「スネイルで聞きたい話ってある?②~SNAIL RAMPの作り方・57」~タケムラ アキラ『炎上くらいしてみたい』

連載・コラム

[2021/11/22 12:30]

1990年代後半から2000年代のバンドシーンを牽引したSNAIL RAMPのフロントマンであり、キックボクシングで日本チャンピオンにまで上り詰めたタケムラ アキラが書きたいことを超ダラダラ綴っていく新連載!


前回、このコラムを読んでくれているみんなに「スネイルで聞きたい話ってある?」とリクエストを募ったところ、『耳マン』のアドレスや竹村のTwitterのDMにリクエストが届きました! 送ってくれたみんなありがとう! めっちゃ参考になったよ。

「あー、あのことね。確かにそれは書いておくべきことだわ!」と的を得たリクエストもけっこうあって、めっちゃ助かります。まだまだリクエスト募集中ですので、メールであれば info@33man.jp まで、もしくは竹村のTwitterアカウント @TAKEMURAAKIRAまでDMをお願いします。

まず今回はTwitterにDMくれた方からのリクエストに応えたいと思います。

「こんにちは。コラムを読んだのでDMしてみます『A Pizza Already』をなんで撮り直さなかっのかなぁ、って20数年ずっと思ってました。エアコンのリモコン?だかをうっかり押しちゃって「ピーッ」ていう音がうっかり入っちゃた、って話をきいてます。いやいやそんなことあんのかよ、と。あと細かい話なのですが、歌詞の文法がやたらおかしいのはわざとなのかなんなのかもついでに気になってました…コラムいつも楽しみに読ませてもらってます!」(原文ママ)

まずDM前半の「なんで録り直さなかった?」からいきますか。

これは1996年にリリースしたスネイルのファーストアルバム『A PIZZA ALREADY』に収録した同名表題曲『A PIZZA ALREADY』のことですね。楽器陣で演奏をレコーディングしたあとに、ボーカルブースと呼ばれる小部屋に入って歌を録るんだけど、完全に遮断された部屋だから空気がこもって暑くなったりもするんだよ。

当時はインディー盤でのレコーディングだからリハスタ併設のレコーディング施設で、ボーカルブースも確か2畳強の広さ。しかも歌をうたう、ってか話したり声を出すのって実は全身運動みたいなものなのですごいエネルギーを使うんだ。ゆえにブース内の室温も上昇、そこでつい「暑いなぁ」と歌録りしながらエアコン入れちゃったもんだから、そのリモコンの作動音まで「ピッ」と曲中に録音されちゃったってワケ。

これに最初気づいたのはエンジニアの及川さんで「あれ? ん?」と言いながら、その該当箇所を何回かプレイバックしていて。

当初は何かもっと別のノイズかと思ったらしいんだけど、その箇所だけボリュームを上げてみたら「リモコンのピッ!って音じゃん!」と判明。最後のサビ前かなんかで大事な箇所だし「どうする? 消す?」となったんだけど、サビに突入するドラムフィル前、リズム的ノリ的にもわりとハマッてる場所だったのでもう残しちゃおうと。しかもむしろリモコン音のボリュームを上げてリズムのひとつとして聴かせようというほぼ悪ノリで、そのまま残したのがアレです。

もしこのアルバムが手元にある人は聴いてみてください。

A PIZZA ALREADY

そしてDM後半にあった「歌詞の文法がやたらおかしいのはわざとなのかなんなのかもついでに気になってました」。これもよく言われることのひとつです。「わざとなのか?」と聞かれれば「わざとではないが、わざとでもある」だ。

まず大前提として、これまでのSNAIL RAMPで英語が話せるといったレベルのメンバーがいたことはなかった。これは一見デメリットのようだが、俺にとってはメリットだった。

ビートの効いたノレる楽曲にデタラメな英語の歌詞をのせて曲にする。こんなの無茶苦茶ファニーじゃん。笑っちゃうじゃんか。英語圏の人たちが聴いて「Oh! コイツラノエイゴ、メチャクチャダヨ!」と笑ってくれたら超いいなと思って、正しい英語にしようなんてまったく思わなかった。

一時期は「海外ライブのオファーもあるんだし、ネイティブの人にチェックしてもらって英語をキチンと直そう」と事務所やレコード会社から提案されたこともあったけど、それも断ったんだよね。なんかねぇ、普通じゃんか。正しい英語で歌うのって。

だからSNAIL RAMPをガンガンやってたときに「あいつらの英語はひどい。発音がひどい」とコキおろす人もいたと思うけど、俺にしてみると的外れな中傷なんだよね。散歩している人に「あいつは足が遅い」と言ってるようなもので。そりゃあ遅いよね、走る気なんかなくて好きで散歩してんだから。

今回はここまで。

「スネイルで聞きたい話ってある?」はまだまだ募集しています。

メールであれば info@33man.jp まで、Twitterであれば竹村のアカウント@TAKEMURAAKIRAまでDMをもらいたいと思います。

みなさまのリクエストお待ちしております。

タケムラアキラ

竹村哲●1995年にスカパンクバンドSNAIL RAMPを結成。2000年にリリースしたアルバム『FRESH BRASH OLD MAN』でオリコン1位を獲得するなど、一時代を築く。バンド活動と並行し、2001年からキックボクシングを始め、2014年10月に43歳の年齢でNKBウェルター級チャンピオンに輝く。2015年12月12日には後楽園ホールにて引退試合を行なった。SNAIL RAMPは現在、“ほぼ活動休止”中。