「自業自得の巻」タケムラ アキラ(SNAIL RAMP)の『炎上くらいしてみたい』
1990年代後半から2000年代のバンドシーンを牽引したSNAIL RAMPのフロントマン・タケムラ アキラが書きたいことを超ダラダラ綴っていく新連載! この人……ホントにキックボクシングの元日本チャンピオン!?
前回書いた俺のコラム「炎上くらいしてみたい」の内容を覚えている人はいるだろうか?
「う……えーと何だっけな、えーっと」となる人がほぼ100%だと思うが、俺は気にしない。俺も忘れているし、何なら今回のコラム締め切りも忘れていたからだ。
ただ、この『耳マン』。コラムに対しては明確な締め切りは存在しないらしい。そもそもこのコラムを依頼してくれたときも「ちーっす! あ、いちおー毎月2回更新なんで。締め切りはエブリマンス15日と末日すかね」「でもその辺は大体っすから、大体」と極めてファジーなファンタジーを俺にみせ、「それならズボラな俺にも書けるかな」と思わせておいたクセに、締め切りをちょっとでも過ぎると、「タケムラせんせい、げんこーは? げんこーはまだ?」と、ほぼ平仮名で書かれたメールを送りつけ、俺を追い詰めてきます。
俺ごときに送るメールでは、漢字に変換する手間も惜しいようです。しかも「せんせい」と呼ぶのはこのときだけ。そう、完全にイヤミ、心底恐ろしい担当者です。
こんなことを書いていると読者の貴兄は、頭のなかでこの担当者のルックスを知らず知らずのうちに想像し、思い浮かべていると思う。しかしその実態に近い想像ができている人は少ない気がする。
「一体どんなルックスをしているんだ!?」
そんな声が消費者センターを通じて聞こえてきます。教えて差し上げましょうか? 教えて差し上げないでいましょうか?
「ざけんな!さっさと教えろタケムラ! 推しエロ竹村!」
そんな声すらイオンカスタマーセンターを通じて聞こえてきます。
ではヒントを出していこうかな。
ヒント①「30代」
そう、仕事も遊びも精力的にバリバリこなす30代男性です。
ヒント②「メガネ」
そう、近い場所だけでなく遠いものも見えるよう綿密にセッティングされた「メガネ」という未来のギアを装着しています。
俺さ、今気づいたんだがこれヒントじゃなくて、答えじゃん。だって「メガネをかけた30代男性」だもん。答えだわ、答え。
ヒント③「首まで入れ墨」
怖い! ガラが悪い! なんでリットーミュージックに入社できたの? 賃貸物件とか、なかなか貸してもらえなさそう! でも大丈夫! 首に入れ墨入ってないから!
そう、これはヒントじゃないから! フツーに嘘だから!
じゃあそろそろ答えを言おうか?
答え「ちょっとしたイケメンの30代メガネ男子」
ビビるっしょ、マジ。しかも元バンドマンらしい。いや、俺がバンドやろっかなーとか思ってたら、誘いたくなるルックスですよ。
そんな担当さんにプレッシャーかけられながら書いてるのが、このコラム『炎上くらいしてみたい』。で、あれだ。前回書いたコラム覚えてる?って話しだよ。オリンピックの知識もない俺に、オリンピック番組での解説という恐ろしいオファーが来た話。さすがに知識ないのに解説はヤバいわ、という人並みの思考を持ち合わせていた俺、なのに「いいですよ」と答えてしまって安請け合いという言葉を見事なまでに体現したのであった。
あれから数日。オリンピックの競技日程もどんどん進む中、先方からの連絡はない。「これじゃ閉会式の解説になっちゃうじゃん!」と焦った俺はこちらから連絡をしてみた。
すると「えーと今回は解説なし、実況だけでいいかとなりまして」とのお答え。
え!何だよそれ! お前いい加減すぎんだろ! せめてそれを連絡しろや!と憤りましたが、何の知識もないのに受けた俺も俺ですからね。
というかそもそも、あのコラムを読んだ可能性も充分ありますから。そりゃ「タケムラは無しだな」となりますわな。
で、また俺はこういうこと書いてるでしょ?
もう2度と話は来ないだろーね。うふふー。
【著者紹介】
タケムラアキラ(竹村哲)●1995年にスカパンクバンドSNAIL RAMPを結成。2000年にリリースしたアルバム『FRESH BRASH OLD MAN』でオリコン1位を獲得するなど、一時代を築く。バンド活動と並行し、2001年からキックボクシングを始め、2014年10月に43歳の年齢でNKBウェルター級チャンピオンに輝く。2015年12月12日には後楽園ホールにて引退試合を行なった。SNAIL RAMPは現在、“ほぼ活動休止”中。