【最終回】『BRADIOのファンキーハンター』【魅惑のカッティングギター&グルーヴ〜レイ・パーカーJr.編】

連載・コラム

[2018/4/17 11:30]

LIVE REPORT
BRADIOメンバーによるライブレポート! 2018年3月29日にビルボード東京で開催されたレイ・パーカーJr.&レイディオの公演の模様をレポートします!



ずーっとギターがかっこいい

カッティングギターを好むギタリストとしては興奮せざるを得ない今回のメンバー。レイがテレキャスターで弾くダブルストップのカッティングフレーズや単音ミュートフレーズは、とてもシンプルながら1音で心を掴まれる。MCのたびに「日本のウイスキーが最高だ!」って言いながら、いい顔で飲んでいたけど、上質なウイスキーを口に含んだ瞬間の「くぅー!」って感じが、彼のギターそのものな様な気がしてなんだか妙な説得力があった(笑)。

(c) Masanori Naruse

そしてポールはここ数年で観たギタリストの中でベストといっても過言でないくらい素晴らしい演奏だった。彼のソロセクションでは、繊細なタッチ、うねるカッティング、ダイナミックなソロ、どれをとっても素晴らしいシンガーの歌声を聴いているような感覚になるプレイだった。レイが歌えばポールがギターで歌い返し、レイがギターで主張すればポールが美しく支えたり、そんなやりとりが続くもんだから、とにかくずーっとギターがかっこいい1時間半。ギタリストとしては個性の違うふたりだが、彼らに共通して感じたのは、対談のときに感じた人柄の雰囲気がそのままギターの音になっているということ。そしてお互いの個性を深く尊敬しあって演奏していること。楽器とはこれほどに人の魅力を伝えるものなのかと改めて感動させられた素晴らしいライブだった。
(大山聡一/BRADIO)

“塊”をダイレクトに感じたライブ

スーパーギターリストを同時に観られたライブ。インタビューで感じたふたりの人柄がそのままステージに出ていように感じた。レイがドシッと構えてカッティングを始めると曲の世界観に一気に引き込まれる。一方のポールは繊細かつダイナミックで、ギターソロになった瞬間、そのプレイにクギ付けになってしまった。インタビューでファンクとは塊のようなものだとふたりから聞けて、その塊をダイレクトに感じたライブだった。

(c) Masanori Naruse

なんだろう、主張はしているのだけどあくまでも塊のなかの主張というか。きっとほかの人がやったら、「長いな」とか「しつこいな」とか思ってしまうような場面でも、全員がちゃんとバンドの目指す方向を共有しているから飽きずに観られたんだと思う。そのなかでのダイナミックさが、またより一層心を掴む。ふたりからはすごいエピソードやアドバイスを聞けたし、なんだかものすごく自信をつけさせてくれた。俺も60歳を超えたら「イェ〜ジャパニーズウイスキー」(ライブでレイがウイスキーを飲むときのかけ声)でライブやりたい。
(酒井亮輔/BRADIO)

インタビューを終えて

「“ファンク”というのはある種の感覚で、ブラックミュージックに限ったものじゃない。全員が一体化することなんだ」。レイのこの言葉を俺はずっと待っていたし探していたのかもしれない。ファンクやソウル、いわば異国のカルチャーが創りあげてきた音楽にジャパニーズが憧れ、プレイする意味とは一体なんだろう、と模索していたときに痛快な言葉を浴びせられた。「あなたたちを尊敬し、あなたたちのようになりたい」ではなくて「これが俺たちのファンクだ」と自信を持て、と言われたようにも思えてならなかった。もちろんリスペクトの気持ちがこれからも消えることはないが……。そして「これが俺たちのファンクだ」と言える確固たる自信、アンサンブルを得る方法も聞けた。それはとても正確でわかりきった話だった。とにかく練習して努力する、不安や迷いをステージに持ち込まないために。そして本番・演奏はただ楽しむ。それができるように準備する。“ファンク”という言葉自体はフィーリングなのだろうけど、そこには気持ちだけでは超えられない確かな技術があることを改めて痛感した。
(真行寺貴秋/BRADIO)


レイ・パーカーJr.との“コミュニケーション”で見つけたファンキーワード

「“ファンク”というのはある種の感覚(フィール)でブラックミュージックに限ったものじゃない
by レイ・パーカーJr


協力:ビルボードライブ

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【著者紹介】

BRADIO
真行寺貴秋(ボーカル)、大山聡一(ギター)、酒井亮輔(ベース)による3人組バンド。楽曲ごとに異なるサウンドを鳴らす楽器陣を軸に、熱唱&ファルセットを使い分ける真行寺の歌声で、観に来たFUNKY PARTY PEOPLEを虜にするエンターテイナー集団。4月4日メジャーセカンドシングル『きらめきDancin'』をリリース!

[耳マン編集部]