『BRADIOのファンキーハンター』【至高のパーティーバンド〜クール&ザ・ギャング編〜】

連載・コラム

[2017/10/20 20:00]

人気上昇中の若手ファンキーロックバンドBRADIOが、より“Funky!!”なバンドを目指すべくファンキーなヒト・コト・モノに出会いに行く連載!


『セレブレーション』でお馴染みの世界的パーティーバンド

Hi!Funky Party People!! BRADIOボーカルの真行寺貴秋だ! 1964年に“ジャジアックス”というグループ名からスタートしてバンド結成から現在まで約半世紀以上、2017年で53周年を迎えるパーティーバンド、クール&ザ・ギャング。2010年からはほぼ毎年来日しているバンドで、1980年に発表した名曲『セレブレーション』は日本でもおなじみ不滅のパーティテューンだ! 兄のロナルド・ベルと弟のロバート・”クール”・ベルを中心にジャズバンドとしてスタートし、ストリート直結のファンクスピリットな楽曲を数々生み出した。1970年代前半の楽曲なんかは特にラップのネタとしても幅広く愛され継承されている。

クール&ザ・ギャング『サムシング・スペシャル』(1981年)

「アース・ウィンド・アンド・ファイアーにはモーリス・ホワイトそしてフィリップ・ベイリー、コモドアーズにはライオネル・リッチーがいた」と言われるように名グループには最高のリードシンガーがいたものだが、1970年代前半のクール&ザ・ギャングには専任リードシンガーがなかった。しかし、ディスコブームの煽りを受け1979年にクール&ザ・ギャングを代表するリードシンガー、ジェームス・JT・テイラーが加入。ポップスシーンも視野に入れての第2期黄金時代が始まったわけだ。その後もメンバーは入れ替わりながらも現在まで4人もオリジナルメンバーが在籍。近年では2016年に新曲を発表するなどクールなギャングたちのパーティはOh, what a night!(終わらない!※『レディース・ナイトより』)。今回はベースの亮輔と一緒にバンドの中心人物、ロバート・”クール”・ベルに会ってきたぜ!

INTERVIEW
ロバート・”クール”・ベルを直撃!

貴秋&亮輔:今日はよろしくお願いします!

ロバート:こちらこそ! 君たちは日本のファンクグループなんだね。オーケー、よろしく!

貴秋:インタビューでいつも最初に聞いているんですが……僕のこのアフロ何点でしょうか?

ロバート:アフロの点数かい(笑)!? 俺も1960年代はアフロだったからね。その時代を思い出すよ。10点満点だ。

貴秋:ありがとうございます! クール&ザ・ギャングは1960年代からずっと活動してきていていますが……

ロバート:そう、1964年結成だからね。

ロバート・”クール”・ベル

貴秋:半世紀以上もバンドを続けるコツってなんなのでしょうか?

ロバート:みんなで協力することが一番大切だな。もう他界してしまったメンバーもいるけど、今も7人のうち4人がオリジナルメンバーだよ。親からも昔からずっと「何かをやるなら同じ仲間と続けるように」って言われてきたからね。

貴秋:活動のなかでさまざまな達成感があったと思いますが、印象的な出来事は何でしたか?

ロバート:そうだな、やっぱり1枚目のアルバム(『Kool & The Gang』/1970年)を出したときだね。当時は歌モノではなかったし、カウベルが入っていたりしてグルーヴ重視の曲をたくさん演奏していたから、ラテンのバンドだと思われたりもしたんだ(笑)。

貴秋:ラテンですか!

