〜」とか言って、大体はそのままでいってます。

――このご時世で少し難しいと思うんですけど、次に宮崎に帰ったら真っ先にしたいことはありますか?

今真っ先に出てきたのが、『山椒茶屋』っていううどん屋さんがあるんですけど、そこに行きたいです。ちっちゃい頃からめちゃめちゃ行ってるうどん屋さんで、そこのやわらかいうどんが好きすぎるんです! 特に好きなのが山かけうどんで、トッピングでかけられる柚子胡椒もめちゃめちゃ美味しいし、畑で採れた野菜をサラダバーみたいな感じにしてて、しかもそれが無料なんです! おでんも1個100円で。建物もでっかい水車があって、日本の昔の建物みたいな感じで、佇まいがかっこいいんですよ。帰ったら真っ先に行きたいし、おすすめのお店です!

中庭でニコニコのイワクラさん
ジャンプ!!!

「賞レースで優勝して自信をつけたい」今後の展望

――最後に、蛙亭としてでも、イワクラさん個人の活動でも、今後挑戦したいことや目標があれば教えてください。

コンビとしての目標は、やっぱり賞レースで優勝して自信をつけたいなっていうのがあります。そっからはもう好きなことしたいなあって。単独で全国ツアーをしてみたくて、相方の中野さんの地元は岡山県なので、宮崎と岡山に凱旋したいです。個人では、せっかくあるYouTubeチャンネルでもっとたくさんのことを発信していきたいなぁと思っています。あと、いつか宮崎で仲良い芸人たちとフェスみたいなでっかいライブもしたいです。もうほぼ旅行メインみたいなやつやりたいですね。仲良い芸人を宮崎に呼んで、地元の美味しいご飯とかお酒とかを食べて飲んでほしいです。みんなでどんちゃん騒ぎしたいなぁ!

――すごく楽しそうです!

今はそれを楽しみに生きています……ふふふ(笑)。

蛙亭のさらなる活躍に期待が高まります!

(おわり)

プロフィール

イワクラ:1990年4月10日生まれ、宮崎県小林市出身。2011年、NSC大阪校(34期生)に入学し、同期の中野周平と蛙亭を結成する。近年はお笑いの賞レースやテレビ、ラジオでも頭角をみせており、2021年2月にはYouTubeチャンネル『宮崎よかとこチャンネル』をオープン。伊藤俊介(オズワルド)、森本サイダー、大鶴肥満(ママタルト)と同居していることでも知られている。2021年8月には蛙亭初となる、東京大阪2都市での単独ライブが決定。吉本興業FANYチケット公式サイトにてチケット発売中。

にちなん