「プリカ詐欺師と喋ってみよう・2」タケムラ アキラ(SNAIL RAMP)の『炎上くらいしてみたい』
1990年代後半から2000年代のバンドシーンを牽引したSNAIL RAMPのフロントマン・タケムラ アキラが書きたいことを超ダラダラ綴っていく新連載! この人……ホントにキックボクシングの元日本チャンピオン!?
(前回からの続き)ある日、プリカ詐欺師から素敵なメッセージが届いたので交流を始めた俺。初回のメッセージのやり取りがこれです。
「木馬(三角)」などのジャブを放ってはみたのだが、さすがは詐欺師。微動だにしない。ここで買ってこいと言わんばかりに具体的なコンビニ名をあげ、詐欺のネタとなるプリカの画像まで貼ってきました。
そしてついに、詐欺師は俺に指示を出します。
3万円のを2枚だ? 6万円じゃねーか! 誰がお前にすき好んで6万円もくれてやらなくてはいけないのだ。ふざけんな! 俺は詐欺師に交換条件を出しました。
「ヨリを戻してくれ」
俺ははっきり伝えました。この乗っ取られたアカウントの主は女性でした(そういう関係ではないけれど)。なのでそういう設定にしてみたのです(そういう関係じゃないんですけどね)。画像を見ていただければわかるとは思いますが、思いっきり未練がましく伝えました(ホントにそういう関係じゃないんだからな!)。
ヨリを戻して欲しいがあまりに6万円を差し出す男、実際にいたら何とも物悲しい話です。
そして続けます。
自分で書いておきながらキモい。マジでゾッとします。「何で今さら連絡してきたの……?」でわかるとおり、この男(タケムラ)はフラれたのだ。
そこで6万円と引き換えに復縁を迫り、突然「俺、たかぶってきちゃった」アピールまでしだす。しかも言うに事欠いて「身体が熱い」とか、どんな昭和中期の表現だよ。高度経済成長してんじゃねーよ、いざなぎ景気か。
しかし、フラれた彼女からの連絡に舞い上がる俺をよそにプリカ詐欺師は冷静でした。
俺の猛アピールもどこ吹く風、冷静に6万円を搾取しようとメッセージを送ってきました。このメッセージを読んだとき、恥ずかしげもなく告白すれば俺はイラッとしました。
「俺はこんなに熱烈アピールをしているのに、お前の無関心さと言ったら!」
でも同時に怖くもなりました。「こんなに俺が○○なのに、お前は○○だ」のように、自分の希望どおりにならないことに腹を立て、その原因を他者に求める。この心理ってストーカー系の犯罪者や、世間に失望し大量殺人を引き起こす犯罪者そのものですよね?
まさか自分にその一端があったとは……。
期せずして己の負の側面を垣間見てしまった俺でしたが、気を取り直し食い下がります。
自分で書いてて「ヤバいな、こいつら」と思いましたね。お揃いの刺青を入れるカップル……。いや、多分実際にそういうカップルはいるのであろうし、そのカップルのキャラクターによっては「それいいねぇ!」となるのかもしれない。が、俺的には絶対ない。
そして兎にも角にもヨリを戻したくて仕方のない俺。「6万円でヨリが戻せるなら」と必死ですが、リアルにこんな人がいたら「6万円で戻せるヨリはない、絶対にない。寝ぼけてんなら目を覚ませ」と面前で断言してあげたいですね。
さて、プリカ詐欺師との交流はまだ続きます。
【著者紹介】
タケムラアキラ(竹村哲)●1995年にスカパンクバンドSNAIL RAMPを結成。2000年にリリースしたアルバム『FRESH BRASH OLD MAN』でオリコン1位を獲得するなど、一時代を築く。バンド活動と並行し、2001年からキックボクシングを始め、2014年10月に43歳の年齢でNKBウェルター級チャンピオンに輝く。2015年12月12日には後楽園ホールにて引退試合を行なった。SNAIL RAMPは現在、“ほぼ活動休止”中。