BRADIOのファンキーハンター【アース・ウィンド・アンド・ファイアー編〜これぞ宇宙のファンタジー〜】

連載・コラム

[2017/6/4 12:00]

人気上昇中の若手ファンキーロックバンドBRADIOが、より“Funky!!”なバンドを目指すべくファンキーなヒト・コト・モノに出会いに行く連載!


ついにEW&Fをファンキーハント!?

今回の『BRADIOのファンキーハンター』は、BRADIOももれなく多大な影響を受けている世界的ファンクバンド、アース・ウィンド・アンド・ファイアー(EW&F)編だ。日本武道館での来日公演に足を運び、世界最高峰のファンクネスを全身に浴びまくったふたりはナント!オリジナルメンバーのヴァーダイン・ホワイト(ベース)に取材ができることに……! 超大物との夢の対面に胸膨らませるのふたりだったが、取材は意外な顛末を迎えた。まずは真行寺貴秋(ボーカル)と酒井亮輔(ベース)による、大興奮のライブレポートからお届けしましょう!

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【LIVE REPORT】5月22日(月)日本武道館

間違いなく最高のエンターテイナー! 何回でも観たい(酒井亮輔)

正直、EW&Fを舐めていた。いや、きっと素晴らしい事は間違いないと思っていたけど、想像をはるかに超えた感動と高揚感を与えてもらった。

登場がもう……カッコいい。全員で手を上げてその手を上下に振り、リズムを会場と共有したそのとき、往年のメンバーであるヴァーダイン(・ホワイト)、フィリップ(・ベイリー/ボーカル)、ラルフ(・ジョンソン/パーカッション)が登場。セッションが繰り広げられ、まだかまだかとワクワクさせられたところで『ブギー・ワンダーランド』だ。イントロのキメで完全にやられた。こんなにも最高なイントロあるかいな。

その後も名曲のオンパレードで、曲間も次の曲に繋げる仕かけがあったり終始ワクワクしていた。次はなんの曲がくるんだ……!?

往年のメンバーは3人しかいないけど、各プレイヤーも本当にすごかったし、何よりモーリス(・ホワイト/ボーカル、2016年に死去)の意思や哲学が今も受け継がれているのを肌でものすごく感じた。そんなことを思っていたらモーリスがスクリーンに映し出され、現メンバーの愛や、思いやり、彼へのリスペクトが伝わってきて本当に感動的な瞬間だった。

EW&Fといえば、ディスコだったりダンスというイメージが強いが、バラードも本当に最高だった。『アフター・ザ・ラブ・ハズ・ゴーン』では、フロントメンバーは椅子に座り、フィリップがグッと前に出て来て、歌い出した瞬間は会場みんなが感動したはず。曲後半のクライマックスでは突然全員が立ち謎のダンスをしていたが、それすらカッコいい。

世界を動かして、時代を変えて、これからも歴史を作っていくEW&Fは間違いなく最高のエンターテイナーであり、最高のバンドだった。何回でも観れるし、観たい!

今でも僕らはEW&Fに踊らされている(真行寺貴秋)

僕の中で特別な、そして普遍的グループ、EW&F。今自分がファルセットを歌唱法に取り入れてるのはEW&Fの影響が大きい。かつてアメリカのロックバンド、シカゴとのジョイントライブのDVDでその歌唱法を研究した。今でもBRADIOでのライブや楽曲の制作中によくEW&Fの名前が上がるし、とにかくみんなが大好きで、今でも僕らはEW&Fに踊らされている。

今回の来日では2公演も観に行かせてもらえて、うち1公演は静岡までメンバーとチームで行った。みんなで観終わったあとは刺激されて、ライブの内容を夢中で振り返りながら「自分たちもあんな演出したいね」なんて今後に想いを膨らませていた。

ライブが始まると全編をとおして映像ありで、「次に何が来るんだろう?」と期待感を持たせる演出がくり広げられ、心も体も煽られる。わかってはいたが、全曲イントロドンができるくらいに誰もが知っている名曲(日本人ですら知ってる。これって本当すごいよね)が立て続けに演奏されるもんだから、終始圧巻だ。

バラードがまとまったセクションでは、僕がEW&Fの中でダントツで好きな『アフター・ザ・ラブ・ハズ・ゴーン』でうっとり。『リーズンズ』ではフィリップのファルセットが会場に響きまくっていた。デイヴィッド・フォスターの来日でフィリップが一緒に来ていたときにも一度歌声には触れることはできたが、EW&Fのステージ上での貫禄は、大げさだけど“追いかけていた人ここにあり”という感じに映った。そして、EW&Fの肝となっているリズムセクションはやっぱり強力だ。ドラムとパーカッションの重厚なコンビネーションに、キレッキレのホーンセクション。そこにヴァーダインの唯一無二のベース。彼らのグルーヴで世界中が踊ってるんだから、これが普遍的なグルーヴというやつなんだ。

途中でフィリップがカリンバ(親指ピアノ)を演奏したが、EW&Fの創設者モーリスへ想いを届けるかのような美しい音色に感動。そして暗闇の中、映像にモーリスが歌う姿が浮かび上がり、太陽神が会場に舞い降りたかのような(いや、間違いではない)大歓声が起こった瞬間が、僕のなかでのハイライトだった。

[耳マン編集部]