『音鳴(オトナ)の玩具(オモチャ)』第5回:それゆけ!幻覚機関車トー●ス
漫画家・イラストレーターの福島モンタが、音の鳴る香ばしいおもちゃを紹介していきます!
ヤバい……どっかに連れて行かれそう
どうも!福島モンタです!
お、押すな、押すな!
今回の音鳴のオモチャはこちら!
う、パチモン全開です。
パチモンの中のパチモン。
爽快感さえ漂ってます。
余裕の表れでしょうか、本家にも生えてない2本の手で「いいね!」やってます。
Wサムズアップです。
これまたパチモン特有の「焦点の合ってない目」とあいまって版権など意にも介さない構えです。
それでは、動かしてみましょう。(音が鳴るので気をつけてね!)
どうですか? すごくないですか?
侮ってましたよね、こいつのこと。
もう、機関車なのか、電車なのかよくわからない走行音、踏切の音、駅の発着メロディ、汽笛、
次から次へとすべての音が食い気味にガンガン鳴って、とにかくせわしない。
♪タッタカタッタ ターラタッタ
タッタカタッタ ターン♪
やたら得意げなテーマソングが鳴ったその瞬間、
回るミラーボール! 石炭を積むところに謎のミラーボール!
全身をビカビカに光らせるだけでは飽き足らず、部屋中を場末のスナックのように照らします。
……なんでしょうか。 こんなにうるさくて、こんなにエレクトリカルなのに、言い知れぬ恐ろしさに包まれてきました……。
暗がりに照らされる不気味な顔面を見ていると、知らない間に死の世界へといざなう黄泉の国行き急行列車のようです。
というか、機関車なのに1ミリも動かないのね……。
と思って裏を見ると、
タイヤカバーが!
そっか、カバーを外せばアクティブモードに! TPOに合わせてお好みのモードを……って意外と気づかいのできる子!
では、アクティブモード発動!
動く動く! しかも壁にぶつかるとターン!
なんなの! できる子!
矢継ぎ早に放り込まれる走行音、踏切、発着メロディ! 鳴り響くファンファーレ!
ビカビカに照らされる台所……。イルミネーション……。
(あれ、おかしいな、眠い、眠くなってきた……)
(あ、きたきた、眠いときの、いつものあの、遠い昔に観た貧しい親子のドキュメンタリー……)
クリスマスイルミネーションに華やぐ街。
にぎわうデパートのおもちゃ売り場に佇むその親子。
お父さんは子どもに、
「今日はお前が好きなものなんでもひとつ買っていいよ」と言い、
子どもは大喜びでキラキラとまばゆい憧れのおもちゃを吟味。
超合金、ラジコン、プラモデル……。
しばらくして、
「じゃあ、これ!」と差し出した手には鉛筆が1本。
我が子を抱きしめる父の目に涙……。
おしまい。