安室ちゃん引退をオカマ目線で追っかけていくわ〜アロム奈美江『永遠ていう安室奈美恵なんて知らなかったよね。』第1回

連載・コラム

[2017/11/16 00:00]

安室奈美恵に命を捧げる女装ライター・アロム奈美江が、引退する安室ちゃんへの愛をつづっていく新連載!


安室ちゃん引退を私なりのオカマ目線で追っかけていくわ

やっほー! 安室奈美恵ファンが高じて、罰当たりな命名をしちゃった女装ライターのアロム奈美江よ〜! 「顔が長いほうのナミエ」って覚えてね!(ツライ……)

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読者のみなさんも絶賛アムロス中でしょうけど、私といえば、安室ちゃん(愛してるので、あえて”ちゃん”呼び)が公式ホームページで引退を発表した9月20日のそのとき、たまたま動画サイトで安室ちゃんの紅白歌合戦出演ラストとなった2003年の『SO CRAZY』のパフォーマンス映像を視聴して過ごしている最中だったわ。

オンエア当時、このパフォーマンスをVHSに録画しておいて、テープが擦り切れるほど何度も何度も繰り返し観ていた。安室ちゃんがVERBALやZEEBRAらとコラボしたプロジェクトSUITE CHICをきっかけにソロ活動でもR&B、HIPHOP色を強く押し出し、本人による選曲やアイデアを楽曲に反映するようになった、まさにセルフプロデュース元年とも呼べるこの年。日本国民のほとんどが知っていて口ずさめるような流行歌や古き良き演歌、歌謡曲を出演者が続々披露する紅白歌合戦のなかでは、低セールスなうえに、英語詞も多くてあまりにエッジが効きすぎていたオシャレR&B楽曲『SO CRAZY』を披露する安室ちゃんは、ぶっちゃけ浮いていた。

だけど、ダンスのキレ、声の張りともに完璧で、そのパフォーマンスは「何にも迎合しない、これが私の新しいスタイルよ!」と国民的番組を使って高らかに宣言しているように私には思えた。

なかなか一般社会に適合しがたい私みたいなマイノリティの人間にとっては、その安室ちゃんの威風堂々っぷりは、本当にカッコよく見えたのよね。今はグズグズと方向性に迷っているけれど、いずれ自分も「これが自分らしいスタイルなんだ!」って自信を持って言える人間になりたい!って思えたの。

そして、翌年の紅白歌合戦からずっと出演を辞退し続けている安室ちゃん。あのパフォーマンスは紅白への決別宣言でもあったのね……と考えると、これまたシビれる……。今年の紅白出演についていろんな噂話が飛び交ってるけど、安室ちゃんはブレない女。最後の今年もまた出演しないほうに私は一票入れておくわ!

ジャケット写真は、安室ちゃんには珍しく着エロ!

さて、前置きが長くなったけど、まだこの原稿を書いている現段階では、安室ちゃんの25年間の集大成ベストアルバム『Finally』はリリースされていないので、再録されているヒット曲はもちろん、新曲も聴けていません! なので、すでに発表されている収録楽曲リストを見直しては何度も反芻する日々を送っているところ。

ベスト盤が3枚組になることが発表された段階で、安室ちゃんがリリースしてきた多数のシングル曲が3枚で収まるわけがないので、一部カットされるのは覚悟していたけれど……いざ発表されてみると「あの曲が入ってないなんて!」「あのアルバム曲が入ってるのは意外!」と私は周囲のゲイ友達や女装友達と一緒になって大騒ぎ。

安室ちゃんの活動してきた25年間、ファンのみんなも安室ちゃんの歌とともにそれぞれの人生を歩んで来て、それぞれの歌への思い入れがあるんだから仕方ないわね。私はとりあえず冒頭の『SO CRAZY』は収録されることがわかってホッとしてるところよ。

安室ちゃん引退まで、もう10ヶ月程度しかないけれど、この連載では、その引退までの軌跡を私なりのオカマ目線で追っかけていくわ! 約3名と思われる読者のみなさん、絶対次回も読んでね!

だって私も、これを読んでる貴方も、きっと安室ちゃんにずーっとSO CRAZYなはずだもん。

アロム奈美江

ゲイをテーマにした電子書籍ライター、ゲイ雑誌『Badi』編集者を経て、2009年にドラァグクイーンデビュー。プライベートでは、30歳から女性ホルモン投与を始め、ゲイからトランスジェンダーの領域へ転向。現在は、流しの女装パフォーマー、ホステス、MC、イベントオーガナイザーとして節操なく小銭を稼いでいる。