「妊娠しても大好きだよ!」10年以上ガチ恋しているアイドルのご懐妊が発表された日【推しメンが結婚しちゃった日記】

連載・コラム

[2018/8/31 12:00]

元モーニング娘。の石川梨華に10年以上“ガチ恋”を続けているドルヲタのふちりんによる完全ノンフィクション連載。梨華ちゃんに健気に恋をする彼が、2017年3月13日に結婚した彼女への想いを、結婚が近いという報道があった2017年元旦から振り返り繊細に紡ぐ。【ガチ恋……アイドルにガチ(本気)で恋をすること】


11月16日〜17日

10年以上ガチ恋しているアイドルのご懐妊が発表された日

<耳マンのそのほかの記事>

11月16日 木曜日

 今日は美人女医さんの個別診察会に行ってきました。美人女医さんは「以前に比べたら、梨華さんが結婚しているという状況を受容してきていますね。いい傾向です」と笑顔で言い、僕も笑顔になりました。また、「田中さんの状況は家族に伝えてあるんですか?」と訊かれ、「アイドルに真剣に恋して失恋して落ち込み続けているなんて、家族にはとても言えないですよ」と答えました。美人女医さんは「別に恥ずかしいことじゃないですよ」と言ってくれたけど、やっぱり恥ずかしいです。

11月17日 金曜日

 梨華ちゃんが第1子を妊娠したことをTwitterで知りました。子どもをつくるのは結婚式とハネムーンのあとだと思っていたので、とても驚きました。手足が震え、頭のなかが真っ白になり、視界がかすみました。梨華ちゃんに子どもができたことが嬉しいのか悲しいのかわからないけど、涙が出そうになってきました。僕は目をとじて、暗闇のなかに梨華ちゃんの像を思い描きます。その梨華ちゃんの像に向かって心のなかから語りかけました。梨華ちゃんおめでとう。きっと可愛い子が産まれるよ。だって梨華ちゃんの子だもの。妊娠しても梨華ちゃんのこと大好きだよ!

 考えてみれば梨華ちゃんの熱愛報道が出たときと、結婚したときと、懐妊したときで、1番つらく感じたのは熱愛報道が出たときでした。そのときは扇風機や電柱を殴りまくったり巨大リラックマを買い求めたりしました。その巨大リラックマはぶっ飛ばすために買ったのだけど、店から歩いて連れて帰ったら情がわいてしまい、殴らずにぎゅっと抱きしめました。その1番つらいときを乗り越えられたのだから、大丈夫だ。僕は自分にそう言い聞かせました。

 僕は急きょ大宮アイドール(行きつけのアイドルカフェ)に行き、「梨華ちゃんの懐妊をお祝いする会(ふちりんを慰める会)」を開催しました。急な話なのに5人くらい集まってくれたので嬉しかったです。アイドルたちや常連さんたちのおかげで元気が出ました。大宮アイドール4期生のりっちゃんは「その子どもは、ふちりんの子どもだから大丈夫だよ!」と励ましてくれました。確かに、僕の子どもである可能性はあるかもしれません。だって10何年もほぼ毎日、あんなに心を込めて自慰をしてきたわけだから。合計で5,000回以上にものぼります。

 半ばやけくそになりながら、常連さんたちに梨華ちゃんとの2ショット写真を見せびらかしていたら、「どれが1番お気に入りですか?」と訊かれました。僕は少し迷ってから、4年前のディナーショーのときの写真を差し出しました。このころは結婚や妊娠どころか、梨華ちゃんに彼氏もいなかった(かもしれない)んだよな。手をにぎって連れ去ればよかった、と思いました。

 だいぶ酔っぱらって帰宅すると、梨華ちゃんのブログに「ご報告」というタイトルの記事がアップされ、安定期に入ったことが報告されていました。それはとても喜ばしいことだけれど、コメントをする気持ちにはまだ全然なれませんでした。でもすでに150件以上のコメントが入っています。僕はコメントがずらっと並んでいるところを想像してみました。それらは僕にはとても言えない正しいコメントばかりであり、小刻みに震える手ですぐにそのページを閉じました。

 僕は本当は、何も知りたくないんだ。彼氏がいることも、結婚したことも、妊娠したことも。でも好きになった人が芸能人だから知らないでいることはできない、チベットにでも行かないかぎり。つらいよ、本当に。泣いてもいいかなあ。僕はそうつぶやき、薄汚れた巨大リラックマを引き寄せてぎゅっと抱きしめました。

ふちりん

1980年生まれ、埼玉県出身。おひつじ座のA型。2003年頃より当時モーニング娘。のメンバーであった石川梨華へのガチ恋を開始。その赤裸々な想いを綴ったブログやTwitterが一部のアイドルファンの間で人気を呼ぶ。趣味は読書やサッカー観戦、アイドル鑑賞、ベースを弾くこと。好きな作家は村上春樹、太宰治、中村文則。