のりピー、B'z、オフコースも……再生したときに怪音が聴こえる曲たち〜音楽の都市伝説〜

連載・コラム

[2016/11/29 11:45]

『月刊ムー』でも執筆するライター長田遊馬氏が音楽にまつわる都市伝説に迫る!


“のりピー”のあの曲が……

本連載もちょうど1年が経過したころだろうか。新参者がここまで書き続けられたのも、一重に読者のみなさまのおかげである(担当編集の方には毎月泣いてもらっているが……)。

昔から音楽業界でまことしやかに囁かれている都市伝説に、「心霊音楽」というものがある。これは曲を再生したときに、異常な音=怪音が聴こえるというもので、その報告例は数多い。たとえば、こんな話がある。

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2009年8月、テレビのワイドショーはタレントの“のりピー”こと酒井法子の話題で埋め尽くされていた。彼女の夫が違法薬物で捕まるや、本人が行方不明となり、その後出頭。当初は薬物使用を否定していたが、最終的には覚せい剤取締法違反(所持)の罪で起訴された。

当時、ソープオペラさながらの急展開に日本中が騒然となった。長野県に住むM子さんもテレビにクギ付けだった。なぜなら彼女は中学時代からのりピーのファンだったからである。グッズをいまだに大事に持っているほどだった。

「なんかガッカリ、哀しくなっちゃうな……。昔はあんなに可愛かったのに。そうだ、久しぶりにのりピーの歌でも聴いてみよう」

M子さんは、ラックから酒井法子の『BlueWind』というアルバムを取り出して再生した。流れている曲は『恋のさなか』。まだファンに夢を与えていたころの清純な彼女のイメージを思い出しながら、甘い歌声に聞き惚れていた。だが、楽曲が終わろうとしたその瞬間

「ドン!!」

という車の衝突音らしき音がスピーカーから聞こえたのだ。そして、そのあとに

「痛い……」

という声がした。かすかな音だったがM子さんの耳には確かに聴こえたのだという。

こうした「心霊音楽」の噂はほかにもある。有名なところで、宇多田ヒカルの『Addicted To You』がある。これは曲の途中で「歌えない」という無気味な声が聴こえるという。

「心霊音楽」の噂がある曲たち

また、オフコースの名曲『一億の夜を越えて』は、イントロ部分で女性のすすり泣く声が聴こえるという。すべてあげるとキリがないので、ここで「心霊音楽」の一部を列挙してみよう。

・岩崎ひろみ『万華鏡』:エンディングで女性の笑い声が聴こえる。
・中嶋みゆき『涙』:サビの途中で「あんな良い人いやしないもの」の「しない」に重なるように「死ね」という声がする。
・オフコース『言葉にできない』:曲の最後にお経を読むような声がする。
・B'z『RISKY』:小さな叫び声が聴こえ、再生するたびに声が大きくなり、最後には「キャアアアアアアーッ!!」という叫び声になる。
・レベッカ『MOON』:間奏の部分に「先輩」という声がする。
・中島美嘉『LIFE』:曲の途中に「お母さん」という声が入る。

ほかにも、これを「心霊音楽」といっていいのかはわからないが、南こうせつを中心に結成されたフォークグループ、かぐや姫の解散コンサートの事件も超有名だ。当時、絶大な人気を誇った彼らの解散コンサートを録音したテープを再生すると、トークしているある部分に「私にも聞かせて」という女性の声が入っていたのだ。また、そのテープを逆再生すると「私も行きたかった」と聞こえるという。

実は、南こうせつ本人によれば、難病にかかったファンの女の子から「コンサートに行く前に自分は死んでいるだろう」という内容のハガキが届いたという。南こうせつは涙ながらに励ましたそうだが、後日、その子の友人から亡くなったとうハガキが届いたという。

その話が相まってテープの主=亡くなったファンの女の子、といわれるようになった。しかし、その後フジテレビ系の『奇跡体験アンビリーバボー』にてその女の子の話はウソで、声はラジオのハガキをモチーフとしたイタズラだった、ということが明らかになっている。

だが、まだデジタルがそんなに発達していない時代にそんなことができるだろうか? 筆者には何かを隠しているような気がしてならない。

わざと怪音を入れている? なかには“意図的でないもの”も……

話を戻そう。そもそも「心霊音楽」とはなぜ生まれてしまうのだろうか? 今の時代であれば、技術的にも進歩しているし、意図的に入れるのは簡単なことだろう。筆者は「わざとそういう怪音を入れている」という話を、音楽業界に携わる人間から聞いたこともある。ただ、しばしば“意図的でないもの”があるという。

どの業界でも言えることだが、こうした世界には人間の欲や恨みつらみが渦巻いている。それだけにレコーディングスタジオやライブハウスでの幽霊の目撃が多いのも事実である。

また、海外のスタジオではなおさら治安が悪く、殺人事件が起こったり、ミュージシャンがドラッグの過剰摂取で死亡するケースなどが後を絶たない。海外でレコーディングする日本人アーティストが多いことを考えると、スタジオやライブハウスで起きた“霊障”だという可能性も考えられるのだ。もしそうだとしたら、聴く人に障りがある可能性もある。

筆者は「聴くな」とは言わない。ただ、面白半分で「心霊音楽」を聴くのだけは絶対にやめてほしい。それ相応の覚悟をもって聴くのだ。

【著者紹介】

長田遊馬
東京都出身。超常現象研究家の新星。幼少のころからUFOや超常現象に造詣が深く、オカルト界の重鎮・並木伸一郎を師と仰いでいる。専門誌「月刊ムー」でもUFO、UMA、超常現象に関する記事を執筆している。好きな音楽はヘヴィメタル。超常現象を研究するかたわら、『地獄のメカニカルトレーニングフレーズ』(リットーミュージック刊)を片手に、日夜スウィープ奏法を練習中。

耳マン編集部