「レーベル立ち上げの意外なハードル〜SNAIL RAMPの作り方・29」タケムラ アキラ『炎上くらいしてみたい』

連載・コラム

[2019/11/11 12:00]

1990年代後半から2000年代のバンドシーンを牽引したSNAIL RAMPのフロントマンであり、キックボクシングで日本チャンピオンにまで上り詰めたタケムラ アキラが書きたいことを超ダラダラ綴っていく新連載!


FALLING SICKNESSの日本ツアーに帯同した1997年春、あとは何をしてたのかなぁと思い返すと俺が立ち上げたレーベル、SCHOOL BUS RECORDSからSNAIL RAMPのファーストシングル『FLAT FISH CONES!』を第1弾として確か9月にリリース。

前年1996年12月、phalanxからファーストアルバム『A PIZZA ALREADY』をリリースしていたがシングルは出していなかったため、自主レーベルからはまずシングルを出してみた。ただ以前にも書いたかもしれないが、俺にはレーベル運営の経験が皆無、CDをリリースする流れもわからないし、そもそもどこでCDをプレスしてくれるのかも知らなかった。

当時はネットが今のように普及していないので、わからないことは人に聞くしかない。そこでレーベルをやっている人たちに聞いてみるのだが、びっくりするくらい言葉を濁し、教えてもらえなかった。先方としてみれば、ライバルが増えるのを嫌ったのかもしれないし、多少知っているくらいの歳下の知人が「レーベルを始めたいからいろいろ教えてくれ」と言ったところで「こうすればいいんだよ」と教えてくれるほど甘い世界ではなかった。

この頃の俺は今よりもさらに性格が悪かったので、抱いた感想はただひとつ。

「こいつら器が小せぇなぁ」

そんななか、質問したことに唯一キチンと答えてくれるレーベルの先輩がいた。(次ページへ)