「SNAIL RAMPの作り方:その2」タケムラ アキラ(SNAIL RAMP)の『炎上くらいしてみたい』

連載・コラム

[2018/5/1 11:30]

1990年代後半から2000年代のバンドシーンを牽引したSNAIL RAMPのフロントマン・タケムラ アキラが書きたいことを超ダラダラ綴っていく新連載! この人……ホントにキックボクシングの元日本チャンピオン!?


1994年の終盤、23歳の俺は途方に暮れていた。それまでにもふたつのバンドをやりライブハウスやクラブイベントでのライブを重ねるも、半年ほどでバンドは瓦解。バンドマンとしてさしたる実績もなくプラプラとしていた。

ひとつ目のバンドはトリオで、俺はベース&ボーカルだった。このバンドは笑っちゃうくらいレベルの低いバンドだったが、「コピーじゃないバンドをやりたい」「きちんとしたライブハウスに、店ブッキングで出る」という経験ができた点においては、重要だった。そしてこのときのドラム・望は、のちにKEMURIのローディーとしてスタッフワークをする男だ。

ふたつ目のバンドは売れる気マンマンで組んだ。ドラムは先述の望に、ギターはひとつ年上、ラフィンノーズのローディーをやっていたこともある経験豊富なギタリスト。彼は元ローディーだけあって機材に詳しかったし、アレンジ能力もあった。

日本でも2000年代のパンクシーンになると曲の展開に起承転結があるバンドが随分と増えてくるのだが、1990年代初頭から中盤にかけてそういった展開の曲を持つパンクバンドは稀。そんななか、俺の持っているアレンジイメージに+αのアイデアを出してくれる彼の存在は貴重だった。

SNAIL RAMPを始めてからも「曲展開の変化」について訊かれることが度々あったが、変化をつけなくてはならないという意思やアレンジテクニックではなく、もともとにあった曲のイメージに基づいて作っただけであったことも多い。

これは曲を作る誰にしも共通すると思うのだが、自然に湧き出てくる音楽は自分がこれまでに繰り返し聴いてきたもの。子どもの頃に見ていたアニメの主題歌、童謡、母親の歌、歌謡曲、ミュージカル映画のサントラ、自分が好きなバンド、などなど。

プレイヤーとして考えれば、俺はまず4才頃からピアノを7年~8年、小中学校ではブラスバンドを6年間やった。これが自分の書く曲に影響しているとは微塵にも思わなかったが、あるとき「竹ちゃんの曲って大げさだよね。なんかクラッシック的な?そんないいモンじゃないけどw」と言われ、そこで気づいた。「あぁ、子どもの頃に染みついたんだな」と。

そもそもピアノにしてもブラスバンドにしても、好きな曲を演奏しているとき、俺のテンションはバンドのそれとほぼ変わらなかった。飛んで跳ねて大声を出し、許されるなら持っている楽器を叩きつけたくなる、そういう興奮状態。

しかし子どもだった俺は、それを秘めながら大人しく椅子に座ってピアノを弾き、学校ではチューバを吹いていた。当時、自分の感情を自由に表現してもいいブラスバンドがあったなら、迷わずそこに入ったのではないかと思う。

話しがそれた。今はふたつ目のバンドの話しだ。ただ、これを読んでくれているみなさんのなかには「なんでSNAIL RAMPじゃないバンドの話しをしてんだよ!」と、思っている人もいるだろう。しかし、このバンドがあったからSNAIL RAMPがあった。もうしばらく我慢してほしい。

このバンドのボーカルは、俺が自信を持って選んだ「洋二郎」という男だった。もともと友達でもなんでもなく、俺が行くパンク系のライブに洋二郎も客として来ていた。とにかくよく目立つ。本木雅弘のストリート版といっては言いすぎだろうか。

その端正なルックスはどこのライブに行っても目を惹き、実際に女の子たちも「あのカッコいい人、誰?」と噂にするような男だった。そしてある日、突然にライブハウスで洋二郎に話しかけた。

「バンドはやってんの?」

それから程なくして俺たちはバンドを組んだ。

「上手くいくんじゃないかな」

そう思ったのはあながち間違いでもなく、当初から自分たちよりもはるかに格上のパンクバンドと対バンしたり、下北沢GARAGEというライブハウスのオープニングイベントに呼ばれたりと、順調な滑り出しだった。

そう、半年後に落胆を覚えるまでは。

【著者紹介】

タケムラアキラ(竹村哲)●1995年にスカパンクバンドSNAIL RAMPを結成。2000年にリリースしたアルバム『FRESH BRASH OLD MAN』でオリコン1位を獲得するなど、一時代を築く。バンド活動と並行し、2001年からキックボクシングを始め、2014年10月に43歳の年齢でNKBウェルター級チャンピオンに輝く。2015年12月12日には後楽園ホールにて引退試合を行なった。SNAIL RAMPは現在、“ほぼ活動休止”中。

[タケムラ アキラ]