「デリヘル大好き〜SNAIL RAMPの作り方・28」タケムラ アキラ『炎上くらいしてみたい』
「コンコンコン」
俺にはこれから起きるトラブルに頭を抱えたくなる音だったが、あいつらは「キターーー!」みたいな顔をしていた。俺がドアを開け、女の子を部屋に通した。派遣された部屋にアメリカ人4人と日本人の俺、計5人の男がいることに明らかにギョッとしてる女の子。「マズいな」と思ったが「彼らは日本に来たバンドマンで、悪い奴らじゃない。それは俺が保証する。ただ……もし困ったことがあったらすぐに俺を呼んで」と同階にある俺の部屋番号を教えた。
「うん……わかった」と20歳くらいの女の子は答えたので、俺は自分の部屋に戻った。「まぁ、交代制でも女の子が納得するなら、それでいいのか」と思いながら、ベッドでゴロゴロ、ソワソワすること数分。思ったより早くドアがノックされ、案の定さっきの女の子が立っていた。
「あの……なんか4人でするとか言ってるみたいなんだけど、私ムリです」
「だよねぇ、全然大丈夫。あとは俺が説明しておくので、部屋には戻らないで帰っちゃって大丈夫だよ」
俺はそう言って「ごめんね、これタクシー代」と多少のお札を渡した。そしてアイツらの部屋に行き、「トントントン」とドアをノックすると、満面の笑みを浮かべたザックがドアを開けた。女の子が戻ってきたと完全に勘違いしてドアを開けたのだ。
「アキラ、彼女は!?」
「帰ったよ」
俺がそう言うと誰かが「Oh〜,fuck!」と毒づいたが、あれほど実感のこもった本場の「Fuck」を聞いたのは、後にも先にもこれっきりだ。「交代とか絶対ダメに決まってんじゃん! アメリカではそういうシステムがあるの?」と聞くと「ない!」とまた胸を張ってザックが言った。「はぁ? アメリカ人、キ○ガイかよ!」と俺が呆れて言うと、みんなゲラゲラ笑ってた。
FALLING SICKNESSはイカれた奴らだったけど、彼らとのツアーは男子校のノリがあり、それはそれで楽しかった思い出だ。みんな元気で生きてりゃいいんだけど。