「イクメンとは何だ」タケムラ アキラ(SNAIL RAMP)の『炎上くらいしてみたい』

連載・コラム

[2017/5/13 17:00]

1990年代後半から2000年代のバンドシーンを牽引したSNAIL RAMPのフロントマン・タケムラ アキラが書きたいことを超ダラダラ綴っていく新連載! この人……ホントにキックボクシングの元日本チャンピオン!?


前回はSNSの「#(ハッシュタグ)」について書いた。「#ちょっとでもいいなと思ったらRT」の悲劇だ。なお、あれは完全に実話なので、もしかしたら本人もあのコラムを読んだかもしれない。彼女を傷つけようとしてあれを書いたわけではないが、本人が読んでおもしろいものでもないのは俺もよくわかっている。しかし、彼女には今後同じような過ちを繰り返してほしくはない、大人の女性として節度あるSNSユーザーになってもらいたい、コラム締め切りが迫っていたがあのネタ以外思いつかなかった、そんな一心で書いたのだ。

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とは言え、最初はあのネタを書こうと思ったわけはない。本当は別のハッシュタグについて書こうと思っていたが、あれに触れたら止まらなくなってしまったというのが本音だ。本当に書きたかったのはコチラ。

「#イクメン」

このイクメンという言葉自体、数年前から盛んに使われてすっかり定着した感のある言葉。これをハッシュタグに使いSNSに投稿しているのをちょいちょい目にする。もちろん全部が全部に違和感を感じるものではない。

例えばどこかの奥さんが「今日は旦那が息子のハルトを遊びに連れて行ってくれた!ハルトも楽しそう!」というツイートをし、父子で遊ぶ光景の画像も併せて投稿。そのハッシュタグが「#イクメン」。これはいい。なんの問題もない。むしろ「いいね」を押したくなる。

一方、その「旦那」である誰かがが「普段育児にかかりっきりの嫁の代わりに、ハルトと公園に来てます。いつの間にかブランコにも乗れるようになってた!子供の成長は早い」と投稿。

そのハッシュタグが「#イクメン」。

はぁ??お前はイクメンでもなんでもねえから!

もうね、この男にとって家事育児は実は他人事なんですよ。「俺は仕事やってっから」を万能の免罪符にして、家事育児の大部分を自分の奥さんに任せてる。任せてるってのは聞こえがいい。完全に押し付けてるんですよ、自分がやるのは面倒だから。

そんなことはおくびにも出さないが、子供の面倒を母親が見るのは当たり前だと根底の部分では思ってる。だから自分が子供を公園に連れ出したくらいで「俺、イクメンだー。いい父親だー。」となるわけですね。で「いつの間にかブランコにも乗れるようになってた!」って、あなた何ヶ月、子供と公園行ってないんですか? 「子供の成長は早い」ってお前は親戚のおじちゃんか。その目の前の子供はお前の大事な子供だろうが。

そして「普段育児にかかりっきりの嫁の代わりに」からにじみ出る「嫁を休ませてあげてる俺、優しい。みんな!俺っていい夫だよね!」感。これはもう寒さの極致ですよ。

いや、もちろんね、色んな夫婦がいますから、そういうことでバランスが取れていれば、何の問題もございません。にしても自分でイクメンを名乗るなと。要はですね「イクメン」というのは他者からのいわば評価。その人の行動、意識が伴っている状態で初めて「あの人はイクメンだね」と他者から言われるわけです。

女性が自撮りをアップして「#美人」とハッシュタグを付けてたら、実際に美人だとしても「なんだコイツ」となりますわな。そういうことなんです。

「タケムラ 、今回はいつもにも増して怒ってんなー」そう思った読者の方もいるでしょう。

これね、自分のことなんですよ。

たださすがに自分のTwitterで「#イクメン」をつける根性はなかったし、そもそもイクメンと名乗れるほど育児をやれてない、ゆえに自戒をこめてこのコラムを書きました。

コラム内で自分を罵っているんです。反省するために。仕事をしながら家事育児の大部分もこなしている俺のかみさんよ、いつも本当にありがとう。

【著者紹介】

タケムラアキラ(竹村哲)●1995年にスカパンクバンドSNAIL RAMPを結成。2000年にリリースしたアルバム『FRESH BRASH OLD MAN』でオリコン1位を獲得するなど、一時代を築く。バンド活動と並行し、2001年からキックボクシングを始め、2014年10月に43歳の年齢でNKBウェルター級チャンピオンに輝く。2015年12月12日には後楽園ホールにて引退試合を行なった。SNAIL RAMPは現在、“ほぼ活動休止”中。

[タケムラ アキラ]