人妻になった梨華ちゃんの初めてのディナーショー・後編【推しメンが結婚しちゃった日記】
元モーニング娘。の石川梨華に10年以上“ガチ恋”を続けているドルヲタのふちりんによる完全ノンフィクション連載。梨華ちゃんに健気に恋をする彼が、2017年3月13日に結婚した彼女への想いを、結婚が近いという報道があった2017年元旦から振り返り繊細に紡ぐ。【ガチ恋……アイドルにガチ(本気)で恋をすること】
5月4日 木曜日(続き)
梨華ちゃんの真摯な言葉
ディナーショーの本編が終わり、アンコールのとき、ヲタのみんなでピンク色のサイリウムを光らせて、梨華ちゃんコールをしました。梨華ちゃんが再び舞台に出てくると、みんなで一斉に「結婚おめでとう!」と叫びました。僕も自然に「結婚おめでとう」と言っていることに気付きました。すると、めったに感情をあらわにすることがない梨華ちゃんの目に、どっと涙があふれました。その様子は、今まで溜め込んできた様々な感情が決壊したかのようでした。
梨華ちゃんは泣きながら語りました。「私も人生のことを考えなくちゃいけないし、でも私はアイドルだから、結婚したらファンの人はどう思うんだろうって……」的なことを。悩んでいたのは僕だけじゃない、梨華ちゃんもだったんだ!と思い、彼女と少し心が通じ合えたような気がして、心が温かくなりました。
続けて、梨華ちゃんは涙が止まらないまま「私は、結婚できて幸せだけど、こうやって皆さんの前でステージに立つことができて幸せです」と言いました。それは、梨華ちゃんの心の奥底から絞り出されたような真摯な言葉でした。それを間近で聞くことができて、とても嬉しかったです。泣きそうになりました。さらに彼女のことが好きになりました。
梨華ちゃんが結婚に関する心情を泣きながら吐露しているとき、客席から「(俺たちは)家族だから!」という叫びが起こりました。でも僕は「いや、家族ではないな……」と思いました。なぜなら僕は恋をしてしまったからです。家族じゃなくてすみません……という気持ちになりました。
梨華ちゃんとのポラロイド撮影のあと、握手のときに何を言うかは決めてあったけど、いざ本人と向き合ったらあまりにも綺麗だったため、一瞬頭の中が真っ白になりました。しかしすぐさま我に返り、「今日も楽しかったです。これからも梨華ちゃんのこと、応援しています」と告げました。あえて、「結婚おめでとう」とは言いませんでした。梨華ちゃんは僕の手を両手でしっかり握りながら、「ありがとうございます!」と言い、何かを語りたそうな目で僕を見ていました。「結婚おめでとう」がないことを不思議に思ったのかもしれません。僕は彼女より先に目をそらして、ポラロイド写真を係の者から受け取り、会場の外に出ました。
原宿駅前の明るい夜道を歩きながら、ポラロイド写真を見ました。朝にヒゲを剃ったけど、出かける前にもう1度ヒゲを剃るのを忘れてしまったことに気付きました。ダイエットも怠っていたため、青ヒゲの下膨れおじさんに写っていました。髪型も1,000円カットなのでださいです。うしろの壁に映る影が、僕の背負った何か暗いものを示唆しているかのようでした。
梨華ちゃんのディナーショーで心身ともに疲弊しきった僕は、原宿駅から大宮駅に戻ると、癒しを求めて大宮アイドール(行きつけのアイドルカフェ)に直行しました。そこではアイドルたちや常連さんたちが温かく迎えてくれて嬉しかったです。ひとりの常連さんが、ちえりんとのチェキをプレゼントしてくれました。そのあとも、閉店時間まで楽しく飲みました。
それから、行きつけの魔女っ子バーを卒業するアノちゃんに別れを告げに行きました。シャンパンをたくさん飲んで酔っぱらっているアノちゃんは、とても可愛かったです。僕が励まさなければならない立場なのに「しっかり生きていってね」と逆に励まされてしまいました。同店のユキナちゃんには、「私が美人女医さんの代わりになるから!」と言われました。僕はいろんな人に支えられながら梨華ちゃんに恋をしているんだなあ、と実感しました。
魔女っ子バーを出たときには、午前3時を回っていました。繁華街を通り抜け、人気のない暗い道をひとりで歩きながら、ディナーショーでの梨華ちゃんのことを思い出しました。彼女は「私に会う人の多くが、『ザ☆ピ~ス!』の頃の私に会いたかった、て言うのよ」と話していました。夫の人にもそう言われたのかなあ、と想像しました。
「僕は全然そうは思わないよ。今の熟女になりつつある梨華ちゃんが1番好きだよ」と、遠い空に向かって小声で語りかけました。梨華ちゃんの苦笑いが、うっすらと夜空に浮かんだような気がしました。