「バンドマンのイジメ事情」タケムラ アキラ(SNAIL RAMP)の『炎上くらいしてみたい』
1990年代後半から2000年代のバンドシーンを牽引したSNAIL RAMPのフロントマン・タケムラ アキラが書きたいことを超ダラダラ綴っていく新連載! この人……ホントにキックボクシングの元日本チャンピオン!?
今回の『炎上くらいしてみたい』、これはまだプライベートでもほとんど話したことがない、そんな話。
「イジメ」とは言っても学校で起きるようなそれとは違う、どっちかっていうと会社で起きるパワハラに近いニュアンスだろうか。このことをなぜ今まで誰にも言わず過ごしてきたのかは、自分でもわからない。そんなことが起こり得る真っ只中にいたがゆえに「普通のこと」として受け流そうとしていたのか、はたまたそれを話したことが当人に伝わり、軋轢が生まれることを懸念したのか。
どっちにしても俺、ダセぇ。
そして今さらながら、そんなことを書く理由。別にイジメまがいのことをしていた当人をどうこうしたいわけじゃない。あれから随分と時間が経ち、さすがに今ではそんなこともやっていないだろう。そもそもバンドすらやっていないかも知れない。
ただただ、これから世に出てくるであろうバンドマンたちにはそういうことをしないでもらいたいし、ショッキングなことを書いてPVを稼ぎたいだけだ。こんな風にでも多少フザけて書かないと、ドス黒い文章になりそうな気がする。
気に喰わないバンドがいるのは仕方がないんだ。人間なんてそんなモン。だったら関わらなきゃいいのだ。わざわざ攻撃したりする必要なんてない。
ちなみにタイトルにはわかりやすく「イジメ」と表現はしたが、要は「大人気ない仕打ち」だ。でもそれはいまだに俺の記憶に澱(おり)として残っている。
もし「え……もしかして私の好きなあのバンドが……?」と心配になる人は、もう読まないほうがいい。今から挙げる実例はすべて、人気のあるバンドのメンバーがやったことだから。
うーん、少しでも明るくいけるようカウントダウン方式でいこっか。しかも明るい表現での順位紹介な!
じゃあえーと、魅惑の第3位!
「もう誘わないから」
ある人気バンドのオープニングアクトに誘われた若手バンド。人気バンドのメンバーが直接オファーの電話をくれてたし、当然ながら出演したかった。だが同日に先にほかのライブがブッキングされていたため、事情を話しお断りを入れたところ、
「うん、わかった。じゃあ二度と誘わないね」
と人気バンドのメンバーから言われ、若手愕然。実際に誘われることはなかったという。先日もその若手バンドのメンバーに会ったが、
「俺、アイツだけは絶対ぇ嫌いです」
といまだに憤慨していた。
続いていくよ? ウキウキの第2位!
「誘っちゃいけないバンド」
打ち上げの場、その宴の主役であるバンドのボーカルが年長者であることもあり、その場にいる後輩バンドの面々にバンド界の心得を説いていた。彼のバンドはもちろん人気があるが、シーンでは第2グループのトップといった位置。何とかして第1グループの仲間入りを果たしたい、そんな気持ちもあったのだろう。
年長者「このシーンではさ、やっちゃいけないことがあるわけ」
後輩達「ふむふむ」
年長者「◯◯◯と◯◯◯と一緒にライブしてちゃダメ。一緒に嫌われるぞ」
後輩達「そーなんすね! わかりました!」
ちなみにこの◯◯◯たちは年長者さんのバンドと同ランク、もしくはちょっと上だったりするパワーバランス。バンドマン間の世論操作はこうやって行うのかとえらくビックリしたし、この年長者とはそこそこ仲も良かったので、こんなことを言い出す彼にドン引きしました。しかしその後もしっかりと腹黒くバンド界を渡っているので、さすがだなぁと感心しています。
そして誰もが微笑みをたたえてしまう、可愛い動物動画なみの第1位!
「ライブでDisった挙句」
いや、これはもう陰湿さを超えた大人気のなさ、彼の幼稚さを思う存分、遺憾なく発揮した事例だ。彼らのバンドは間違いなくシーンのトップグループに君臨する立ち位置。フェスでも引っ張りだこだったんじゃないですかね、多分。
そんな上の立場から、下の某バンドのことをライブでDisり、挙句その某バンドのCDをフリスビーのように投げると言う事案が発生。そのライブに行っていた友人からその件を聞いたときは「さすがにウソだろ?」と思いましたが、憤慨しながら話す友人の説得力はハンパなかったです。
でもどうなんですかね、真実は。いまだに「そんなことってあるのか?」と思いますから。
でもやりかねないっちゃあ、やりかねない。そのライブに居合わせた人、いたらTwitterアカウント@TAKEMURAAKIRAにメッセージをください。で、その後にDMで詳しく教えておくんなまし。
【著者紹介】
タケムラアキラ(竹村哲)●1995年にスカパンクバンドSNAIL RAMPを結成。2000年にリリースしたアルバム『FRESH BRASH OLD MAN』でオリコン1位を獲得するなど、一時代を築く。バンド活動と並行し、2001年からキックボクシングを始め、2014年10月に43歳の年齢でNKBウェルター級チャンピオンに輝く。2015年12月12日には後楽園ホールにて引退試合を行なった。SNAIL RAMPは現在、“ほぼ活動休止”中。