音楽の都市伝説:名だたる楽聖から“死後の新曲”を託された女性

連載・コラム

[2017/10/3 17:00]

『月刊ムー』でも執筆するライター長田遊馬氏が音楽にまつわる都市伝説に迫る!


約半年ぶりに原稿を書かせていただくことになった。訳あって更新できず、関係各所ならびに読者の皆様に深くお詫び申し上げる。

音楽家たちの“死後の新曲”を作り上げていった女性

さて、久方ぶりの音楽の都市伝説。今回は名だたる音楽家から託宣を受け、名曲を作った女性霊媒師についてのお話をしよう。

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その前に、「霊媒」とは何かということだが、平たく説明すると、超自然的な存在とされる霊(人間霊、動物霊、死霊など)と人間を、直接的に媒介することである。それを可能にできる人物を「霊媒師」というのだが、日本でいえば「イタコ」が“それ”に近い。彼女たちは死者を霊界から現世に降ろし、自身に憑依させることができる。それを“口寄せ”という。が、厳密に言えば彼女たちは“巫女”なので、霊媒師とは似ているようで実は異なる。具体的な違いは別の機会にしよう。

さて、話を戻そう。その名は「ローズマリー・ブラウン」。1916年、イギリスはロンドンで生を受けた彼女は、幼少期の頃、ほんの少しピアノを習っただけで、その後は音楽と無縁のままだった。しかし、彼女が36歳のころ、夫と死別したのちに大きな転機が訪れたのである。

仕事から帰って、自宅にあるオンボロになったピアノの前に座り、たどたどしく鍵盤を叩きはじめた。すると突然、自分の意思に反して指が滑らかに動き始めたのだ。さらに、足元のペダルを駆使しながら、見事な演奏を“披露”してみせたのだ。

このとき、ローズマリーはある老人の顔を思い浮かべていたという。その老人は、彼女が幼い頃に見た白昼夢に現れた白髪の男性で、老人は「大人になったら、ピアノを教えてあげよう」と約束し、去って行ったという。後日、ローズマリーがたまたま目にした肖像画に、ピアノを弾いていたときに思い浮かべていた老人が描かれていたのだ。

その人物とは、19世紀の楽聖フランツ・リストだったのである。

リストは1886年に生涯を終えている。つまり、彼女が白昼夢で見たのはリストの霊だったのだ。それからしばらくして、ローズマリーはリストの導きにより、ピアノの演奏法をマスターした。ついには、フランツ・リストの“死後の新曲”を託されるまでに至る。1969年、イギリスのBBCがローズマリーを取材し、新曲を作曲している様子を調査している。

このとき彼女はリストが降りてくるまで待ち続けた。しばらくすると、リストに口述されたという譜面を書き、曲を作り上げていった。しかし、当時のローズマリーには完成した曲の譜面があまりにも難しかったため、このときは別のピアニストが弾いている。また、この楽曲は、リストの研究者によって検証され、生前に作曲したリストの楽曲との類似点が発見されている。

なお、ローズマリーの音楽性をテストしたファースト夫妻という音楽教育家によれば、霊=フランツ・リストが降りてきていない状態の彼女は、ごく簡単な聴音テストもできなかったそうだ。しかし、リストが降りている状態の彼女は、19世紀のテンポ・ルバートを取るなど、フランツ・リストの指導を受けた証拠ともいえる行動をみせたという。

ローズマリーはその後も音楽活動を続け、フランツ・リストだけでなく、ベートーベンやバッハなど歴史に名を連ねる楽聖から託宣を受け、“死後の新曲”を作り上げていったのである。

改めて言うが、ローズマリーは20世紀に実際に存在した霊媒音楽家である。たまに、数多のジャンルのプロが口にする

「降りてきた」

これは音楽の世界でもよく耳にする言葉である。もしかすると、第一線で活躍している方々は、自身の知らないところで、そして気づかないうちに“何か”によって託宣を受けているのかもしれない。さまざまな名曲には、誕生秘話が存在する。だが、中には超常的な存在にもたらされた名曲もあると思いたい。

【著者紹介】

長田遊馬
東京都出身。超常現象研究家の新星。幼少のころからUFOや超常現象に造詣が深く、オカルト界の重鎮・並木伸一郎を師と仰いでいる。専門誌「月刊ムー」でもUFO、UMA、超常現象に関する記事を執筆している。好きな音楽はヘヴィメタル。超常現象を研究するかたわら、『地獄のメカニカルトレーニングフレーズ』(リットーミュージック刊)を片手に、日夜スウィープ奏法を練習中。

[長田遊馬]