「スタジオグリーンバード終了で思い出す、最高のアシスタント〜SNAIL RAMPの作り方・32」タケムラ アキラ『炎上くらいしてみたい』
1990年代後半から2000年代のバンドシーンを牽引したSNAIL RAMPのフロントマンであり、キックボクシングで日本チャンピオンにまで上り詰めたタケムラ アキラが書きたいことを超ダラダラ綴っていく新連載!
先日、いつものようにTwitterをいじっていると、このツイートが飛び込んできた。
このたび、スタジオグリーンバードは諸般の事情により2020年3月31日を持ちまして営業を終了する事に致しました。長年にわたりご愛顧いただきました皆さまには心より感謝を申し上げます。残り3ヶ月となりますが、機会がございましたら是非ご利用いただけますと幸いです。
— Studio GREENBIRD (@StudioGreenbird)January 6, 2020
え!! グリーンバードなくなっちゃうの?
結構な衝撃だった。ここは新宿御苑にあるレコーディングスタジオで、SNAIL RAMPの5枚目のアルバム『TV MONSTAR』をレコーディングしたスタジオだ。
ここから音楽ファン以外には退屈な数行になるのだが、当時、「NEVEの卓を使いアナログで録る。現実的な予算でな!」となると、このスタジオグリーンバード1択と言っていいほどだった。太く圧があるのにソリッド、それを録れるシステムのなかで名エンジニア・山口州治さんに録ってもらったらどんな音に仕上がるのか? これを試してみたかったのが、このレコーディングでのセッションだった。
山口州治さんはザ・ブルーハーツやミッシェル・ガン・エレファント、ザ・イエロー・モンキー、エレファントカシマシなど錚々たるメンツのレコーディングを手掛けてきた方で、イエモンのロビンさんに「デビューしてから出会った1人目の天才」と言わしめた人だ。
ちなみにこのアルバム『TV MONSTAR』では、それまでもタッグを組んできたエンジニア・古川さんにも当然のように録ってもらっている。その腕はもちろんだが、古川さんとは気心が知れているために作業のしやすさがハンパない。こちらの酔っ払いの戯言のような抽象的なリクエストにも、「こう? それともこう?」ときちんと応えてくれるし、フザけながらレコーディングもできるので本当にありがたかった。
話しをグリーンバードでのレコーディングに戻そう。
レコーディング初日、スタッフとともにグリーンバードに到着。機材をおろす前に、まずスタジオに挨拶に行った。スタジオスタッフをはじめ、もしかしたら山口州治さんもすでに着いているかもしれない。(次ページへ)