『推しメンが結婚しちゃった日記』第4回:切ない気持ちと、申し訳ない気持ちと、愛しい気持ち
元モーニング娘。の石川梨華に10年以上“ガチ恋”を続けているドルヲタのふちりんによる完全ノンフィクション連載。梨華ちゃんに健気に恋をする彼が、2017年3月13日に結婚した彼女への想いを、結婚が近いという報道があった2017年元旦から振り返り繊細に紡ぐ。(ガチ恋……アイドルにガチ(本気)で恋をすること)
1月19日木曜日
「切ない気持ちと、申し訳ない気持ちと、愛しい気持ち」
ハロプロOGのファンクラブ(エムラインクラブ)で梨華ちゃんのバースデーグッズを購入したところ、幸運にも『名前&直筆サイン入り』の商品に当選しました。梨華ちゃんの直筆で僕の名前とサインが書いてあるのを見ていたら一時つらいことも忘れ、えびす顔になりました。「梨華ちゃんが僕の名前を書くのはこれで3回目だから、もう覚えたんじゃないかなあ」と思いました。1回目はグッズの目覚まし時計を購入したとき、2回目は同じくグッズの壁掛け時計を購入したときです。「でも、僕の名前と顔が結びついてはなさそうだなあ。結びつけるためにもファンレターを送ろう」と思いました。
梨華ちゃん、32歳のお誕生日おめでとう!
僕は、今の梨華ちゃんが今までで1番好きです。
先日のモーニング娘。OGディナーショーで握手したとき
「冷た~い!」と言って温めてくれたことは一生
忘れません。とってもうれしかったです。
P.S 記念に梨華ちゃんの肖像画を描きました。
喜んでくれたらいいんだけど……。
という内容の手紙を書きました。
「冷た~い!」と言って僕の手を温めてくれたことは、たぶん覚えているんじゃないかなあ。「ああ、あのときの人が田中さんであり、ふちりんさんなのか」と気付いてくれればいいんだけど。
そう思いながら、便箋と肖像画をていねいに折りたたんで薄ピンク色の封筒に入れて、切手を貼りました。そして、すぐにダッフルコートを着て家を出ました。夜空を見上げながら「梨華ちゃんは今頃どうしているのだろう。彼氏と一緒に過ごしているのかな」と思って切ない気持ちになりました。彼氏がいるのにこんなラブレターみたいな手紙を受け取ったら梨華ちゃんは困ってしまうんじゃないか、とも思いました。切ない気持ちと、申し訳ない気持ちと、愛しい気持ちが混じり合い、胸がざわざわしました。ざわざわを感じながらも「梨華ちゃん大好き!」と心のなかで叫び、思い切って手紙を郵便ポストに投函しました。
自宅に戻ってきた僕は、ダッフルコートを脱いでパソコンを立ち上げ、スキャナーでスキャンしておいた梨華ちゃんの肖像画を開きました。それを見ながら、肖像画を描いていたときのことを思い出しました。
梨華ちゃんの結婚も近いとされている時期に梨華ちゃんの生写真と向き合い、肖像画を描くのはとてもつらい作業でした。手紙もこの絵も、梨華ちゃんの元に届くかどうかもわからない。届いたとしても、梨華ちゃんは一瞥しただけでテーブルの隅に追いやり、彼氏といちゃつくのかもしれない。そんな思いを抱えながら少しずつ描いていきました。絵が出来上がったときに感じたのは、去年描いた絵のほうが上手だったな、ということです。今年の絵には、心の迷いや疲弊のようなものが強く感じられました。もっと細かく手を入れたり、描き直そうかな、とも考えたけど、結局はそうしなかった。僕にはもうこれ以上、絵を描く気力がなくなっていたのです。