ロバート:そうなんだ。あと、初めて日本に来たとき(1975年)のこともよく覚えてる。そのときの日本のファンはまだおとなしくて、静かに演奏を聴き、終わったらパチパチと拍手をしてくれるみたいな感じでね。すごく印象的だったよ。今では一緒に踊ってくれるけどね。

貴秋:あなたたちの音楽が新しすぎたんですよね、きっと。

左から真行寺貴明、酒井亮輔

ロバート:1980年代には東京で行われたミュージックアワード(『第14回東京音楽祭』/1985年のこと)でグランプリをもらったんだ。曲は『チェリッシュ』だったな。

貴秋:素晴らしい活躍ですね。僕は『セレブレーション』(1980年)であなたたちを知りました。この大ヒット曲はどのように生まれたのですか?

ロバート:当時のニューヨークのクラブでは土日に“レディース・ナイト”っていうイベントがあってね、それで『レディース・ナイト』(1979年)っていう曲を作ったらヒットしたんだ。それをお祝いしようということで、喜びとエネルギーを込めて作ったのが『セレブレーション』なんだよ。

貴秋:それはめちゃくちゃ面白い話ですね。

ロバート:そう言えば、去年、日本のテレビで『セレブレーション』を日本のタレントと一緒に演奏したよ。すごく有名だっていう日本のグループと一緒に。

貴秋:ぜひ僕らとも一緒にやってほしいです!

ロバート:ハハハ! それを実現させるように努力してくれよ!

テレビで共演したのはSMAPでした……

貴秋:その昔、ジェームス・ブラウンが「俺の次にクール&ザ・ギャングはかっこいい」って言っていたというのを読んだことがあるのですが、やはり彼は偉大ですか?

ロバート:バンドの結成当初はカバーもやっていて、ジェームス・ブラウンの曲もよくやっていた。ほかにもテンプテーションズ、スモーキー・ロビンソン、スティーヴィー・ワンダー、いろいろな曲をやっていたけどね。俺たちはデビューの直前まではクール&ザ・フレイムスっていうバンド名だったんだよ。ジェームス・ブラウンのバックバンド“フェイマス・フレイムス”にあやかってその名前で活動していたんだけど、デビューするときにはさすがにその名前は問題があるってことになってね。それでクール&ザ・ギャングに改名したんだ。

貴秋:彼への思いがよくわかりました。最近のアーティストで気になるのは誰ですか?

ロバート:やっぱりブルーノ・マーズだな。彼は若いクール&ザ・ギャングっていう感じがするよ。あとはヒップホップシーンだね。50セント、JAY-Z、パフ・ダディ、ウィル・スミス……たくさんのアーティストが僕らの曲をサンプリングしてくれて嬉しいよ。そう言えば、プリンスも最初にギターで覚えたのは俺たちの『ファンキー・スタッフ』(1973年)だったって言ってたな。

貴秋&亮輔:へぇぇ!

亮輔:ちなみに、ロバートさんはベーシストとしてはどんな練習をしてきましたか?

ロバート:若い頃はロン・カーターとかジャコ・パストリアスとか、ジャズ系のベーシストのプレイをよく練習したよ。あとはモータウンのジェームス・ジェマーソンだな。俺は正式な音楽教育を受けたわけじゃないけど、感じたままを表現できるように努力をしながらプレイしてきたよ。ジャズもファンクもポップスもやってきたけど、ベースは“家の土台”をしっかり作ることが大切だ。土台があちこちに動いたらその上に家は建てられない。ベースでしっかりとした土台を作ることを心がけるんだ。

亮輔:勉強になります。最後の質問ですが……あなたにとってファンキーとは何でしょうか?

ロバート:俺にとって?

貴秋&亮輔:はい!

ロバート:そうだね……ファンキーはエネルギーでありグルーヴだ。ベース、ドラム、ギター、キーボードの各楽器が一体になって、曲によって1拍目だったり2拍目に一斉になだれ込むことでファンキーなグルーヴが生まれる。時には“クエッション&アンサー”のように、プレイヤー同士がフレーズで反応し合うことも大事だ。そういうフィーリングが俺にとってのファンキーだ!

貴秋&亮輔:ありがとうございました!

BRADIOとロバート・”クール”・ベルのナイス!なコミュニケーション!

[耳マン編集部]