ANZEN漫才・あらぽんの『アダチニスト〜足立区ストーリーズ〜』第7回:ともこcrew(前半)

連載・コラム

[2018/9/4 11:45]

足立区で生まれ育ったあらぽん(ANZEN漫才)が足立区のリアルをつづっていく新連載!


個性的すぎる『ともこcrew』の話

幼少期の頃の思い出から書き始めてるこのコラム。いろんな経験をさせてくれた足立区に感謝だなと思う今日この頃だが、やっぱり思い返してみるといろんな人たちがいた。

小学校の低学年の頃に出会った年上の女性。僕が低学年だった頃にその女性はもう中学生だったから年はだいぶ離れてたと思う。名前は『ともこ』。すごく体が大きくていつもポニーテール。力も強くて女子プロレスラーみたいな感じで言葉がきつい。完全な親玉タイプ。

印象的だったのは自転車のスポークが緑のプラスチックタイプでサドルをだいぶ高めに設定して乗っていたこと。あとすごく一重。年上だけどみんながともこって呼んでたから僕もそう呼んでいた。

ともこにはいつも一緒にいるメンバーがいた。ともこの同級生の女の子で、あだ名は『ねーちゃん』。みんなにそう言われていて名前は知らない。

ねーちゃんのあだ名の由来はいつも弟と一緒にいるから。弟の名前は『よっふみ』。年齢はともこのふたつ下くらいで、よっふみは小学校の高学年くらいだった。

そして、いつもみんなを公園で待っている女の子の『あきえちゃん』。あきえちゃんもともこと同級生だ。ともこはこの3人といつも一緒にいた。この3人はとても個性的だった。

ねーちゃんはすごくおっとりしていて静かな性格。いつも中学校のジャージを着て遊んでいた。そして風呂に入らない。なぜそれがわかったかというと、ともこがいつもねーちゃんに「てめぇ風呂入れよ!」と強めに怒っていたから。ねーちゃんの髪の毛はいつもボサボサで、ひどいときはしらみだらけでいる。ほとんどともこの舎弟みたいだった。

弟のよっふみもいつもジャージだった。でも学校のジャージではなく、昔よくお父さんが着ていたようなジャージで、紫?ピンク?みたいな、何色かと聞かれたら○色です!とはっきり言えない絶妙な色合いのものをタイトめに着ていた。あと昔ながらのウエストポーチを身につけていた。

よっふみはとにかく自転車が好きで、そのせいか自転車を漕ぐのがめちゃくちゃ速い。必要最低限な荷物で自転車に乗っていた彼は、昨今の自転車ブームのさきがけだと僕は思っている。

そんなよっふみは彼がひとりでいるときに会うと、なぜかすぐ逃げる。追いかけても追いつくことはほぼない。でも、ともことねーちゃんといるときには絶対に逃げない。

最後はあきえちゃん。あきえちゃんの最大の特徴は毎回必ずうさぎを抱いていること。公園にうさぎを連れてきて、木のオブジェの椅子にうさぎを座らせてみんなを見ていた。公園で遊んでいてしばらくすると、あきえちゃんが大きな声で「ご飯タイムだよ~」とみんなに声をかける。ご飯タイムはその名のとおりうさぎにご飯をあげる時間だ。誰でもうさぎにご飯をあげれるのでご飯タイムがくるとみんなが一回遊びをやめて、その辺に生えている雑草を持ってうさぎの前に並ぶ。

そしてご飯タイムが始まる。

しかし、並んだからといって必ずご飯タイムができるわけじゃない。あきえちゃんは順番がきた人の草を見て『食べさせる』『食べさせない』の最終ジャッジをする。その日にうさぎにあげる草はあらかじめ決められていて、それを外すとその人のご飯タイムは終了。

不思議なルールで1回外すとその日はご飯タイムをさせてくれない。そこに関してあきえちゃんはすごく厳しかった。なので、ひとり1日1回のチャンスを逃さないためにみんな必死になる。ちなみにご飯タイムでねーちゃんは絶対に草を外さない。今思えばあきえちゃんと仲がよかったから教えてもらっていたんだと思う。

だけどそれを知らないよっふみはわざわざ自転車でほかの地域まで草を探しに行き、ジャージにイガイガをつけて帰ってくる。お前どんだけの秘境行ったんだよと思うが苦労は実らず毎回外す。というか、草が見たことない新種すぎてあきえちゃんにも本気で判別できない。

そんなチームともこのホーム公園は『中央公園』だった。巨大なピンクの滑り台とアスレチック、グランドに砂場、ブランコも2種類あって公衆トイレつきのハイスペック公園だ。

中央公園に行くとほぼ毎日このメンバーがいる。ともこがねーちゃんに怒っていて、よっふみは自転車で滑り台の山を登ったり降りたり、あきえちゃんはうさぎを抱いて座っている。

ともこはねーちゃんだけではなくほかのメンバーにも厳しいことを言う。でもなぜみんなともこと一緒にいるのかというと、このcrewにはご飯タイムのほかにもイベントがある。

それはともこの『金まきタイム』だ。(次回に続く)

1980年代展に行ったときのバブリー写真です

あらぽん

1985年10月13日生まれ、東京都・足立区出身。幼馴染のみやぞんと2009年11月にANZEN漫才を結成。みやぞんの特技であるギター、そしてあらぽんのラップを組み合わせた音ネタで活動するようになり、『足立区の歌』などのネタで注目を集める。『とんねるずのみなさんのおかげでした』『世界の果てまでイッテQ!』などでみやぞんの激烈天然キャラが爆発して話題となり、今や大注目コンビのひとつとなっている。